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Good luck in my world  作者: エンリ
第5章 魔国バルデナ~???
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147、最後の愛

 最後の最後まで心残りだったのだろう。心優しいあのコは生まれ変わっても自分の子供を救ったようだ。


 眩い光か収まるとそこには何も無く、痕跡は一つも見当たらない。一息付いたリゼルが構えていた細剣を下ろすと「あっ!!」と声を上げた。


  「リゼ?どうしたの?」 


  アワアワとしながら私の方へ駆け寄ると肩をガシッと掴まれた。


 「どっ、どうしよう!!なるべくジワジワとヤルように言われてたのに!」


  ルイーンのいた場所と私を交互に見ながら焦っているリゼルをなだめながら白と黒の元へ向かう。


  「白、黒、結界解除していいわ。」


  結界が解除されると白と黒が駆け寄り私の肩へと飛び乗った。


  «いま。わずかに前女神の力の残滓を感じました。»


  «あのハイエルフは輪廻に戻ることができないほど魂が穢れていたのに浄化され輪廻に入ったようです。»


  「それもすべて込みでリゼを送り込んだんでしょうね。」  


  黒と白の頭を撫でながら首を傾げるリゼルに苦笑した私は、未だに目覚めないアルアネシスに近づいた。


  「...あのアルアネシスに取り付いてたハイエルフの女王?ルイーンはどうなったの?黒と白のあなたの獣魔が分厚い結界を張ったから話が全く聞こえないし見えなかったんだけど。」


  本来結界は防御だけで見えなくなったり聞こえなかったりはしないはずだが....。


  «ラナージ、レアル、サジェスタ、アルアネシスには遮音、目隠しの魔法をかけました。マスターの力でグチャグチャになると思って。»


  白が褒めてくれと言うように頭を差し出すのでガシッと鷲掴みプラーンとしておいた。


「この子が()()して見せないようにしたみたい。穢が酷い魂は、長くみると引きずり込まれる事もあるから。」ということにしておこう。うん。


  「ルイーンはここにいる白の獣魔が連れてきた勇者が倒してくれたわ。」


  ビシッと指をさされたリゼルはビクッとしたが私の視線を受け、ニコリと微笑むとレアル達の前にでて挨拶した。


  「リゼルディスだ。ルイーンはちゃんと倒したから安心してくれ。」


 「ああ!リゼルさん!確かにリゼルさんです!今までいらっしゃらなかったのでどうしたのかと心配していたのですが、聞いていいのかわからず....別行動を取られていただけだったのですね。」


  リゼルを知るラナージはリゼルが私達の仲間だと言うことをレアル達に証明してくれた。


  「じゃあ、あとはアルアネシスが意識を取り戻したらいいだけね。」

  

 「精神に影響があるかもしれないから自然に目覚めるまでまってね。殴るとか叩くとかあんまり衝撃をあたえないようにね...レアル。」


  握りしめられた右手に目を向けながら声をかくるとレアルはパッと手を開いた。


 「わ、わかってるわよ。」


 「レアルお姉様は目覚めないアルアネシスお姉さまをしんぱいしているのですわ。ですがこんな場所ではお体に障ります。お部屋に戻りましょう。」


 膝枕をしているサジェスタがアルアネシスの乱れた髪を整えながらこちらをみた。


  「私達はまだ話があるから白に元の場所に戻して貰うね。ラナージさん、研究室に寝具がある?」 


  「は、はい!仮眠用のベッドがあります。客室にある綺麗なベッドなのでいつでも使用できます。」


  「直ぐに戻るからそこにレアル達は白といてくれる?アルアネシスがそれまでに気づかなければ私が治療するから。」


  レアルが頷くと白が彼女達の元まで行き転移魔法を使用しその場から共にきえた。


  一方、残った連中に向き直るとリゼル品評会になっていた。


  「じゃあ、リゼは白の眷属なったことで聖属性になるなら、僕は黒の眷属で闇属性に偏るということですね。なら今と余り変わらないので良かったです。」



「俺はかなり時間がかかるはずだったんだがナトの場合は俺よりも短くて済むと言っていたぞ。」


  「その言っていた人物は異世界の神なのだな?どんな人物だ?角や羽根は?触手はあったか?目や鼻や口はいくつだ?」


 リゼルとナハトの会話に研究心丸出しでリゼルに質問をし続けるメノウ。


「........、..............、.....................................。」

(あの元女神、ハイエルフの魂を救いやがった、俺の時は何もしなかったのに...やはり天使族の紛い物など女神にはどうでもいいのか。)


  「...問題児ほどカワイイというものではないか?我らにはエルノラがいる。あまり卑屈になると地獄の追いかけっこが始まるぞ?あの恐怖は元女神の関心など気にならない程に恐ろしい。我はいやだ。」


  不貞腐れているラピスを一生懸命ハルルが慰めているが何故か顔が青かった。


  地獄の追いかけっことは昔、彼らを仲間にした際に更正の為に催した地獄の果てまで追いかけ死ぬギリギリの攻撃をトラウマになるまでやれば彼らの不幸な生い立ちを忘れ、上書きできるかもねとアイツに言われ実践したもののことだろう。


  「ハアー、戦いたかったぜ....。」


  大人しく待っていた座り込むカインズの頭を軽く撫でるとパンパンと手を叩いて集合をかけた。

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