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Good luck in my world  作者: エンリ
第5章 魔国バルデナ~???
144/156

141,手詰まり

 敵さえも思わず引くような煌めき具合にメノウをとりあえず睨んでおく。


  「体力回復の薬で、なんで全身が光るのよ?」


  「聖水飲んで副作用でもでたんじゃないですか!?」


 「効果があれば問題ない。成功だな。」


  やり遂げた感を出しているが薬の効果が切れたあとがまだどうなるのかわからない。


  「ハァ...24時間経つ前に倒してしまわないとね。」


  各々が武器を構えルイーン1へと向き直るとその身体は変化していた。


 かつての狂化魔王の様に漆黒から斑な黒へと少し薄まった長い髪が現れ、青白い顔に血のような真っ赤な瞳からはとめどなく血が流れ、鼻や口は無く、まるで仮面をつけているようだ。


 だらりとした肢体も青白くなり、ただ異様なのは衣服が無いのに裸体を感じないほどのっぺりとした胴体だ。肩、腕は分かるがその下は濁ったスライムの様に青白い胴体が足元まであるだけだった。


  「かなり負の魔力を消費して弱ってきたな。本体が少し見えてきた。」


  確かに弱ったように見えるがルイーンの周りにはまだ負の魔力が広がりそれはかなりの濃さだ。


  「僕も補助でしか役に立てないなんてもどかしいです。...そういえば女神の力はつかわないんですか?確かこの空間なら使えるんですよね?」


  「うん。ただ、女神の力を出しすぎるとルイーンは消し飛ぶし、ついでに他も消し飛ぶしんだよねー。」


  「「絶対につかわないで!!」くれ!!」


  「.....................。」

  (女神の力...受けてみたい。)


  「...女神至上主義の天使族がアホな事言ってる。目がマジだから笑えんぞ!」


  ルイーンの攻撃が止まっているので、ゆるいやり取りが行われているがとうとうのそりと動き出した。


 「....ウ...ウ.....」


 ゆっくりと真っ赤な瞳をコチラに向けると直接頭に響く様なうめき声が聞こえてきた。


  「..アノ....カタニ....ア..イ...タイ....メガ...ミ....ニナ...ル..」


ポタリポタリと頬に流れる止まることのない血涙は負の魔力に染められた足元に落ちてはその色を黒く染めていく。


  「あの方って誰の事ですかね?女神にならないと会えないって....」


ナハトがルイーンの言葉を聞き私にめを向けた。

「ハイエルフの女王は一代だけだった。竜族、ハイエルフ族、精霊族が神に呼ばれた事があるのは諌める為に一度だけあったはずだけど。でもこのメンバーなら同じ世界にいるわけだから会えるはずだし。」


  「会えないのは女神と女神の補佐である白と黒ぐらいだろう?ならば白と黒では?」


  メノウが黒を一瞥するとすぐルイーンの方に意識をむけた。


  「アァ...アイタイ....ソノタメナラ..ナカマモ...ソノタモ.....ワラワ...ノカテ..トナレ!」


  ルイーンは、バッ!!と天を仰ぎ見ると両手を上げ赤い瞳をこぼれんばかりに見開いた。

  

  「ワラワニ....チカラヲ!!アノカタニ...アウタメ...ノチカ...ラヲ!!」

  

  広がっていた負の魔力がルイーンに収束していくと凝縮された負の魔力がより濃くなりルイーンの全身に馴染んでいく。


  「..........!!.............!」

  (させるか!!浄化の力を受けろ!)


  ラピスが飛び込み浄化の魔法を宿した聖なる鎌をルイーンへと振り下ろした。


 鎌が当たるその瞬間にルイーンの体からその身を守るようにブワッと負の魔力が溢れ弾いた。それにより鎌にまとわりつく様に押し返されたラピスは退避するしか行動できない。


  私達の所まで退避すると鎌に付いた負の魔力を振り払う。そこには浄化の魔力を打ち消すように負の魔力に侵された鎌の先端が現れた。


 「チッ」


  ハッキリと聞こえた舌打ちにはラピスの焦りが見えた。


  「私が相手になるしかないね。浄化魔法を打ち込んで行くしかないけど...さらに濃くなった負の魔力は浄化しても表面だけだろうしな....。」


  「女神の力を使える様にするにはどうする?」

 

 メノウの問いかけに指を2つ立てた。


 「一つは黒のいる結界に私以外が入る。もう一つは私とルイーン以外を元の場所に転移させる。」 


  「一度黒に結界を解いてもらわないといけないんですね?でもそうすると解いた瞬間にアルアネシスが狙われる可能性がある。」


  私はナハトに頷くとルイーンを見た。

 

 足元に流れていた負の魔力は無くなり青白い足元が見えている。黒いピッタリとしたロングドレスに大きくスリットが腰まで入りスリットには幾重にも重ねられた黒いレースが広がっていた。


  ハッキリと輪郭を現したルイーンの肢体は青白いものの美しいハイエルフの女王に相応しくそれ故に仮面の様なのっぺりとした顔面は異様に感じた。


  「本体もでてきて、さらには意識を取り戻しつつある今は黒の結界を解くのはいい判断とはいえないよね。」

 

  「..........?.............。」

(ならどうする?時間が経てば自我が戻るぞ。)


  「神の力を程よく扱うにはこの体じゃ難しいんだよね...でも私が本体に戻るとこの空間も消えちゃうし...せめて白がいてくれたら.....。」


  «ハーイ、お呼びになりましたか〜?»


  クルンと一回りしてスタンと上から着地したのは真っ白でフワフワな毛並みの白だった。



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