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Good luck in my world  作者: エンリ
第5章 魔国バルデナ~???
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139、結界の中(ラナージ目線)

 目の前で自分たちを守る黒い聖獣を初め、(自称)元魔王であるカインズ、竜人のハルルという獣王国の英雄の強さは恐ろしい。力が無くともかなりヤバく理不尽なほどの戦力の持ち主なのが嫌でも分かった。


 「...あ、あう....」


  隣で青ざめ震えているサジェスタの肩に腕を回し支えるように引き寄せると、少し安心するのか素直に身を任せてきた。


  <盛ったら殺す。> 


  可愛らしい見た目からは想像出来ない程、恐ろしい殺気が一瞬自分に向けて放たれたがブンブンと首を振るとすぐに消えてくれた。


  「どんだけヤバい奴らがいるのよ。コイツらの方が危ないんじゃないの?」


  目覚めたレアルが毒づいているが本当に躊躇なく消されそうなのでやめてほしい。アルアネシスは全くと言っていいほど無反応だが息はあるので眠っているか、気絶しているだけのようだ。


  僕も気絶したい。


  エルノラさんたちが警戒しながら攻撃を開始したようだ。ナハト様が魔法攻撃をしないでエルノラ様達に身体強化の魔法をかけ続けているのは、魔法攻撃をしないように指示されてるのかもしれない。ラピスさんも神々しく凛々しい姿で恐ろしい武器を振り回している。


  ただ良くわからないのはメノウさんだ。何やらゴソゴソと手に塊をだして液体やら粉やらを塊にかけまくっている。そのたびに軽く光ったり膨らんだりしぼんだりを繰り返している。それを見るメノウさんの顔は凶悪に笑っていた。 


  「それにしても...平然と寝てるわね。」


  メノウさんに気を取られていた僕はレアルさんの声に意識を戻すとアルアネシスの頬をビヨーンと伸ばしていた。


  「お姉様...アルアネシスお姉さまは大丈夫でしょうか?」


  サジェスタの気遣いに惚れ直しているとレアルがキッと睨みつけ怒鳴った。


  「エルノラがアルアネシスに寄生してた奴を取り出したから大丈夫でしょ?知らないわよ!」


  「お姉さまは操られてた可能性があるんですよ?心配ではないのですか?」


  「操られてたのがいつからなんてわからないでしょう?少なくともアルアネシスの罪は消えないし、私達の罪も消えないのよ!」


  レアルさんの言葉にサジェスタも何も言えなくなり悲しそうに視線をそらした。


  「お二人の罪は魔国の王が決めます。犯した罪は消えませんがその後の行動は充分償いが出来ていたように思えます。恐らくレアルさんには国外追放が妥当でしょう。サジェスタさんには本人も嫌がっておられたサキュバスとしての在り方の実行と軟禁、監視付きで国への献身だとおもいます。」


  サキュバスの在り方と聞いてサッと顔を赤くしたり青くしたりしているが国への献身と聞いて首を傾げた。


  ......だめだかわいい。


  <いちゃついたら殺す。>


  再度殺気を向けられ、心を落ち着かせる。

結界の外ではカインズさんとハルルさんが守ってくれているのに緊張感を待たねばと気を引き締める。


 「本当に国外追放だけならいいのだけど。私には願ったり叶ったりだし....。」


  レアルの不安そうな顔に頷くと安心したのか少し表情が緩んだ。逆にサジェスタの顔色が完全に青くなる。


  「サキュバスの在り方...で軟禁....監視付きの国への献身.....。」


  思わず苦笑いしてしまったが意図に気づいたレアルは呆れた目をむけられてしまった。


 「今の状況が落ち着いたら親友に聞いてみますね。親友は魔国の魔王さまの第一補佐官をしていて公正な裁判長でもありますから。」


  その言葉にカインズがこちらを振り返り返事をした。


  「チェルナスのことか?アイツならさっき魔王になったぞ。ならお前らの処分はもう決まってる様なもんだな。」


  えっ?...アイツ魔王になったんですか?先代魔王陛下命で僕と共に研究に明け暮れていたアイツが。ここ最近、目の前の新しい魔王様だった筈のカインズさんを必要に駆られ、仕方無しに、渋々仕えていると聞いていたが...。


  「あれ....魔王様がチェルナス?そうだ継承した。...いつ....」


  「魔王チェルナス様はカインズ様に一時的に魔王の座を預けていただけですわ。...確か。」


 可愛らしく顔を傾けるサジェスタに思わず鼻の下が伸びそうだがレアルに睨まれ顔を引き締めた。


  「その話は後でゆっくりとしてくれや。来たぞ!」


  カインズが嬉しそうに、いつの間にか握られていた身の丈程の見事な細工の大剣を振りかざすと何かとぶつかった。


  ガキィィィーーンと大きな音が響き、目の前の結界の外側が真っ黒に塗りつぶされた。


  「カインズさん!ハルルさん!」


  サジェスタを抱きしめ、レアルとアルアネシスを後ろに庇いながら外にいる二人の無事を確かめる。


  <無事だ、オマエ達はそこから絶対に動くな。結界の外に出たら瞬殺される。>


  ジッと前方を見ている黒い聖獣には真っ黒に塗られた外側が見えているのだろう、何かの動きに合わせて視線が動いていた。


  「勇者様たちが戦っているのだからきっと大丈夫だ。」


 エルノラさん達を信じてサジェスタを抱く手に力を込めた。

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