14、第四・第三の〇〇〇
「さて。では自己紹介からしていくかな。」
カチャリとティーカップを置いて壮年の男性がこちらを優しい蒼い瞳で見つめてきた。
「私は帝国アルネストの帝王、ジークルードと申す。こちらは我妻、マルネーゼ。そして知っているとは思うが、第四王子のリゼルディスだ。」
やはり嫌な予感的中ですね。知りたくなかったです。
リゼルは王様達の隣でニコニコしている。
あの時もっとお仕置きしとけばよかった。
「初めまして、エルノラと申します。第四王子様とは知らず御無礼を御許し下さい。」
私がペコリと頭を下げるとリゼルが慌て出したが、王様が遮った。
「いや、こちらこそ申し訳ない。倅を救って頂いた挙げ句この様な身内だけの場で。本当なら大々的に功労を称え報償を用意しなければならないところを...倅が貴女に聞いてからの方がよいと申すのでこの形を取らせて頂いた。」
(リゼル、グッジョブ!出会いを無かったことにするとこだったよ)
「私は偶然通りかかった所を助けただけですのでリゼルディス様からお礼の言葉は頂いておりますのでそれで充分です。」
本当に偶然です!を強調しながら訴えた。
「なんて謙虚な方でしょう~、さすがは賢者様のお弟子様ですわね。リゼルは第四王子ですが自分から役に立ちたいと騎士団に入り副団長にまで実力で登り詰めましたがいつか帰って来なくなるのではないかと心配しておりました。」
王妃さまが涙ぐみながらリゼルを見る。そして「本当にありがとう。」と私に頭を下げてきた。
うん、助けてよかった。
「うむ、私からも倅を助けて頂き感謝する。」
王様も頭を下げてきた。
私は「受けとりました。」と笑顔で告げた。
◆◆◆◆◆◆◆
和やかにお茶を飲んでいる所にバタバタと走る音が聞こえてくる。その音にメイドさんが確認して参りますとドアに手をかける。その時...
バタン!!
扉が勢いよく開けられた。
「リゼルディス!!」
飛び込む様に部屋へと入ってきたのは長い薄金髪をサイドに編んで流し、濃い青い瞳を少し赤く血走らせ下に隈を作った黒いローブを来たリゼルに似た興奮している青年だった。
「クラウ、なんですか騒々しい。お客様の前ですよ控えなさい。」
王妃さまが入って来た人物を窘めた。
「エルノラ殿、不肖の息子で申し訳ない。クラウ、リゼルディスがお世話になった方だ挨拶をしなさい。」
王様も詫びてから促す。
青年は今気づいたかの様にこちらを一瞥すると
一息ついて深くお辞儀をした。
「お客様とは知らず失礼致しました。アルネストが第三王子クラウネスと申します。」
「エルノラと申します。」
先程とはうって代わり別人の様に落ち着いた様子で挨拶を交わした。
「まったく、それで何用だ。」
挨拶を確認して王様がクラウネスに尋ねると思い出したとばかりにリゼルに掴みかかった。
「リゼルディス!どうやってあれを解いたんだ!?」
「あれとは?」
また興奮しだしたクラウネスとは余所にリゼルはニコリとしながら聞き返す。
「お前にかかった呪いの事だ!私がハルネーゼの為に研究しているのは知っているだろう!!その過程で出来た呪いの魔法を解いただろう!!!」
クラウネスの大暴露にリゼルを除いた私達は言葉を失ったのはいうまでもない。