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Good luck in my world  作者: エンリ
第5章 魔国バルデナ~???
137/156

134,アルアネシス?

 アルアネシスが腕を一振りすると私達とアルアネシス達との間に真っ赤な炎で遮られた。


  腰の半分あたりまで燃え上がる魔法の炎は触れれば塵と化す炎火だが部屋に燃え移る事は無く足止めとしている。


 「ふふっ、まさか愛しの姉妹に裏切られるとは思いませんでしたわ。しかも魔王様まで何故....?」 


  力を奪う予定だったカインズに視線を移し、言葉とは裏腹に顔は嬉しそうに、面白そうにに微笑んでいるのを見てレアルが一歩アルアネシスに近付いた。


 「私が情報を流したのよ。サジェスタは無理やり脅して協力させたの。新魔王の知り合いだった彼女達も協力者よ。もう観念なさい!」


  「お、お姉様......。」


  二人の姉の間に強烈な殺気がぶつかりサジェスタは青ざめ後退った。その様子が視界に入り殺気を緩めたアルアネシスはレアルに向けていた視線をこちらに向けた。


  「先程の仲の良い姉妹のお話はおしまいと言うことでいいのかしら?...わたくしの唯一心を許せる姉妹には何をされても許しましょう。でもこれが最後。」


  そう言葉にしたアルアネシスの瑠璃紺色の髪と同じ色の長いまつ毛に彩られた瞳が薄い金色に侵食されて行ったのを見逃さなかった。


  「もういい加減にして!私達のしていることは、あの変態達よりも最低な事だとまだ気づかないの?アルアネシスも元々神になりたくてしたんじゃないでしょう!?私達の様な特殊な生い立ちを保護する為だったじゃない!..その子達まで実験や奴隷にしようとするなんて!あの貴族やクソジジイ共に連れて行かれた間に何があったのよ!!」


  レアルの訴えにアルアネシスの瞳の色が僅かに戻るがそれも直ぐに薄い金色へともどった。

 こちらを見ながら心底分からないみたいに首を傾げたアルアネシスはうっそりと微笑んだ。


 「煩いコバエじゃ。....だが腹の中に素晴らしい輝きが見える。とても強い輝きじゃのぅ。」


  言葉を紡いだのはアルアネシスだが喋り方は別人の様に変わっていた。


  「魔王の魔力も捨てがたかったが失敗したようじゃし、この()の力を貰うとするにしようかの。」


  言うやいなやレアルの後ろにいつの間にか移動すると右手でレアルの首を押え、左手で下腹を愛おしそうになでた。


  「レアルお姉さま!おやめくださいアルアネシスお姉様!」


  サジェスタが二人の元に駆け寄るとアルアネシスが転移の魔法を使いどこかへ飛んで行こうとしたので結界を張った。


  バチィィィ!!と魔力を弾き抵抗する魔力を感じたがアルアネシスが転移することはなかった。


  「何じゃ!?なぜ転移できん?」


  何度も手を振るが転移するための魔力が霧散し阻まれるのでこちらをキッと睨みつけられた。


  「この部屋に結界を張ったから、私以上の魔力で転移しないとできないよ?」


  睨みを交わしニッコリと笑うとアルアネシスは私の後ろにいるラピスとメノウを見た。


 「お主では無く、そこにいる天使族と....ほぉ、ハイエルフとエルフ、天使族の血を引くハーフエルフか!」


  極上の獲物を見つけた様に瞳を輝かせニンマリと笑うアルアネシスをみて後ろの二人から殺気が溢れた。彼等は今幻影魔法でヒューマンに見えている筈だが彼等より魔力が高いのかもしれない。


 「...........................」 

(あの女からアイツらと同じ魔力を感じる。)


 「先程までとは魂の色が変った。濁り切った色になったぞ。」


  メノウが汚らしいものを見るように顔をしかめ吐き気を抑えるように口元を手で抑えた。


  ラピスはゆっくりと瞼を上げ虹色の瞳を薄っすら開くと顔色を青くして直ぐに瞳を閉じた。震える手で私の左手を握ってきたので安心されせる様に握り返した。



 「うぐっ…」


  「アルアネシスお姉様!レアルお姉様をお放しください!」


  苦しそうに呻くレアルに見かねたサジェスタがアルアネシス?に詰め寄ると面倒くさそにサジェスタに向かってレアルを放り出した。崩れるように倒れ込むレアルを支えきれずサジェスタも倒れ込んだ。


  「煩い淫魔じゃ、そのコバエと同様大人しくそこにおるが良い。大事な母体じゃからな。」


  その言葉にサジェスタはレアルを見てハッとすると抱込むように体を支え直し自身の体で庇うようにアルアネシス?の視線から守った。


  「ふん、麗しい姉妹愛か?()()()も気の毒よのう。報われぬわ。」


 アルアネシス?がクスクスと笑いながらラピス達へとまた顔を向けた。


「あんまり家の子達をジロジロみるのやめてくれないかな?いやがってるんだけど?」


  ハルルにラピスを任せ一歩でるとアルアネシス?の視線からから外してやる。隣にはナハトがすっと前に出た。


  「仕方がなかろうて、妾を孕ませる権利を与えれそうな者が二人もいたのだ。興味があるのは仕方ないことじゃ。」

 

 いやらしく赤い唇をベロリとねっとりなめて見せると愉悦に浸るようにうっとりとつぶやいた。


  「お前はだれだ?魔女アルアネシスとは明らかに魔力の質が違う。」


  ナハトの問いかけにアルアネシス?は忌々しそうに睨むと吐き捨てた。


  「汚れたエルフが何をいう?ダークエルフが偉くなった者じゃのぅ?同族の血に汚された変異体のエルフよ。」

  

 ナハトが反論しようとするのを止め、私が口を開く。


  「ダークエルフはエルフが生きるために戦闘と魔力の攻撃に特化して進化した種族だよ。変化を恐れ自分達のことしか考えずに滅びたハイエルフよりよっぽど崇高だよ。」


 

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