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Good luck in my world  作者: エンリ
第5章 魔国バルデナ~???
133/156

130、女神化

 私の身体に変化が訪れたのは髪からだった。淡藤色の統一された色合いが女神の姿に戻る様に頭部の根本から真っ白に変わっていく。それと同時に神力を宿した髪が伸びて足元まで広がった。


  毎度毎度一気に伸びる為結んだ髪を解いて置かなければ貴重な私のリボンが毎回破壊されるから勘弁してほしい。真っ白な髪を眺めながらその進行が腰元辺りで止まりグラデーションになって淡藤色の髪が残り足を軽く越して床まで伸びる。


  (やっぱり制限がかかるせいか完全な女神化にはならないみたいだね。)


  最後まで色変わりしなかった自分の髪を観察しながらハルル、メノウ、ラピス、カインズがこちらを驚いた顔で見ているのに気づき、そういえば女神になると言葉では伝えたが姿を見せるのは初めてだったと思いだした。


 メノウはキラキラした目でこちらを見ていた。

あれは髪を少しもらって実験に使えないかと考えていそうだ。あげないけど。


  その間にも私の身体は輝きだし冒険者装備が女神シリーズに変化していく。これは仕様でどんな装備をしていてもそれを土台に変化していく便利衣装だ。防御、魔防は勿論、全てのデバフを無効にする。それに加え女神らしく見せる発光効果と畏れを抱かせる効果もある。 


  ハルルは身震いしながらこちらを見ていた。


 あれは強力な敵にまみえた時の震え。竜人族は神力に敏感なので仕方ないがいたたまれない。


  変化が終わりに近づき装飾品がジャラジャラと体に装着されていく。最後にバサリと羽根が舞い散り背中に翼が現れた。白く、大きく、重さは感じないが枚数があり部屋が狭く感じる。


  それと同時にラピスのうっとりとした視線を感じた。あれは天使族なので羽根が力も美も決める。早く解除しなければ面倒なことになりそうだ。


 変化が終わり部屋を照らしていた眩しい光が少しづつ落ち着いてきた。がそれにつれて私の前に跪いているナハトの頭が抵抗している様だが少しづつ下がり、チェルナスに至っては頭が絨毯に沈んでいた。柔らかな絨毯の上で良かったと思う程の沈み方をしている。


  理由が分からず困惑しているとカインズが興奮した様子で非常にゆっくりなスクワットをしながら黒にテシテシと頭を叩かれていた。


  <マスターの神々しい威圧感を利用してスクワットに励むな!大人しく圧に耐えきれずあの男の様に床に沈み込んで頭をたれろ!このこの!>


  チェルナスは威圧で頭が重くなって沈み込んでるようだ。絨毯の感触を好きで楽しんでいるのではないとわかり声をかける。


「あ〜、ごめんごめん。今、威圧抑えるから。」


  急いで威圧の効果を下げ、他に害になりそうな効果も一緒に解除していく。ナハトはチェルナス程の影響がないのか頭が少し下がっているくらいで解除後にはすぐこちらを向けた。やはり魔王なのでナハトには影響力が少ないが力を与える前のチェルナスはていこうできず床に沈むようだ。


   「これで顔が上げられるかな?」


  ゆっくりと顔を上げたチェルナスと目が合う。驚きで目が開かれかと思ったらウルウルと輝かせ惚けるような表情になった。


  そして頭から足元までじっくりと逃さない様に見られると背後の真っ白な翼達に目をやり更に驚きの顔をされた。


  終いには身体が僅かに震え出したのでまだ何か効果が残っていたのかとステータスを探ったが特に無い。精神異常も出てはいないようだがちょっと心配になった。


  「おーい?大丈夫?」


  声をかけてぎょっとした。チェルナスの目から次から次へと大粒の涙が溢れポタリポタリと絨毯を濡らしていった。


  周りにいる四人からイジメたか?の様な微妙な視線を感じる。何もしてないはずだが…。


  「申し訳…ありませ…ん。少々…お待ちを。」


袖で流れ続ける涙を拭きながら申し訳なさそうに謝るチェルナスを見て本当にいじめっ子になった気分になりいたたまれない。


  「お待たせいたしました。尊き女神よ。下等な身でありながら直接御言葉を介する事をお許しください。」


何とか涙は止まったようだが目元が真っ赤になって痛々しい。だが瞳は真っ直ぐにこちらを見つめ話を促していた。


  「…はは。…許します。」


  こちらを見つめる眼差しに畏れだけではない何か熱いものを感じ、視線の強さにたじろぎそうだ。


  「うっ、…ゴホン。チェルナス、貴方を魔王として認めます。神に認められた王は神の協力者、世界の管理者の一人となります。正しく国を導き民を助け世界の守りてとして君臨してください。その為の証と力を授けます。」


  ナハトがこちらに寄り私に向かって黒い角を差し出すように頭をさげた。そっと頭に触れ魔王の証である王角を回収する。


  光となってナハトの頭から王角が私の手に戻された。そのままナハトを見つめているチェルナスの頭に手を置くと王角を継承させる。しっかりと定着したのを確認してチェルナスに言葉をかけた。


  「新たな魔王チェルナス。継承は無事になされました。他の協力者達と共に世界を守ってください。」 


  目を閉じ自分の中にある新しく大きな力を感じているのだろう。真剣な目でゆっくりと頷いた。


  「承知いたしました。我が女神。」


 恭しく頭を下げると顔を上げた時の顔つきが全く変わり今までの魔王の記憶も受け継いだのが見て取れる。知識と共に思いをも受け継ぐ。


  隣にいるナハトが複雑で悲しそうな顔をしているので狂化していた時の思いもチェルナスに受け継がせてしまうのを心苦しく思うのだろう。


  無事に引き継ぎも終わったので周りにいる四人が面倒な事にならないうちに女神化を解除してしまおう。


  「«女神化解除»」


  言葉と同時に元の姿に戻った。初めてだったが無事に女神化と解除ができ、力もほぼ使用できることがわかった。


  「ふう、黒もういいよ。結界の解除お願いね。」

  

  部屋を元に戻し黒がナハトの肩に飛びのるのを確認すると期待に目を輝かせている四人を顎でしゃくり集合させた。ナハトはチェルナスと話してしるので今の内だ。

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