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Good luck in my world  作者: エンリ
第5章 魔国バルデナ~???
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128、新たな魔王

この部屋には現魔王(角持ちナハト)、自称魔王(一時預かりカインズ)、次期魔王(勝手に予定チェルナス)、そして継承儀式を承認できる女神(私)がいる。結果その場で出来る。


「ちょ、ちょっとお待ちください!?私は第一補佐ですよ!魔王にはなれませんよ!?」


「....見たところ全体的にステータスは魔族の中で上の方だね。体力と防御が心許ない位で何とかなるか....」


「あの~、聞いてますか....」


「ごめんね、僕がこのまま魔王を続ける事は出来ないんだ。負の魔力に侵されすぎて魂が持たないんだよ。」


決定事項が覆らないのと当事者として役目を押し付けることになるのに僅かな罪悪感を覚え哀れみの目を向けてくるナハトに何とも言えない表情になった。


「魔王がいない間も魔国バルデナを守ることが出来ていたし、仮の魔王でもフォローしていたチェルナスなら充分やっていけるよ。それに魔女の行動も裏で煽動して被害が拡大しない様にレアルと強力していたでしょ?」


「....私にはカインズ様やノックス様に並ぶ力も....魔族達全てを従える様な力がないのです。」


魔族の中でも上位に入る吸血族だが他の上位種族にはすぐに追い付かれるような微々たる差しかない。特に鬼人族の様に力に特化した一族には力では勝てないし、ダークエルフ族の様に魔法に特化した一族にも魔法で勝てない。


同時に襲われたならば一溜りもないだろう。カインズはその魔族達を簡単にあしらえる実力があった。魔女の協力によるものかと思ったが魔女の力はエルフ程だった。自分が対処できる程度だったがカインズは違う。そしてノックス様も別格だ。私達が何人束になろうとも片手で捻り潰すことができると断言できる実力差がある。それ程までにあるのだ。


「僕が魔王になる前はダークエルフの中でも落ちこぼれで身体が弱く、いつ死んでもおかしくなかったんだ。」


あり得ないナハトの呟きにチェルナスは信じられないものを見るように弱く笑うナハトを見た。


「先代の魔王は僕を俵担ぎして女神の間へ連れさると「次の魔王はこいつだから~!」って女神像に呼び掛けたんだ。そしたら頭に角が生えてきて魔王になったんだ。笑えるだろ?皆僕が魔王になるべく生まれてきた様に扱うし、それに相応しい力も宿ってたんだ。」


昔を思い出すように遠い目をしながら語るナハトに顔がひきつり始めるチェルナスだった。


「このままでは魔国バルデナは世界地図から文字通り消える。僕の最後の我が儘を聞いてくれないか?」


真剣で真っ直ぐなナハトの目を見てチェルナスは観念したように、長いため息をはいた。


「叔父の日記に魔王様のお願いには弱いので困ると書いてありましたが、やはり私も血縁者ですね....私も弱いみたいです。」


「....チェルナス、ありがとう。」


「今まで苦しんできた魔王様を少しでも開放したいと叔父の願いでもありましたから。」



「さて、覚悟が決まったならこの場で儀式をしちゃおう!黒!隔離結界魔法をこの部屋に最大でかけて。メノウ、ハルルは家具を壁に避けて。ナハトとチェルナスは真ん中に膝を付いて向かい合って。」


次々と指示を飛ばし準備を整えていく。


「え、え?女神像の場所に行かなくても良いのですか?」


チェルナスを真ん中に誘導しながら質問に答えてやる。


「女神像は女神に呼び掛けるためのアイテムだよ?必要ないよ。」


「でも女神様をお呼びになるんですよね?」


チェルナスの言葉にキョトンとした私は頷きながら大丈夫、大丈夫といって誤魔化した。


《マスター、隔離完了。》


「ありがとう黒。この部屋は異空間に隔離したから儀式が終わるまで不用意に結界に触らないようにね。私と黒以外は消し飛ぶから。」


さらっと伝えた言葉に私と黒以外の顔が青くなったのは見間違いではないだろう。


「い、異空間....!?」


驚いた声を無視して、自分の装備品を全てアイテムボックスにしまう。白の半袖シャツと半タイツになると髪を下ろした。


「《神魔法 女神降臨》」


一時的に私の本体をこの場の仮の肉体に宿らせる降臨魔法。白も黒もこちらに来るためにフェアリーフォックスの肉体を生成して意識のみ降臨している。私も同じだ。


だが女神の力はこの状態で使うのに制限がかかるので神殿にある自分の本体を呼ぶ必要がある。本当なら女神の間なら安全(周りが)なのだが黒による隔離結界で異空間になので問題なしだ。


問題は今の自分が恐ろしく輝いていることだろうか....仕様と言われれば仕方ないが自分も眩しいので暫し目が開けられない。目立ち恥ずかしいからこの手はすごく凄く使いたくなかったのだが緊急事態と認めよう。


目映い光に包まれながら光が治まるのを待っていた。

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