13、カモミールは落ち着く香り
ギルド依頼にマウントスネークは無かったのだが迷子中に沢山採取していた薬草の依頼がギルドから出ていたので高めに買取してくれ、(また綺麗な魔石が取れたらよろしくといわれたけれど...)
薬草依頼が達成できたので見習いから(Dランク)初心者(Cランク)に昇格しました。
「ではまたのお越しをお待ちしております!エルノラさん!」
「嬢ちゃんまた顔だしてくれよ、当分帝都にいるんだろう?あとリゼル。報告によると三番目らしい。直接聞いた方が早いだろう。」
ロイは見送りを、ドルタスはリゼルに行ってこいと言葉をかけた。
「何となくそんな気がしてました。調べていただいてありがとうございました。」
リゼルはドルタスにそう告げると来たときのように私の手を掴んで歩きだした。
「ではまた~。」
私は見送ってくれたロイとドルタスに手を振ってやはり若干引きずられるように賑わう都内へと入っていった。
広い通りを歩き途中大きな橋を渡ってさらに大きな通りに出る。店はないが大きな御屋敷が沢山建っている地区に来たようだ。
その真ん中を通り大きくて立派な門の前に来る。門は閉まっていて離れた両脇にはプレートアーマーを着こんだ兵士が槍を持って立っている。
上を見上げても門しか見えない。だが遠くから見たとき、見えたのは城だった気がする。
(騎士団の所に行くんだろうか?)
「客人を連れてきた。開門を。」
リゼルが門番に伝えるとギルドカードの提示を求められる。身分証明の為に必要なのだろう。
「エルノラ様。確かに確認致しました!副団長様の後に続いてお入り下さい!」
敬礼を綺麗に向けた門番達が開門!と言葉をを発すると門がゆっくりと開いていった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
日の光を反射し煌めく重曹なシャンデリア。
真っ赤なフカフカ絨毯に豪華な家具が置かれた華美だか嫌味のない内装の一室の豪華なソファーに私は腰かけている。
(何故こうなった...)
トントン
ドアがノックされて女性の声がかけられた。
「エルノラ様、失礼致します。入っても宜しいでしょうか?」
(ダメです、とは言えないわな。)
「はい、どうぞ。」
ガチャ
返事少し後にゆっくりとドアが開かれるとロングのメイドドレスを着て焦げ茶色の髪の毛をキッチリとお団子に高く結い上げた眼鏡の似合う50代程の女性が入室してくる。
「失礼するよ。」
「失礼致しますね。」
と続けて白髪の交ざった金髪を後ろにすべて流した壮年の品の良い服装をした男性と美しい儚さが漂う様な薄い煌めく金髪に紫の瞳をした高価であろう生地で仕立てられたドレスを纏った美女が入って来た。さらにその後ろに私をこの部屋に置き去りにしたリゼルにがいた。
座ったままだったので立ち上がろうとすると
壮年の男性からそのままで、と声をかけられた。
(似てるな...)
そう思いながら言葉に従う。
メイドさんはドアの横に立ち、私の前に壮年の男性と美女、リゼルが向かいのソファーに座る。
ソファーの間に置かれた長机に先に置かれていた飲みかけの紅茶を近寄ってきたメイドさんが下げ新しい紅茶を人数分それぞれの前に置いていく。バターの香る焼き菓子も添えられている。
漂う紅茶の香りが先程とは違う香りでカモミールの爽やかな香りがした。
「先に皆で紅茶を頂こうか。」
壮年の男性が声をかけて飲むように皆に促してきた。先にリゼルが口を付け次に美女、壮年の男性と続く。私も香り高い紅茶を一口飲み込んだ。