12、ギルマスはムキムキが多い
「よぉ、何か騒がしいと思ったらリゼルディスじゃないか?何で床で寝てるんだ?」
厳つい顔をしたスキンヘッドのおじさまが筋肉ムキムキの腕でリゼルを持ち上げる。ピチピチの半袖シャツからはみ出た肉体には戦歴であろう傷が幾つも付いている。恐らく隠れている部分にも沢山付いているだろう。
「ドルタスさん、お久しぶりです。」
二人は気安く挨拶を交わした。知り合いか?
「ギルドカードができましたよ。こちらは失くされると再発行に1000グルー必要になりますので気を付けて下さいね。」
ロイが黙々と手続きをしてくれたお陰でギルドカードを無事手に入れました。若干顔が青紫がかってるけどどうしたんだろうか?
「ありがとう。ついでにモンスターの牙と魔石を買い取って貰いたいんだけどできますか?」
昨日倒したマウントスネークのドロップアイテムを手に出して持つ。
「何のモンスターでしょうか?依頼のドロップアイテムならそのまま依頼達成にできますが、通常の買取りだと依頼より少し安く買われます。先に依頼で検索しましょうか?」
「では、先に依頼で。マウントスネークの牙と魔石です。」
机の上に牙と魔石を乗せる。
ザワザワッ
回りがざわめきロイの目が点になった。
「おっ、お預かりいたしますね、しょ、少々お待ちくだ、下さい。」
ロイが噛みながらアイテムを持って奥に入っていった。
「はっはっはっ!嬢ちゃんは強いんだな~!!マウントスネークは中々厄介なモンスターだからな。」
ドルタスと呼ばれたムキムキおじさまが話しかけてきた。そこにリゼルも入ってくる。
「彼女は賢者さまのお弟子さんでマウントスネークに食べられる所と俺の原因不明の病も治して助けてくれました。」
その言葉にドルタスの目が開かれると同時に
興味を持たれたようだ。
「俺はギルド長を任されている、ドルタス・ムーゲルだ。コイツの母方の叔父で体調不良の原因を探ってたんだが...礼を言わせてくれ。」
まさか食べられる所だったとは想像つかなかっただろう。ちょっと口がひきつってますよ。
「私はエルノラです。...名もない賢者の弟子です。」段々声が小さくなっていく。
「お待たせ致しました!!エルノラさん!」
ロイが戻ってきた。何か沢山の金貨が見えるのは気のせいか?
「マウントスネークの変異種の魔石です!牙はそのままですが、無傷の変異種魔石の為三倍の価値があるそうです!!」
これは凄い珍しいんですよ!と眼鏡を輝かせながらどれだけ珍しいかを熱弁している。
「すっ、すまんな。確かに変異種は珍しいからな。ロイは珍しい魔石を見るのが大好きで強いモンスター程魔石が傷つくから無傷で見られて少し興奮してるようだ。」
興奮してるロイを宥めつつフォローをいれるドルタス。
「俺が気がついた時はもうモンスターは消えていたので、そこについてはちょっとだけ半信半疑だったけど凄いな。」リゼルは素直にスミマセンと言ってきた。
まあ、Aランクが3人がかりでって呟いてたしね。それが通常なら私でも疑うよ。
「この魔石は是非買い取らせて下さい!マスター良いですよね!ね!」
宥めに失敗したらしい、この魔石は素晴らしいだの美しいだの頬擦りしたいだの言い出した。
「わかった!わかったから落ち着け!エルノラ嬢ちゃんもこちらちで買い取らせてもらっていいか?」ムキムキギルマスドルタスさんはムキムキの腕を活かしロイの口を塞いだ。
「あ~、はい。お願いします。」
魔石は金貨50枚になりました。