116、作戦会議
皆で話し合った結果、協力して闇ギルド解体することにした。アイツの事は後回しでいいだろうと思う。
「アルアネシスは魔王に近づき魔力を奪うつもりよ。でも中々隙を見せないから誘惑して妻になると言っていたわ。その為に暫く留守にするから私とサジェスタに管理を任せたの。」
「魔王から魔力を奪うね...なかなか面白いじゃない。じゃあ向こうに集中している間に潰すとしてどこから攻める?」
私の質問にレアルは顎にてを当て考えると私と仲間を見て口を開いた。
「私一人なら無理だけど、貴方たちが手伝ってくれるなら二ヶ所同時に潰せるかも...教団本部は後回しにして大丈夫だから、闇ギルド本部と救済の館を潰したいわ...ただそれには貴方がどれほどの力を持っているかだけど。」
(確かに実力も知らず、無謀な計画はたてられないね...ただ見てもいないのに信じてくれるかどうか...。)
「俺たちは勇者一行だ、一人で拠点を潰せる位の実力はある。俺は賢者の称号を持っているしな。」
メノウが懐から賢者の証を取り出すとレアルに見せた。それを見たレアルは軽く目を見張ると苦笑した。
「それは失礼しました、賢者様。他の方たちもそれに並ぶ実力をお持ちということでいいのかしら?」
全員頷くと、一人横に全力で首を横に振っていた。
「ぼ、僕はそんなに強くないですよ!?まさか、エルノラさんが今話題の勇者一行で、賢者様までいるなんて...そんな方たちに助けて貰ったりお金を借りてたなんて...」
「落ち着いて下さい、ラナージさんはここで少し手伝ってくださればいいのです。戦闘に参加する必要はありません。サジェスタを私が呼び出すのでデートに誘って下さい。」
「戦闘以外ならお役に立てるよう頑張ります!!って、ええ!!デ、デート!???」
レアルの最後の言葉をスルーしたかと思いきやしっかりと聞いていたようだ。
「サジェスタは淫魔族ですが今までお付き合いした殿方はなく、声をかけてくるものはサジェスタをそういうめ目で見て近付きますから怯えるんです。その分知り合ったのは最近ですがラナージさんは誠実そうですし、何より・・・・でしょう?」
[・・・・]に何が含まれるかは想像に任せるが顔を真っ赤にしたラナージが何で知っているのか!?と驚愕している反応を見るに間違いないだろう。
「だからまあ、安心だと?...複雑な思いですが...頑張ります。」
観念したラナージをみてレアルが「テディを誘惑しそうな女はなるべく近付けない様に先に男を見つけないとね。」と呟いていたが聞かなかった事にしよう。
「え~と、エルノラと呼んで良いかしら?」
「ええ。テディさんが嫉妬するので私たちはハニーさんと呼びますね。あと、賢者のメノウに、魔術師のナハト、竜騎士のハルル、神聖騎士のラピスです。」
「...すごいメンバーね。...お伽噺の職種まであるじゃない...深く考えるのはよした方がいいわね。救済の館は私とエルノラとナハト君の三人で、賢者様、ハルルさん、ラピスさんは闇ギルド本部を破壊してもらえると助かるわ。」
「メノウ、破壊するのは闇ギルド本部だけだからね?他に被害がでないように見張っておいてねハルル。あとちゃんと回りに騒がれないようにラピスが結界を張るのよ?忘れないでね。」
やり過ぎないように念のために注意して、ハルルとラピスを見張りにさせれば大丈夫なはずだ。
「わかっている。確実に成功に導こう。」
「最大限努力する。」
「......................。」
(ちゃんと見張っておくから大丈夫だ。)
「.....何か心配すぎて、不安だわ。」
念を入れた注意にため息をレアルにつかれたが大事な事なのでこれでいいのだ。
「ハニーさん、救済の館ってなんですか?」
「表向きは孤児院よ。裏は闇ギルド[魔女の宴]が実験する為の施設があるわ。昔ハイエルフが持ち込んだ物が沢山置かれているの。それこそ非道な実験の証拠書類も沢山ね。」
「へぇ~、じゃあ証拠持ち出したら跡形も無く吹き飛ばせばいいですね。」
ナハトが黒い笑みで手を爆発を表すように握りしめ手をパッと上に開いた。
「孤児院の子供たちは少し前に私がまともな孤児院に逃がしたから問題ないわ。今はいきなり消えた子供達を探す為に研究所の奥でギルドの奴等が集会をする予定よ。私もこれから参加して、そこで奴等を閉じ込めて一網打尽にするつもりだったから、その後どうやって詰所に運ぼうか困ってたの。」
「どれくらいの人数がいるの?」
「大体100人程ね、かなり減らしてきたから残っているのは私達と幹部が五人、幹部の部下たちがそれぞれにいるわ。私が集会の指揮をとるようにアルアネシスから言われているから、闇ギルドの連中はほぼ全て集まるの。」
「じゃあ闇ギルド本部の方は見張り以外はいないのね。文字通り壊滅しても問題無さそうだね。」
私の言葉にレアルの口元がわずかにヒクついたが苦笑いして程々にね。と言われてしまった。メノウ達の辞書に程々と言う言葉があることを祈ろう。
「集会が始まったら逃げ出され無いように結界を張って閉じ込めておきたいんだけど、どの位の規模で出来るのかしら?私だと一部屋分が限界で10秒しか持たないの、だから眠り粉を使うつもりだったのだけれど....。」
「その事なら問題ありません。僕がその施設事丸々結界に閉じ込めますよ。」
「そうですよね、やはり大規模な結界は無理....っえ、出来るんですか?」
「はい。この国事結界に閉じ込めることも出来ますよ。ただその規模だと他の事は出来なくなりますけど。」
「...........魔王様のような方ですね、賢者様と勇者一行ともなると規格外の方が集まるのでしょうか......、施設事結界に閉じ込めて下さい。タイミングを見て眠り粉を使います。」
「じゃあ私はサジェスタに化けてレアルの護衛がてら眠った闇ギルドの連中を捕縛して運べばいい?」
「え?ええ。でも、サジェスタになるには幻影魔法が使えないとヒューマン種のエルノラには化けるのが難しいわよ?」
レアルの言葉に私はパチリと指をならすと幻影魔法を使い見た目をサジェスタに変化させた。
ピンクのふわりとした長い髪に際どいベビードールの服を身につけた淫魔族は前に会ったサジェスタそのものだ。
「サジェスタ....本人みたい。エルノラは幻影魔法を使えるのね。凄いわ....」
また指をならし元に戻す。
「これなら大丈夫でしょ?捕縛した後はどこに運ぶ?」
「あ、ええ。北の騎士団詰所に先に捕まえた闇ギルド連中が秘密裏に捕まえて入れてあるからそこに入れるわ。」
「了解。じゃあ全て終わったらその詰所に集合ね。ラナージは連絡するまで城と闇ギルド本部と[救済の館]と北騎士団詰所には近付かないようにサジェスタとデートしてね。」
「は、はいっ!が、頑張ります!」
顔が真っ赤なラナージがビシッと敬礼する感じからして凄く緊張しているようだ、まずデート作戦が上手く行くかで後の行動も変わって来そうだね。