11、お仕置き対象増えました
大帝国アルネストは人間種族が主体の国である。大陸一つに五つの国がありその中の中心に在るのが四つの国を纏めたアルネストだ。
150年程前にこの大陸を争い戦争が起き、荒れ果ててしまった大地を旅の賢者が魔法で癒し、争う人々を諭し、新しい国作りを導き、今の国の形にした。
その後、人々の願いで国王となり、賢者の知恵と力で国を治めた。
大きすぎる国を五つに分け、各国の王に賢者の忠臣を据え、年に一度賢者の国に集まり議論しながら大帝国アルネストを作り上げた。
代々の帝王も各国の王も争うことなく協力し平和に発展を遂げている。
そのお陰か帝都も美しく、管理もしっかりなされ人々の活気も表情も生き生きしている。犯罪者等もいるが住民と兵士達との距離感も近く働きづらいだろうと思われる。
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ギルドへと向かいながら沢山の店や大きな噴水広場などを横目にリゼルがアルネストの事を聞かせてくれた。
(賢者の弟子は失敗だったかもしれない(泣))
私の嘆きを気にすることなく今まで見たより大きな建物の両開きの扉を押し開けた。
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドにようこそ。」
「きゃあ!リゼルディス様~、素敵!」
「本当に、聖騎士様を朝から拝見できるなんて!」
受付の素朴な眼鏡青年の声を遮るように黄色い声がする。
「リゼルじゃないか、しかも朝から女連れなんて珍しいな。」
「聖騎士は少し前から古の森に出てなかったか?」
「あれ?聖騎士って二日前に帰ってきたばかりだろう?」
野太い声もチラホラ聞こえる。皆朝から早いな~と思いながら眼鏡の受付青年と目が合う。
「よっ、ようこそ、ロイと申します。本日はどのようなご用件でしょうか?」
顔を真っ赤にしてたどたどしく仕事している。
「ギルド登録をお願いします。」
リゼルがロイと私の間に入り伝える。
ヒイィ...
何か聞こえたような気がしたかこちらからはリゼルの背中しかみえない。
「リゼル、私が登録するのに何で遮るの?」
リゼルは私(155cm)より頭が二つ分程高く、肩の位置が高いので脇腹に手刀を喰らわす。
「グフッ...」
リゼルが沈んだ。
「エルノラです!ギルド登録お願いします。」
「はいぃぃ!」
赤い顔が何故か青くなっていた。
出された紙に名前と職種を書き契約書を読む。
一年毎にギルドに登録更新に来ないと登録抹消になるがAランクからは三年毎なるとか、犯罪を犯すと監視対象になるとか、国に関わる戦争等の争いには参加しないとか、色々な制約がを説明されてその辺りはゲームの時と変わらないな~と思いながら署名する。
少し待って、ロイが四角いカード位の銀板とクリスタルでできた針の付いた台を持ってきた。その台の針が付いた真下に銀板を置く。
「ギルドカードを作るので少し怖いかも知れませんが針で指を一刺して血を垂らして下さい。」
私は戸惑うことなく指を針で刺し血を垂らした。垂れたのを確認したので指を外して口に持っていこうとしたらリゼルに手を掴まれそのまま指を口に入れられる。
チュッ
と鳴り離された指を見つめて血が出ない事を確認したリゼルはよしっ、と言って手を離した。
「よしっ、じゃな~~~~い!!」