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Good luck in my world  作者: エンリ
第4章 共和国ハイクタ~魔国バルデナ
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103、ごめんなさいはお早めに

膝まづくナハトの横に黒がストンと軽やかに降り立つ。


「黒....!?」


今までどこにいたのか、いきなり現れた黒にナハトは驚いた。


《あの時の魔王だったとは、小さくなりすぎて分からなかったぞ。》


ナハトの肩に乗りテシテシと肉球で頭を攻撃し始めた。


「僕も初めての経験なんですから仕方ないじゃないですか。地味に痛いですよ、爪引っ込めて下さい、黒。」


《私の封印を破るとは生意気だぞ。まあそれだけの力があったのだろうけど....。さっきは守れなくて悪かったな。》


黒は急にプイッとそっぽを向くようにナハトの肩から降り立ち私の方に来ると足元にすり寄った猫の様に甘えだした。


(素直に謝れないんだね....。)


「ナト、魔王を継承させるには相手を見つけないと....それが終わったら黒が眷属に迎えてくれるよ。」


とりあえず新しい魔王候補を決めなければナハトは魔王のままだ。


「.........................?」

(魔王なら今いるのではないか?)


ラピスがナハトをここに送り込んだ魔国にいる魔王の存在を指摘した。


「本来の選ばれ方ではない魔王は魔王ではないだろう。だからこのナハト?だかナト?だったか?は魔王の証しをこうして宿しているのだから。」


それをメノウが否定する。


「しかも今までの情報から魔王の特徴はカ....モガッ、フグッ........。」


ついでにハルルが魔王の特徴からカインズの名前を出そうとしたがすかさずラピスに口を後ろから塞がれ口に出すのを諦めた。


「よし、とりあえず聖樹の根は癒したからこの場所を塞いでダンジョンを出よう。外の様子も気になるしね。」


根のある場所を土魔法で隠し強化結界を施しておく。ダンジョンの最下層まで戻り亀裂の部分を修正し元に戻ったのを確認した。


「これから地上に戻るけどリゼは白と一緒に覚醒するまでは出てこれないからなぁ、どうやって誤魔化そう....。」


人数はあってるが、リゼルではなくここにいなかったはずのナハトがいる。幸い成長した姿で身長がリゼルと近くなったので何とかなるかもしれない。


「よし、黒。ナトに幻影魔法でリゼに見えるようにして。肩に乗ってればかけ続けることも可能でしょ。」


《了解。》


ナハトの肩に再び乗ると幻影魔法を発動させ光がナハトに集まり姿を隠すとパッと淡い光になり散った後には刺される前と全く変わらないリゼルの姿をがあった。


「....どうですか?リゼに見えますか?」


リゼルになったナハトが姿を確認するように見回した。


「うん。バッチリ、見た目はリゼだね。しゃべり方は....まあいいか。」



どこからどう見ても完璧なリゼルになったナハトの頭の上には、黒がベッタリと張り付いている。キョロキョロするナハトに振り落とされないようにしがみついている様は滑稽だ。


「ナト、あんまり急に動くと黒が落ちるよ。幻影魔法は範囲内に入れば発動したままだけど持続させるには触れたままの方が確実だからなるべくその体制になるから急な動きはしないようにね。」


「えっ!?この格好ですか....ちょっと恥ずかしいですね。」


まあ、頭にモフモフがしがみついている姿は大人姿の魔王には恥ずかしいかも知れない。


「大丈夫。黒はそのまま姿消しを使ってね。見た目の問題はこれでいいかな。このままダンジョンから出て、ズィーロさんの所に顔だしてから魔国バルデナに向かおうか。」


今後の行き先を確認しメノウ、ラピス、ハルル、ナハトと共にダンジョンから出るべく歩きだした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



薄暗いダンジョンから光が見え、出口に近づいた所で数人の人影が見えた。人影は、こちらを警戒するようにゆっくりと近づいて来ると一人が急に走りこちらとの距離を詰めてきた。


「おーーーい!!良かった!!無事だったか!」


逆光により顔が見えなかった人影がハッキリと見えてきた。ズィーロだ。


ほっとした嬉しそうな顔で手を降りながら駆けてくる。が、


「!!!!!」


三メートル程手前で急ブレーキをかけたように止まりサァーと顔が青ざめると180度方向転換しこちらへ向かってきたスピード以上の速さで戻っていった。


「ぜぇーいん退避ーーーー!!!!!」


と大声で叫びながら。


「ズィーロさんだったよね?どうしたんだろう?」


後ろを振り返り皆に聞くが首を傾げるばかりだ。


「相変わらず五月蝿い奴等だ。」


呆れたように言葉をこぼしたメノウに私は注目した。


(あー、メノウを見て逃げたのか....)


追いかけたら更に逃げそうだと思い、気持ちゆっくりと出口を目指したのだった。



出口にたどり着き、先ほどいた数人は三人に減っていた。ズィーロ、ジェネラル、アーバン

の三人が一様に青ざめた顔で緊張しているのが分かる。


「ただいまです、ズィーロさん達。」


私は気にせず挨拶をすることにした。


「ああ、....そうだよな、エルノラ殿は賢者の弟子だもんな....そりゃ賢者もいるわな。」


ズィーロさんが遠い目をしながらぶつぶつと呟いているがよく聞こえなかった。


「よく帰ったな、お前達のお陰で俺達の方も死者があまり出ずにすんだ。流石、英雄と勇者と言われるだけある。」


やはり勇者は確定か....。女神が勇者っていいのか?


「報告ではワイバーンが多数いたそうだが?全くの無傷に見えるな。これも勇者だからか?」


アーバンが感心するように言葉をかけてくるが私はぐいっとメノウを三人の前に引っ張りだすと頭は届かないのでメノウの髪を下から引っ張り頭を下げさせ、私も下げる。


「ダンジョンの溜まった負の魔力を使ってモンスターを定期的に溢れさせ、ダンジョン内にワイバーンを幻覚で出して入れなくしてしまってごめんなさい!!」


「説明もなく勝手に色々騒動にしてすまなかった。」


特に髪を引っ張られたのを気にせず素直に頭を下げメノウが一緒に謝罪をする。それをみたズィーロ達は一瞬ヒィ!となったが内容を聞いてキョトンとした後、真面目な顔で頭を上げてくれと言った。


顔を上げ詳しく聞きたいと言うので経緯を説明すると三人は難しい顔をして集まり話し出した。





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