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詩になりたかった何か。

空を見上げる。

作者: amago.T/

 代わり映えのない日常。

 それこそが幸福なことだと思う。


 それを送ることのできない誰かだって、きっといるのだから。


 でも、「だからこそ」か、「むしろ」か。


 不安定な日々に対して憧れを抱く。

 いざそんな状況に身を置くことになったのなら、耐えられないのかもしれないけれど。


 不幸を知らなければ幸せに気付かないし、幸せを知らなければ不幸に気付かない。

 誰の言葉だったか。


 今のわたしは、はたしてどちらか。

 井の中の蛙か。


 自分ではない誰か、此処ではない何処か、代わることができるのならば代わってほしい。

 いつだって、無いものねだり。


 代わり映えしない、といっても、本当に何も変わらないはずはない。

 時間は流れる。風も流れる。川の水も流れているし、ともすれば噂も流れる。

 足元に変化を見つけることだってある。


 名前を知っている数少ない草の一つである大葉子がいつの間にか生えていたり、掃溜菊の花が咲いていたり。

 いつの間にか朴の木の実が落ちていたり。

 金木犀と銀杏の独特な匂いはその木の存在を主張しているけれど、姿は見えない。

 どこにあるのかと首をめぐらせればトベラにも実がついている。


 今は秋か、夏は終わりか。かと思えばもうすぐ冬か。


 ヒガンバナの花はもう萎れている。


 砂利道を歩けば、石が跳ねる。

 どこまで行くのかと目で追えば、ずっと向こうに雲のない空があった。


 もう昼も過ぎたけれど、建物の陰から、お月様がこっちを見てる。


 何も代わり映えのない日常の中で、少しずつ、巡っていくものたち。

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