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第7話 彼の正体

次の日…土曜日。

そんな男子チームのまんじりとしない思いをよそに、恵美率いる女子バレーは練習試合。

和斗は恵子に起こされて、エルグランドに乗り、恵美を含む女子バレーチーム数名を乗せ会場へと移動。

会場に到着。部員を降ろし、ヒョイヒョイと道具を担ぎ移動。


そして、顧問の先生に


「道具を持つのも鍛錬ですから、お父さんは運ばないでください!」


と叱られペコペコしていた。


一人観客席に移動し、試合観戦が始まる。

そこに、部員のママさんに囲まれた。

なぜか、記念撮影に巻き込まれている。


恵美はそんな様子をずっと見ていて



 なにやってんだろ…。ふふ…。



と微笑ましく見ていた。同じ部員もその様子を見て


「あーウチのおかーさんみっともない…。」


「ゴメンね。ウチのカズちゃんもノリがいいから…。」


しばらく恵美の試合の様子を見ていたが恵子からラインが来たのか、やおら立ち上がり、会場をでていった。


そして昼食時。和音と恵子をつれて戻って来た。

またニコニコモードが始まった。


観客席に座りながら恵子が


「で?勝率はどうなの?」


「えーと…。」


「見てなかったでしょ!」


「次勝てば、3位ですよ。メグママさん。」


と、他のママさんから説明を受けて慌てて恵子はお礼を言った。


「あ、ありがとうございます~。」



 なんか、夫婦してペコペコしてる…。

 なにしてんだろ??




「杉沢!集中しろ!」


「ハイ!!」



 なんなの~。もう、カズちゃん来ると気になるわ~。

 集中できん!!



恵美はどうしても、和斗がスマホ出したり、トイレ行ったりする一挙一動が気になって結局次の試合で敗退。3位にもなれず…。顧問の先生には単独で怒られる始末…。



 はぁ…。やっぱ気になっちゃうわ~…。

 恋ってこんな感じなのかなぁ~…。


 上木にも…トミーにだってこんな気にならない…。


 自分の親が気になるって…やっぱあたし変??



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



次の日。祭り当日だ。和斗は広いベランダでコンロの火を起こしていた。

そこに、恵子の父である渡良瀬の義父が登場。

一緒に火をおこし始め、義父にビールを手渡した。


「暑いですね!早速始めましょうか!」


と、ビールのプルタブに手をかけた。

そこを恵美に見られた。


「あ!ちょっと!カズちゃん!送ってくれる約束でしょ!?」


「あ…そーだ…。お義父さんスイマセン。オレ、まだ呑めません。」


「なんだ、そーか。しょうがない。じゃ、お先に。グビリ」


「遠慮してくださいよ!もーお義父さん…。」


「だって、運転すんだろ?カンパイ!!!!」


「腹立つわ~。メグ!もう行くぞ!」


と、ベランダを飛び出してずんずんと1階へ降りて行ってしまった。


「え?ちょっと待ってよぉ~。」


こちらもあわてて急いで恵子に着付けしてもらって準備完了!


「じゃ、おじーちゃん、行ってくるね!」


「オウ!…お~。メグミかぁ~。見違えたな。来年はおじーちゃんが浴衣新しいの買ってやるぞぉ~!楽しんで来いよ!」


孫の浴衣姿に見とれ気をよくしたのか、来年の浴衣を買う話までする、渡良瀬の義父。

恵美は、これなら父和斗もドキリとすると思い、悦び勇んで冷房の効いた和斗のレクサスに乗り込んだ。


「じゃーーーん。」


「いくぞ。」


リアクション一切なし。

もはや、家に帰ってビールを飲む頭しかないようだ。


またも恵美はイラついた。


途中で美波と瑞希を拾う。

14:00に河原の駐車場に到着。

和斗に指差して、男子達が待っているところに直接レクサスを止めさせた。


レクサスが少年たちの目の前で駐車されるので、三人はドキリとした。


「うわぁ!…すげ…レクサスだ…。あ…杉沢…。」


「マジ?杉沢の…彼氏…??」


ドキドキの男子チーム。


瑞希、美波、恵美。それぞれ、車から降りる。

最後に和斗。車内のミラーで髪の毛を確認し、多少前髪をいじった後、ドアをあけ降りバタンと閉める。


上木を筆頭に驚く三人。



(で…でか…。オレだって178cmあんだぞ…。こんなデカい人いるんだ…。)

(うわぁ…カッコいい…。これじゃ…オレ達束になっても勝てやしねぇ…。)

(マジか…金も持ってんだろうなぁ…歳は…30~35くらい??)



その三人に和斗はニンマリといつものスマイルを送った。


「じゃ、カズちゃんありがと!」

「メグパパさん、ありがとうございましたぁ!」


そんな女子のセリフを聞いて男子三人は声を揃えて


「パパァ??」


脱力感が半端ない。よくみれば、恵美に似た顔だち…。

そんな和斗はピンと体を伸ばして格好を付け、決め顔をした。


「じゃ、メグ。お父さん、商工会のテントに寄ったら帰るから…。帰りは歩いて来るか…タクシーで。」


「じゃ、お小遣い。」


「マジかよ…。じゃ…ハイ。」


財布から困らない程度を出して恵美に手渡した。


「じゃ、男子諸君。ウチの娘達をよろしく!変な気だすなよ?ふふふ。」


といって背中を向けて去っていった。その背中を見ながら


「なんだぁ…。」


上木はつぶやくと、富沢が調子よく


「オイ!上木…。だから取り越し苦労だって言ったろ?」


「オマエ!」


「はは!ウソ!冗談!」


駐車場で始まる追いかけっこ。

富沢は冗談のつもりだが、上木は若干本気だ。

いつものことなので、佐川はそっけなく


「ささ、女子達~。花火見えるところ、もうすでに場所取りしてあるから、ささ、どうぞこちらへ!」


といって、勝手に女子をつれて歩き出した。上木も富沢もじゃれ合いを止めて佐川に続いて先導して行く。

富沢は上木に近づいて…。


「オイオイ、よかったな。パパで。」


「オウ。」


「そんで、どうすんの?告白。」


「する。作戦開始。」


「オーケー!」


男女六人、絶好の観覧場所である河原の土手まで移動していった。


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