第6話 男子チームの憂鬱
次の日学校。
今週の日曜日の祭りの話しで盛り上がる、思春期女子3人。
「上木と、佐川と、トミーなのね。ハイハイ。いいじゃん。リア充じゃん。あたしたち。」
「メグミとミズキは何着てくの?」
「あたしは、ケイちゃんに浴衣着せてもらう~。」
「おーじゃ、三人で浴衣美人いっちゃう?ミズキも買ったって言ってたよね。」
「そのとーり!今年買ったばっかりだし。…安くなってた去年のモデルのだけど…。」
「フフフ。」
楽しそうに祭りの話しをしている、そこにやってきたのはお調子者の富沢だった。
「よ!お三人さま。日曜日よろしくね!」
「はいよ~。よろしく~。」
「みんな、何着てくの?」
「ふっふっふ。男子諸君、見とれるなよ~。」
「浴衣だよ~。」
「マジ!?マジか…!ッめっちゃ萌えるッ!」
「男子も着てきたら?」
「オレ、持ってねーもんな~。」
「フフフ。」
雑談から、上木の気になっていること…。
恵美に彼氏がいるのか?それを聞いてくるのが富沢の使命だ。
それとなく遠回しに
「ところで…女子三人は、俺たち誘わなかったら誰かと行く予定とかってあったわけ?」
「あるわけないじゃん…。寂しい青春送ってんのよ。ま、三人で行ったかもしれないけど…。多分家にいた?」
「遠いもんね。河原まで。」
と、美波と瑞希の予定がないことが分かった。
コイツラには彼氏がいない…。
美波にひそかに恋心を寄せている富沢は心の中でガッツポーズをとった。
しかし、本日の目的はそれではない。
「杉沢は?誰かと行きたいみたいだったって聞いたけど。」
「あ~…でも…大丈夫。」
「ははぁ…。あの年上の方ですか。」
西条瑞希の言葉に「!!」となる富沢。
「まぁ…ね。でも車で送ってってくれるみたい。」
「え?年上って?車でって…大学生?社会人?」
瑞希は面白がって、
「社会人。社会人。はは。」
と笑いながら言った。富沢、テンションがた落ちで
「マジスカ…。」
「なに?どーしたの?」
愛しの美波に最後に声をかけられたが富沢、ショックでそれどころではなくヨタつきながら三人から離れて行った…。
「なんだろ?トミーどーしちゃったんだろうね?」
「勘違いしたんじゃない?社会人が彼氏だって。どうする?言う?メグパパさんだって。」
「いーよ…。勘違いさせとこ…。」
「え?トミーって、メグミに気があるのかなぁ…。」
と、美波が気にしだす…。
「さて、どーでしょーね?」
とニタニタ顔の二人。
美波は少しため息をついた。
そして、富沢の帰りを待つ男子チームに戻ってゆく勇者富沢。
「はい、男子チーム大集合。」
緊急ミーティングだった。男子チームをベランダに引き連れ頭を揃えてナイショ話を始める。
「なに?なに?」
「いいニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?」
「なんだよ。もったいぶんなよ。」
「いいニュースからでお願いします。」
「のってんじゃねーよ。」
「いいニュースは、今朝方、ウチのじーちゃんが可愛がってる文鳥のヒナが産まれたってことと、女子チームは全員浴衣で来ます。」
「マジ?いや、文鳥に食らいついたわけじゃねーよ?浴衣!」
佐川は飛び上がって喜んだ。
しかし上木は悪いニュースが気になって仕方がない。
「悪いニュースは??」
「…まぁ…日々、哀しいニュースってのは流れるものですが…これはちょっと…その…最たるもの。」
全てを悟ったように、上木は「…はぁ~…。」とため息をついた。
「杉沢には意中の人がいて、その人は社会人。当日、車で会場に送ってきてくれます。」
がっくりとうなだれる上木。
「車で送ってくれるって…深い…仲なのかな…?」
「たぶん…だろう…で申し訳ないけども…そうなのかも…。中二だけど…あいつ大人っぽいもんな。」
しかし、上木は少しの可能性にかけたい!
ウソだと思いたい。
富沢の報告に食らいついた。
「ちょっと待て。なんで送るだけなんだ?日曜日に車で送れるってことは休みなんじゃぁないか?それを送るだけ?しかも男といかすかぁ?」
「それは、オレの与り知らぬところ…。その結果は二日後にでるのです。」
「そーだな…。二日後には分かるってことだな…。」