表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/65

53話 お人形が不気味なんです!

更新が遅くなり申し訳ございません!


今回から本編に戻ります。

 

 トテトテと歩く小さい影。ある部屋の前で止まる。

 そして、とてもドアノブに届きそうにない手なのに器用にドアが開き小さい隙間から、部屋の中を覗いた。





 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「私は反対だ。」


 ムスッとした顔で紅茶飲む、私の旦那様であり、このリンカーヌ国の皇太子でもあるルイス殿下はご機嫌ナナメだ。


「どうしてですの?」


「危険だからだ!」


 私達が今、私の部屋でティータイム中に話しをしているのは、王都より馬車で3日ほど離れた街、ミランバルの街に半年間かけて孤児院を建てたことだ。

 前日、その建物が出来上がったと報告を受けたので、ミランバルの街へ行くと言ったらルイス殿下が猛反対をしている真っ最中なのだ。


 勿論、ルイス殿下の言う通り危険もある。まだ、私を襲った賊は捕まってないし、誰なのかさえも分かっていない。


 賊のことだが他の大陸に住んでいるフレアさんが言うのが正しければ、この大陸、国に住んでいる人でないので誰だか分かる訳がない。


 そのことに関してはハッキリとしていなので、ルイス殿下に言っていない。


 フレアさんと言えば、最近はネネと一緒にハヤバトと言う鳥さん(実は鳥でないらしい)とやり取りをしていて、たまにフレアさんのコメントを聞いている。鳥さんがしゃべっている様にしか見えないから不思議な感じがする。


 私は言われた通り、いただいたお人形は肌身離さずに持っている。


 なので「残念な皇太子妃」は、今も継続中。


 たまに貴婦人や侍女からの哀れみの()で見られるので嫌だけど、命には代えられないから!


 なるべくお人形は二体持つようにしているけど、流石に夜会などには持っていけないから、ドレスの中の太ももあたりに一体を装着している。


 最近では使い分けをしていて、ちょっとした宮の移動とかには、ニッコリしたお人形を持ち歩いている。

 ドレスの中に入れるお人形は「へ」の字のお口のお人形。


 フレアさんはなるべく「へ」の字のお人形の方を持って歩いて欲しいと言われたけど、ニッコリと笑ってる方が可愛いからついそっちの方を持ち歩いてしまう!


 それに「へ」の字のお口のお人形は少し変なんだよね·····。




「フレア、それにもっと重要なことがあるだろう?」


 あっ、まだ話しが続いてたわ。


 ルイス殿下はこちらをじっと見ている。


 言いたいことは分かる。「世継ぎ」のこと。


 ルイス殿下は焦っているのだ。

 私が妊娠しないから。

 まだほぼ週に4日~5日、私の部屋に通ってくる。おかげでますます側妃達との溝が深まった。


 毎回、気を失うまで求められる。しんどいったらありゃしないわ!だけどお陰様で体力は少しついた。


 それでも妊娠しないから、ルイス殿下は焦っているのだ。多分、ここまでして妊娠しないのは私の身体に欠陥があるとルイス殿下は思い始めているのだと思う。


 避妊薬様々だわ!ふふふ♪


 最近では、お子に恵まれなくてもなんとか、離縁をしまいと画策をしているようで········。そんなこと辞めて欲しい!


 私は離縁して平民になって自分の人生を歩むつもりなんだから!


 ·······まっ、私の思考はさておき、もしミランバルの街へ行ったら、行き帰りで最低6日はかかる。滞在は現地に行ったら、色んな打ち合わせをしなくてはいけないので最低でも7日~10日は滞在すると思う。

 つまり半月は帰って来れない。


「アリア、ミランバルの街の孤児院はキースか、環境庁のミッターマイヤーに任せれば良いではないか。アリアが一番しなくてはならないのは、私の子を宿すことだ。」


 ルイス殿下、率直にきましたね。

 ですが、そう言うわけにはいかないわ!


「ルイス殿下は私に無責任になれとおっしゃるの?」



 ここから私達の口論という戦争が始まった!


 カーンッ!!!と鐘がなった。







 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「もう!ルイス殿下ったらしつこいんだから!」



 あのあとはずっと、「行きます!」「行かせない!」の言い合いをしていた。

 ルイス殿下の休憩が終わり、なかなか執務室に戻ってこないルイス殿下に焦れた、側近のイーサが呼びにくるまで続いた。


 最終的にはまだどうなるか決まってないけれど、また夜にでも言うつもりでいる。



 ルイス殿下とひと悶着した後、ネネが美味しいハチミツ入りの紅茶を出してくれた。

 私は一つため息をついて、ハチミツ入りの紅茶を飲んだ。


「美味しい!」


 私が思わず叫んでしまった。

 ネネは目を細めてニッコリした。


「それはようございました。」


 お互いに見つめ合って、ふふふと笑う。


 その時にドアをノックする音が鳴った。


 コンコン


「はい。」


 ネネが急いでドアに向かう。

 相手と何度の言葉のやり取りをした後、ドア閉めてネネは何かを手に持ってこちらへ向かってきた。


 ネネの手に握られていたのは、私の護身用のお人形······そう、お口が「へ」の字のお人形。


「また何処かに落ちていたの?」


「はい。今回も後宮の中の廊下に落ちていたようです。」


「そう······。」


 ネネがそっとお人形を私に渡した。


 この「へ」の字のお人形は、「ダンちゃん」と名前が付いているんだけど、ちょっと不気味なの。ちなみにニッコリ笑っているお人形は「シャベちゃん」という名前らしい。


 最近なんだけれど、ダンちゃん人形はよく行方不明になりあらゆる場所で見つかる。


 最初は、私が夜会に出かけていた時だった。その時はたまたまシャベちゃん人形をドレスの中に装着していた。タンちゃん人形は私の部屋でお留守番していたはずなのに、王宮の応接室前に落ちていたと、見張りの者が私の宮まで持ってきてくれたのだ。


 ある時は、私は寝る時には枕元に自分の頭を挟むようにして二体のお人形をそばに置いて寝ている。


 だけど、朝になったらダンちゃん人形が無くなっていた。

 誰かに取れたのでは!と大騒ぎしたのだけれど、今度は王宮の庭園に落ちていたと、キースが持ってきた。



 そして夜、ルイス殿下がいらっしゃる時はソファーの所に後ろ向きにして座らして置いている。


 だってお人形でも、ルイス殿下とにゃんなことをしているのを見られるのは恥ずかしいし!!


 その時にも何回か同じことがあった。


 こんなに頻繁に無くなる·····というか、居なくなるなんてありえるかしら?


 取られている訳ではなく、何処かに落ちている。

 それは王宮だったり、後宮だったり、ルイス殿下の部屋だったりと·····。


 ここまで頻繁にあると、お人形が自分で意思を持ち歩いているのではないかと思う。


 でもまさかお人形が!?と思うと不気味で仕方がない。


 私はダンちゃん人形の顔を覗き込み、


「お前はもしかして歩けるの?」


 と話し掛けてた。


 キラリとルビーみたいな目が光った気がした。







 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 小さな物体が部屋を覗き込んでいる先では、一人は真っ赤なドレスを着ていて、一人はメイド服を着ている二人の女が話していた。



「なら。そろそろ、あの計画の決行が始まるのかしら?」


「そうでございますね。先日、例の孤児院が完成したと連絡が入ったと王宮に潜り込ませている者から連絡がございましたので。」


「あちらにも連絡をしたのかしら?」


「はい。すぐに早馬を走らせてました。」


「良くやったわ!·····でもあの女はミランバルの街へ行くかしら?それに連絡があちらに取れても、あちらはすぐに動いてくれるかしら?」


「それは大丈夫ですわ。あの女が建てた孤児院ですから必ず行くはずです。それに行くとしてもすぐにはきっと行動は出来ないと思いますわ。旅は色々と用意するものもごさいますし·····」


 そのメイド服を着ている女は言いにくそうに言う。


「······その····ルイス殿下はきっとあの女がミランバルの街に行くのを反対すると思いますので説得に時間がかかると思います。あちらが実行するには十分に時間ができると思いますわ。」


 その話しを聞いていたもう一人の真っ赤なドレスを着ている女の目つくが鋭くなる。


「ヒィッ!」


 メイド服の女がドレスの女の顔を見て怯える。


「あの女はルイス殿下の横に立つには相応しくないわ!ルイス殿下のお子さえも身籠らない!身分もそうよ!身分も申し分ないし、お子も産んでいる私こそがルイス殿下の横に相応しいの!」


「そうでございます!姫様がルイス殿下の横に並び皇太子妃にお相応しいお方でございます!」


「お前もそう思う?ふふふ。その為にはあの女は邪魔なのよ!早く居なくなって貰わないと!」


「はい!」


「例の男には?」


「勿論、同じく早馬で知らせております。」


「ならいいわ!吉報が来るのが待ち遠しわね!オーホッホッホッホッ!」


 真っ赤なドレスを着た女が高笑いをする。


 小さな物体は、そのやり取りを見てそっと、どうやっているのか音も立てずにドアを閉めた。


 そしてトコトコと歩きだし、後宮と皇太子の宮を繋ぐ渡り廊下の手前でパサッと倒れた。



いつもお読み下さりありがとうございます。


感想やブクマ、評価をくれた方ありがとうございます。

これからも宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ