49話 攻防戦....それにより側妃達とますます険悪になりました。
今回はお盆休みで書けましたので更新します!
連休っていいですね!
ですが仕事が始まりますので、また亀の早歩きくらいに戻ると思いますが、これからも宜しくお願いいたします。
屋敷に私の悲鳴が響き渡った。
ルイス殿下はニコニコと笑顔になって、私の隣にしれっと座った。
「ネネ、私にも紅茶を。」
ネネは呆然としていたが、ハッと我に返り「只今」と言って急いでカップなどを用意するために退室した。
私もそれで我に返りルイス殿下に問いかけた。
「いきなりどうしたのですか?」
「うん。今日は国王夫妻と、国の重鎮達が集まって会議があったんだよ。その会議はアリアのことだったんだ。」
「私のことですか?」
何だろう?
その時にドアをノックする音が聞こえ、ネネがお辞儀して入ってきた。
ネネは「失礼いたします。」と言い、静かにルイス殿下の前にカップを置き、紅茶を注いだ。
ルイス殿下は紅茶を一口飲むと、ネネに退室するように指示をした。
ネネはまたお辞儀をして部屋から退室した。
それを見届けてからルイス殿下は、先ほどの続きを話始めた。
「アリア、私達が婚礼を挙げてから三年半が経った。早いものだな。」
「·····そうですね。早いものですね。」
私にとってはそうでもないけど!
「それで一つ問題があるのだ。」
「問題····ですか?」
ルイス殿下は頷いた。
「そうだ。それは私とアリアとの間に子供が居ないことだ。」
やっっー!きたーー!
とうとう問題になっちゃった!?もう少し先だと思ってたのにー!
心の中で叫んだけど、顔には出さないようにできた。
ここからは演技が必要ね!頑張れ私!
私は伏せ目をし、なるべく傷ついたような顔をした。
「·····そうですわね。確かにルイス殿下との子が出来ておりませんね。」
ルイス殿下は私の様子を伺いながら話を続けた。
「そうだ。だから私は思った。アリアの優しさに甘えてしまい側妃達との交流を増やしたことによって、アリアと共に過ごす時間が少なすぎたのではないかと。」
いや!全然大丈夫です!もっと側妃達の元へ行って欲しいくらいです!
私と過ごす時間が少ないって····ほぼ毎日朝夕二人で食事をして、暇さえあれは私の元にやってきてはイタズラをしてるのに!?
十分ですが!!
「アリアは知っているであろう?正妃は五年以内に子が出来ないと皇太子妃という身分は剥奪され、離縁になるということを。」
勿論知ってますわ!私はそれを狙ってます!ふふふ。
とは言えないので、少し言葉を濁す
「はい·····少しですが聞いておりました。本当なのですね。」
「そうだ。代々の正妃は何事もなく子ができたので、ちゃんとした説明はなかったかもしれないな。この国では子供を産んで正式に皇太子妃と認められるのだ。」
「·····過去には子が出来なかった方はいらっしゃらないのですか?」
「いや、200年前に一人いたらしい。」
「その方は?」
「本人の希望により臣下に下賜されたはずだ。」
へぇ。修道院には行かなかったのね。
「離縁したら、自分で、臣下の元へ嫁ぐか、修道院に行くかのどちらかが選べる。」
「故郷へは帰れないのですか?」
私の問いにルイス殿下は頭を振りはっきりと言った。
「帰れない。実際に帰っても笑い者にされるだけであろうし、子供が産めないとなると嫁ぎ先もないだろうからな。この国なら臣下へ下賜されて降家になろうが、待遇は正妻になるからある程度は保障される。」
「では、故郷でそれでも良いと言ってくれる方がいらっしゃったら帰っても大丈夫なのですか?」
「·······そうだな····何分前例がないから分からないが。基本的には皇太子妃の意志に添うようになる。」
そうなんだ。
う~ん。でもやっぱり出戻りは無理だろうな······。
「私はアリアと離縁したくないし、離れたくない!だから子供がてきるまで毎日夜は一緒に過ごそうと思う!」
いやいや、それは勘弁してください!避妊薬がある限り妊娠なんてするわけないですから!
私には強~い味方がいるんです!!
「私は自然に出来るのがいいと思います。出来なかった時はその時はその時で覚悟を決めますわ。」
「それではダメなのだ!私はアリアと離れたくない!」
そこからはお互いに攻防戦が始まった。
それは夜中まで続いたのだった。
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チュンチュン
小鳥の囀ずりで目が覚めた。
隣には満足気にスヤスヤと眠るルイス殿下がいる。
ああ····また気絶したのね。
相変わらずの絶倫ぶり。毎回毎回、なけなしの体力を搾り取られている。
前は週に一回だから良かったけれど、新婚当初を思い出す。いや、あの頃よりパワーアップをしている気がする。
窓の方を見ると、カーテンから光が漏れていた。だが明るさはないので夜明けくらいの時刻なのだろうと察した。
私の妊娠問題が取り上げられたあの日は夜中まで、押し問答が続いたけれど、何とか週5日で収まった。本当はもっと減らしたかったのけれど私が根負けした····というかもう眠くて仕方がなかったので早く終わらしたかったというのもある。
こんなことしたら絶対に側妃達が黙ってないだろうと思っていたが、案の定後宮の方では、ちょっとした騒ぎになっているらしい。(ネネ情報)
残りの週2回はナディアの所とナマミル国から嫁いできたマジュリナ所に通っているみたいで、他の側妃達はそっち退けにしているらしい。
もう少し考えて通えばいいのにと思ってしまう。
ルイス殿下が週2回は後宮に足を運んでいるのは、他の側妃達も分かっている。たが、残りは後宮に来た様子がない·····ということは私の元へ通っていると判断されていると思う。実際にそうなんだけどね。
だからか、ますます私と側妃達(一部は除く)との溝が出来てしまった。
ナタリアなんて、
「アリア様の元へはルイス殿下は通ってないみたいですわね。既にルイス殿下に飽きられているのでなくて?」
などと失礼なことを会うたびに言われていた。(私はスルーしてたけど)その上、私を見る目が付き鋭いこと!
気にはしてないけどね。今は風当たりは強くなった気がする。
ナディアは相変わらず、私を慕ってくれている。私が居なくなったらナディアが····と思ったけど、頭が少しお花畑だから厳しいかもね。
今日は週に一回の側妃達との交流会。
嫌だわー。
「アリア様!ひよこちゃんは、ひよこちゃんなんですよ!」
「·····。」
ナディアは最近、文鳥を飼い始めたのだ。まだ卵から孵ったばかりの雛を育てている。まあ、世話をしているのは侍女だろうけど。その雛に「ひよこ」と名付け(センスなし)可愛がっている。
そして今、いかにその雛が可愛いかを語っている。そしてよく分からない·····。
17歳とは思えない話だわ。でもバカ·····いや、出来の悪い·····いや、素直で可愛いのだ。
どうやら蝶よ花よで育てられたらしく、人を疑ったり、人の好き嫌いをしない子だ。ちょっとした意地悪されても気づかない。
だからか、誰にでも話しかける。ナタリアとかはナディアを苦手としているみたいだった。
とても羨ましくもあり、このままで純粋で居てくれたと思う。
ナディアはひよこの話で盛り上がっているが、他の側妃達はピリピリした雰囲気をかもし出している。それぞれに好きなお菓子やお茶などを嗜んでいた。
ナタリアはナディアのひよこの話が終わる気配がないため、鬱陶しくなったのか、いきなり私に話かけてきた。
「アリア様!」
いきなり大きな声で話かけてきたので、ナディアはビクッと身体を揺らした。
「ナタリア、何かしら?」
「最近、ルイス殿下が夜に後宮に足を運びになっていないようですがアリア様の元へ行かれてるのでしょうか?」
ナタリアは直球で聞いてきた。他の側妃達も気になっていたらしく、固唾を飲んでこちらを見ている。
「そうよ。」
私の返答にマリーベルとアナラーナは顔を歪ませた。他の側妃達は無表情。特にモッコロ帝国から嫁いできたユーフナリは冷たい表情でこちらを見ている。
ナタリアなんかは、悔しそうにギリっと歯ぎしりをした。
ナタリアさん、歯ぎしり聞こえましたよ。
ナディアを見たらキョトンとした顔をしている。ナディアを顔を見ると脱力感が······。
「ずっとでしょうか?」
マリーベルが聞いてきたので素直に答えた。
「そうね。週に5回は来て下さってるわ。」
私が行ってる、のではなくルイス殿下がいつも私の離宮にきて自分の宮へ連れ去ると言った方が正解ね。
「なぜいきなりそんなに·····」
心の声が言葉になってますよ、ナタリア。ナタリアはかなりショックだったのか少しの間、呆然としていたがすぐさま私を睨んできた。
それに私もちょっとムッとした。
「ナタリア、私はルイス殿下に飽きられてはいないようよ。」
私は、いつもナタリアには飽きられているとか言われているので意趣返しに嫌みを言った。
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ナタリアとの決戦!?から1ヶ月が経ったある日。
その日はルイス殿下は他の側妃、ナディアかマジュリナの所へ行っていて、一人で安眠を貪っていた。
夜は隣の部屋で待機しているのはレイナだ。ネネは子供がいる為に日中のみの仕事としていた。
夜中に視線を感じて息苦しくなった。
喉も乾いたかも。
そう思い、隣の部屋で待機しているレイナを呼ぼうとし目を開けたら、私を覗き込んでいるような黒い影が見えた。
「きゃっ!」
私はびっくりして思わず声を出したが、すぐに口を手で覆われた。
どういうこと!?どうやって部屋に入ってきたの!?
っていうか、ドアの前にいる警備兵はどうたのよ!!
そんなことを考えているとその影····賊は私に話かけてきた。
「騒ぐな。確認するがお前はアリア皇太子妃で間違いないか?」
私はその質問には答えなかった。
賊はそれを肯定と認識したようだった。
「悪いが死んでもらう。」
賊はそう言うなり、口を覆っていた手に力を入れ、もう片方の手をゆっくりと私の首にかけたのだった。
いつもお読みくださりありがとうございます。
ブクマ、感想をありがとうございます。活力になります。




