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第五十四話 問題点はカスタマイズして解決しよう

 翌日の午後、早速ウォーターガンの試作をした。「ステータスオープン」と唱えて、真実の指輪で性能を確認。


『ウォーターガン』

品質:普通

特性:なし

性能:一定量の水を貯めて発射できる。水の排出量は強中小の三段階切り替えが可能。

貯水量:2000L


 普通の何も効能がないウォーターガンで2000リットルの水を貯めれるんだ。


 こんな小さな銃に、そんなに水が入るの!?


 品質を上げて特性効果をつけてあげれば貯水量はまだ増やすことも出来るだろうし、極めればもっとすごいものが出来るんじゃ。オリジナル錬金術、すごい!


「では、水をいれて使ってみましょう」

「はい、先生!」


 手で握るグリップ部分に水が貯まる仕様になってるから、給水口は下の部分にある。しかし水を貯め始めて早速問題点に気づいた。


「先生、これ水を貯めるのにすごく時間がかかります」


 10分は水を貯めてるのに、まだ1/4にも満たない。

 2000Lの水を満タンまで貯めるって、一体どれくらいの時間がかかるんだろう。

 

「利便性を良くするために、そこは特性効果を付けて少し短縮したい所ですね。まぁ、無理して満タンにする必要もありませんし、そろそろ試してみましょう」


 1/3くらい貯まったところで、外で試してみることにした。


「まずは小から試してみます」


 カチッと銃口のパーツを回転させて小に合わせる。ウォーターガンを構えてトリガーを引くと、弧を描いてシャワーのように優しく銃口から水が出てくる。


「花壇の水やりには、中々良い感じですね」

「水をいれたじょうろより軽いですし、子供でも使いやすいです!」


 ついでに花壇の水やりをそれで済ませた。

 次は中を試してみよう。どこまで水が飛ぶか分からないから、庭の木に向かって発射してみる事にした。距離的には五メートルくらい離れてる。

 トリガーを引くと、さっきより広範囲に霧状の水が出てきた。木にも軽々と届く。


「この広さなら庭園の水やりも楽に出来そうですね。しかし広すぎて、通りを歩いている人にまでかかりそうではありますね」

「はっ、確かに! 広ければいいっていうものでもないですね……」

「リオーネ、少し借りてもいいですか?」

「はい、もちろんです!」


 先生はウォーターガンの銃口のパーツを少し調節してから、トリガーを引いた。


「さっきより範囲が狭くなってます!」

「このパーツを小と中の間にしてみました。きちんと細かく量を調節出来るみたいなので、心配しなくてもよさそうです」

「それならよかったです」


 ほっと胸を撫で下ろす。使い勝手の悪い道具をプレゼントされるほど、困るものはないしね。


「先生、そのまま強に変えてみてもらってもいいですか?」

「ええ、分かりました」


 霧状に広がっていた水が少しずつ一本に纏まり、最後は勢いよく真っ直ぐに飛び出した。


「ご覧ください。三階の窓まで軽々と届きますよ」

「野外掃除するのには、良さそうですね!」

「使い手の事を考えたリオーネの思いが、きちんとアイテムの機能に反映されていますね。素晴らしいアイテムです」

「問題は、水を貯めるのに時間がかかりすぎる事ですよね」

「そうですね。何の特性を付けたらいいか、レシピと素材辞典を見て考えてみましょう」

「はい、先生!」


 アトリエに戻って、何の特性効果を付けたら貯水時間を短く出来そうか、レシピを見て考える。


「この『高品質』系の効果は、効き目ありますか?」

「そうですね、アイテムの品質を高めてくれる効果があるので性能もその分良くなりますが、貯水時間を短縮する効果として見るならあまり期待は出来ないでしょう。むしろ貯水量が増える分だけ満タンになるまで水を貯めるのに、より時間がかかると思います」


 ただ品質を良くすればいいって問題じゃないのか。効率をアップしてくれる効果は……先生の作るアイテムは大抵『◯◯ばつぐん』効果がついてる。使えそうなばつぐん効果は何かないかな、再びレシピに視線を落とす。


 その時、ある効果が目についた。


「この『生きてる』って、どんな効果があるんですか?」

「それはアイテムに意志が宿ります。自分で勝手に動き出してしまう事があるので、付けるには要注意ですね」

「攻撃アイテムが生きてて勝手に爆発したら、確かに困りますね……」

「そうなんです。比較的平和なアイテムになら、うまくいけば自分で効率的に作業をしてくれて便利ではあるんですけどね」

「え、自分で動けるんですか!?」

「はい、動きます。まぁ、かなり珍しい特性効果なので滅多に採れませんけどね」


 AIのついたロボットみたいじゃん。『生きてる』効果、恐るべし。かなりレアな特性効果のようだ。


 そうして先生に色々質問しながら、選出した特性効果は四種類。


『元気はつらつ』――元気がみなぎってるから、高い効率アップ効果があるらしい。


『頑張りや』――頑張ってくれるから、高い効率アップ効果を見込めるらしい。


『効率重視』――文字通り効率アップしてくれるらしい。


『頭脳明晰』――効率化を図ってくれるから時短効果があるらしい。


 残念ながら時短目的で『ばつぐん』を発揮してくれる特性がなくて、今回はばつぐん効果を付けるのは諦めた。


「効能を付与するだけなら、五属性の魔法水に完成品と付与させたい効能を持つ素材を入れて、融合するイメージを強く持って魔力を注げば出来ますよ」

「そうなのですか!? 一から作り直すしかないと思ってました」

「これも、古属性の特権です。普通は一種類の魔力しか扱えないので、他の属性の素材と融合するのは難しいのですが、全ての魔力を注げますから融合率もその分高いのです」

「じゃあ、全然関係ない素材と融合させても大丈夫なのですか?」

「ええ、その特性と融合させるのですから何でも大丈夫です。見た目の色をカスタマイズしたい時は、その色を持つ素材と融合させる事で色の変更も出来ますよ」

「色まで変更出来るんですか!?」

「はい、これも古属性の特権ですね」


 これは、想像以上に便利すぎる!


 古属性にそこまでカスタマイズ機能があったなんて、確かにこれは細部にまでこだわりたいマニア向けの美味しい機能だわ。


 倉庫から『元気はつらつ』効果を持つキピーの羽根を取ってきて、ウォーターガンに融合させた。


 性能を確認すると、特性欄に『元気はつらつ』の文字がある。よし、成功!


 えっと効果は、『元気がみなぎっているので、一気にたくさんの水を吸い込める(時短効果1/5)』と書かれていた。


「1/5の時間で水を貯めれるようになりましたね」

「先生、トム爺にプレゼントしてきてもいいですか?」

「ええ、行きましょう。きっと喜んで下さると思いますよ」

「はい!」


 先生と一緒に庭園で作業をしているトム爺の所へ向かった。

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