馬裏人々 流行とは違う
「「あっざっす」」
「おう、今夜は気合入れていくから半端すんなよ」
「「っす」」
「つっても、集会だけで喧嘩はねぇからよ、道具はもってこなくていいかんな」
「「っえい」」
もはや何を言ってるかすら不明になってきた
この人達魔王軍に入るくらいだからそれなりに優秀なはずなのになんで言語が不自由なんだろう
などと、失礼な事を思っていたら、またもや後ろから声がかけられた
「ヨシキ君おはよう、とても失礼な事を考えてる顔をしているけどなにかあったのかしら?」
「おはようございます、魔王様
いえ、魔王軍って確かエリートじゃないと入れなかったなと考えていただけですよ」
相変わらず鋭いなと思ったが、もしかしたら変な顔でもしてた可能性も否定はできなかった
とはいえ、何時も魔王様に先に挨拶されるっていうのもナカナカどうなんだろうな
「魔王軍はエリートっていう訳でもないわ、適材適所で人材を取り込んでいるのよ」
魔王様はそうおっしゃるんですけど、後ろの方で色々騒がしいんですよ
バリバリとかあでっすっとか
「適材適所で取り込んでるのよ」
「なんで二回いったんですか?」
「大切な事は言っておかないと、後で聞いてないってなったら大変だもの」
魔王様が大切っていう位だから大切なんだろうな
魔王様の大切な意見を聞かないバーリーピーポー達は出世できないぞ
他愛のない朝の会話を魔王様としていると姉が戻ってきた。
「おう、ミユキどうした? なんか笑ってるけど面白い事でもあったか?」
魔王様が自分の頬を触る
「おはよう、アカメちゃん ちょっとヨシキ君が朝からテンション高かったからアテられたのかもしれないわね」
バーリーピーポー、バーリーピーポー
「ヨシキも今夜の会議に来るから気合はいってるのさ、ミユキもくるか?」
そういうと、魔王様は首をふった
「私が行くとみんなが楽しめなくなっちゃうから残念だけど遠慮しておくわ」
姉はとても残念そうに
「そうか? やっぱり魔王って奴はオーラみたいなのが出てるのか~」
「姉さん、私には感じられませんって言ってるのと同じだから注意してね
そろそろ行かないとまたギリギリになっちゃうんで急ぎましょう」
そうね、そうだな と二人は言って仲良く出勤したのだった
今週は今日で最後だからコンプレッサー中野さんが気合を入れている
「今週、自分やらせてもらってマジでやばかったっす
最初ちょっと飛ばしすぎたかって思ったんすけど、バリバリが全殺しだったんで
何とかガチれたと思ってるんで、っした」
やっぱり意味がわからないけど、みんな頷いてるよ
「じゃあ、最後の気合いれさせてもらうんで世露死苦」
「「世露死苦」」
「ひとつ、目には目をバットには釘を」
「「ひとつ、目には目をバットには釘を」」
「ひとつ、喧嘩上等、本職上等」
「「ひとつ、喧嘩上等、本職上等」」
「ひとつ、死んでも負けるな」
「「ひとつ、死んでも負けるな」」
本職ってもちろん軍人って事だよね?
「コンプレッサーの中村が気合いれさせて頂きました、あっしった」
「「あっしった」」
中村さんだった、涙の数だけ強くなってください
「総長さんよりお言葉を頂くんでしかと聞く様に世露死苦」
「「世露死苦」」
姉が立ち上がり周りを見回して続けた
「お前ら、今日がなんだかわかってんな」
「「終末っす」」
「おう、今週の最後で気合のねぇゴトすんじゃねぇぞ、世露死苦」
「「世露死苦」」
「じゃあ、今日も世露死苦」
「「世露死苦」」
みんなして絶対違う字で答えてたよね、わかるよガチで
今週もまた花金がやってきた、花金のお昼休憩は中々見応えがある
「今日、ガチで根性はいってるのわかる?」
「わかるわかる、鬼ゾリとかもうマジパネェって」
「特攻服新調にしたいんだけど、中々魂な刺繍が思い浮かばないんだよねー」
「わかるー、死線こえないと中々ないよねー」
「終末になるとビックでVIPなうぇーいになった気がしてうぇーいよね」
「わかるー、VIPでデュエルでポッキーがマッキーだよねー」
なんか、最後の方薬でも決めてないか心配になってきたよ
「どうしたヨシキ早く食わないと午後の仕事はじまっちまうからさっさとくっちゃえよ」
「はい、総司令 食べてしまいますね」
「飯の時くらいその言葉使いすんなっていってるだろ」
「了解です」
そういうと姉さんは喜んだが一気にご飯を食べていたのでそのまま会話をせず部屋にもどったら少し悲しげな背中だった
立場ってのがあるんですよ
そして夜の会議の時間となった
今夜は前回とちがってテッガースワンプの辺に集合となった
ダベリがメインとなるらしい、だったら夜じゃなくて昼やればいいと思うんだが
「光に集まるのが好きなんだよ」
にやにやしながらヨシコさんが言う
その部分だけとったら何か素晴らしい言葉に聞こえるが内容についてはあえて突っ込まないでおこう
「俺の考えてる事に対して意見するの止めてくださいね」
「えー、いいじゃない ヨシキ君はまだ染まってないんだもの!」
「バーリーピーポーとかマジ無理っす」
そういうとヨシコさんは爆笑した。
「おう、今日は喧嘩はねぇが、喧嘩上等わすれんなよ」
「「喧嘩上等」」
「なんか意見ある奴いたら根性みせろ世露死苦」
「世露死苦」
「不敬ながら爆撃のお竜、ぶっ殺させてもらっていっすっか!」
「「世露死苦」」
おお、鈴木さんも来てたのか
「鈴木さんも来てたのかとか思ったでしょ」
「いや、だから」
「あははは」
もうこの人もほんとバーリーピーポーだよ
「ノーバーリーピーポー」
本当駄目だこの人
「あっははは」
そういって鈴木さんに目線を戻した。
「自分のオナ中の奴に聞いたんすけど、今年一杯で文さんが終わるって事らしいんす」
一瞬の静寂が訪れ直ぐに激震が走った。
「マジっすか、自分文さんに生き様教えてもらいました。」
「自分もっす」
「最近の中央社の野郎、喧嘩上等か」
「あたしなんか単車に永輪丸ってつけたのに、OSYAーRE終わっちまって武血鬼列ったつーの」
そいえばOSYAーREが終わった時は打ち切り説が流れた為、神魔都にある中央社と全面戦争に発展しそうになったのだ
何とか魔王様のおかげでギリギリ回避されたらしい
「ヨシキ君、文さんって何?」
ヨシコさんが聞いてきた、本当に知らないみたいだ
「こちら神魔区、神魔あり公民館前駐屯基地
、通称こちかみっていう週刊ホプステで400年間くらい前からやってる漫画ですよ」
漫画、漫画、400年とか言いながら言いながら笑いを必死に堪えて更に聞いてきた。
「も、文さんて何?」
「えーと、その主人公で文津文吉っていって色々無茶苦茶するけど愛嬌のあるキャラなんですよ、結構有名ですけど知らないんですね」
「知らないわねー、つまり漫画が終わってしまうからみんなショックを受けてるの?」
俺は頷いた
「そういえばOSYAーREの時はいなかったんですか?」
「あー、その時は私用事があってこれなかったのよ
なんが旗とかに、ついていけるだろうか、アカメのいない世界のマッハに とかポエムがあったんだけど何かの詩集から取ったのかと思ったら漫画って聞いて笑ってしまったわ」
なんか思い出しながら笑いを堪えられなかったらしく、下を向いて笑いだした
「お前ら、おちつけ」
すると姉さんが立ち上がり叫んだ」
「総長、文さんが、私中央の奴らに上等しにいきたいっす」
一人がそういうと他も続いて
いきたいっす、ガチっす、中央が死ぬか私が死ぬかっす
そう叫びだした
「だまれ」
姉さんが本気で叫んだ
すると、みんなが一気にだまり姉さんをみた
俺の隣の人除く
「お前らの気持ちはよくわかった
確かに最近の中央の奴等にはあたいも武血鬼列寸前だ
だか、今回はOSYAーREの時とは違うはずだ、世露死苦」
「「世露死苦」」
みんな震えてるよ、マジかよ、今世露死苦必要だったか?
「春本先生には400年、あたい達が生まれる前から文さんと生きてきたんだ
先生もお歳だ、少しは休んでもらってもいいんじゃないかとあたいは考える」
涙を流し始めた人もいるよ、マジかよ
「思い出せ、文さんに貰った思い出を」
「「っす」」
「忘れるな、あの自由人を」
「「っす」」
「永遠だ」
「「永遠だ」」
申し合わせてないのに息ぴったりだよ
「黙祷」
「「黙祷」」
いや、死んではないからね
隣の人が息できなくて死にそうだよ
「今日はみんなおのおの語りたい事もあるだろう
武霊故宇で行くぞ」
「「っす」」
そうして今週の集会は朝まで語られる事になったのだ。