喧嘩上等、月曜日は訪れる
その昔、神魔が47の世界を作り、神と魔だけの世界を作った
その一つの世界の物語である
サウザンドリーフと呼ばれる世界があった
その世界は魔族が勝利した魔王の世界であった
「オラぁ、ここを何処だと思ってやがる
あたいの支配地だろうが、テメーらどもがデカイ顔で歩いて無事で住むとでも思ったか!」
神族の男性の胸ぐらを掴み至近距離でメンチを切っているのが俺の姉であるシロキ=アカメ
魔族の四大公爵の1人である
胸ぐらを掴んでいた相手をその仲間に向かって投げつけ
「次見つけたら殺す」
と言い放つと、神族の男達は覚えてろと雑魚満載の言葉を残し逃げていった。
「アカメさん、助かりました」
と、姉の所に襲われていた魔族の女性がお礼を言いに来た。
「相手が3人だったんで、自分根性みせようと気合い入れたんすけど、アカメさんの名前に泥を塗るような結果になってすいませんでした」
「おう、気にすんな
3人相手に上等はるなんてお前も気合いはいってんじゃねーか、その気合い忘れんなよ」
そう姉に言われた女性はあざっすといって頭を下げた
「あらあら、アカメちゃん朝から元気ね〜」
そう俺に言ってきた人こそ現魔王シロイ=ミユキその人である
「おはようございます、魔王様
魔王城に行こうとしてる所で何やら喧嘩をしてるのを見つけて嬉しそうに乱入にいったんですよ」
そう、俺が説明した
「まあそんな事だろうと思ったけどね」
魔王様は笑いながらそういった
魔王様と朝の挨拶をしていると姉が此方に戻ってきた。
「またせたな、お、ミユキもいるのかどうしたんだ?」
「姉さん、ミユキじゃなくて魔王様でしょ
不敬になるんだから気をつけてよ」
そう言うと、別にミユキはミユキでいいんだよと言われた。
どうやら先程助けた女性は何処かに行ったようで既にいなかった。
「おはようアカメちゃん、私の職場も魔王城だからここにいるのよ、良かったら一緒にいきましょう」
「そうだな、あたいも魔王城に行く予定だったから丁度よかったな
朝からいい運動になったぜ」
そういって二人は仲良く歩き出したのだ
二人共、魔王と四大公爵って事もっと自覚して欲しいなと俺は思った。
姉は魔王軍北部軍総司令の役職についている。
そして俺は副官ではなく秘書であった。
何故ならば魔王軍は全員女性である事が条件だったからだ。
本来なら俺は魔王軍ではなく傭兵とかそんな感じて仕事をしていたのだったが、魔王様にどうしても必要だからと頭を下げられてしまい魔王軍に入る事になった、しかし俺は男だった為姉の私設秘書としてここにいる事になった。
「ひとつ、1発もらったら必ず倍返しする事」
「「ひとつ、1発もらったら必ず倍返しする事」」
「ひとつ、数で負けても気合いで負けない事」
「「ひとつ、数で負けても気合いで負けない事」」
「ひとつ、死んでも負けない事」
「「ひとつ、死んでも負けない事」」
なんだよそれは、特に最後のなんて無理だろうが
そう、ここは我が姉アカメが総司令を率いるだけあって脳筋の集まりであった。
正確には副官のヨシコさんは違うがあの人は面白いという理由で姉を止めない人なのだ
そんな人達しかいないので姉に意見が出来る人と言う事で俺が選ばれたのであった。
「アカメ総司令、朝の唱和はこの辺にしてそろそろ仕事に取り掛かった方がよろしいかと思います」
と俺は姉である総司令に進言した。
「だから何度もいってるけどいつもと同じ姉さんでいいって、総司令とか背中が痒くなっちまうよ
あと話し方もいつも通りにしろって」
いつもと同じ会話を毎朝しているがここは職場だ、公私はしっかりしないと他の部下に示しがつかない
「いえ、公私混同はよくありませんのでこのままやらせて頂きます」
そう言って断った
「わかったよ、じゃあみんな今日もよろしくな」
そしてみんな各自仕事に取り掛かった
魔王軍の仕事と言えば神族を攻撃すると言った内容が一般的だがこの世界はすでに魔王軍が勝利している為に基本的に戦争は無い
神族に関しても今朝の様な人達は一部だけで今では一般の神族は平穏に魔族と暮らしていた
つまり魔王軍とは名ばかりの物であった
実際に彼女達がしている事は魔王城の掃除や、国民からの苦情や相談などのお役所仕事で主に肉体労働を行っていた
だがしかし、魔王軍の真の姿は金曜日の夜に姿を表す
喧嘩上等 殺戮上等 亜伊羅武勇
と特攻服に書いた女性が前にでて叫んでいる
「今日も気合い入れて愛車飛ばして行くんで夜露死苦!」
「「夜露死苦」」
「ルートは16山脈を超えて、ヅカヨバ谷を曲がってそのままトキコウ公爵領方面に向かうんで夜露死苦」
「「夜露死苦」」
そう、此れが魔王軍の真の姿である
ちなみに愛車が無い(あっても乗れないが)俺はヨシコさんの箱車に乗せてもらっている
最初に来た時は姉さんの愛車に乗せてもらったが姉さんは俺を乗せても祭に率先して参加する為にヨシコさんが次から載せてくれる事になった
「もしかしたらトキコウの奴等と鉢合わせになるかも知れないけど、どっちが気合いが上等で力が上か丁寧に行くんで、もし気合いが半端な奴は今日はベッドの上でヌイグルミでも抱いて寝とけよ
夜露死苦」
「「夜露死苦」」
もう何言ってるかわからないよな、コレ
「何言ってるかわからないよね」
と、ヨシコさんも同じ意見のようだ。
「いや、だったら止めましょうよ」
と、俺は思ったまま言った
「嫌よ、面白いのになんで止めないといけないのよ」
この軍にしてこの人ありだなと思い諦めた
「ほらほら、アカメちゃんが話みたいよ」
なんでこの人はこんなに嬉しそうなんだろうか
そう思っていると総長から激励があるのでしかと聞くようにと聞こえた。
「おう、お前ら根性入ってるか!」
「「バリバリっす」」
「お前ら殺す覚悟は出来てるか」
「「バリバリっす」」
「今日はトキコウの奴らも喧嘩上等で気合相当はいってんかんな!
まさか西部軍の奴らに気合で負ける事なんでないだろうな!」
「「死んでも勝ちます」」
おお、朝の唱和が役に立ってるな
「うははは」
ヨシコさんが更に爆笑しているな、なんで他人事なんだろう
「それじゃあ、お前ら最強に根性いれていくんで世露死苦」
「「世露死苦」」
そういうと背中に仏恥義理と書いてある特攻服をきた女性が先頭に立ち、今日の暴走が始まった。
先程説明があった道のりを順調に進んでいく、この北部軍は喧嘩上等ではあるが愛車を使った迷惑行為はしない、周りからみたらいるだけで迷惑な存在ではあると思う
それにこの愛車って軍のなんだよな
ちなみにヨシコさんの愛車は自信の物だ。
「まぁね、ドラゴンって高いからねぇ、それに魔王軍の規定でも餌代自分で持つならプライベートで使っていいと言われてるからね」
と、明らかに通勤用途での規定だなと思った
ヅカヨバを抜けてトキコウ領地に近づいた時に反対側からもドラゴンの群れが飛んでくるのが見えた。
「お前ら止まれ」
と総長が群れの先頭にでると相手側からも一人の女性が前に出てきた。
「あら紅眼の皆さんではございませんか、おひさしぶりですわ」
そう言ってきたのは西部軍総司令のトキコウ=キョウコさんだ
「おう、久しぶりだな、エンドドアのキョウコ」
おお、お互いメンチを切り合ってる
「ドキドキだね、どっちが先に手を上げるかな」
本当にこの人は楽しんでるな
「私達がこの道を抜けるまでどうか端っこによっててくだされない?」
おお、まずはジャブから入ったな
「お前等の三輪車が抜けるのを待ってたら朝になっちまうんであたい達が抜けるの頭下げながらまっててくれないか?」
おお、こちらも負けずと打ち返した
「あらやだ、これだから尻の赤い野蛮人は困りますわ
早くして頂けないと私の右足が貴方達退治に猛威を振るう事になりますよ」
そう言って右足を蹴り上げた
「お前らに昔ご馳走してやったのにおかわりしたくなったならまたあたいの右腕くれてやろうか」
おお、もはやココまできたら戦争だ
レッドアイズとエンドドアが正に一触即発だ
「あら、アカメさん背中に耳がついてますわよ」
訳のわからん事をと思ったが姉さんは後ろを向いた、マジかよ
そこにエンドドアのキョウコの蹴りが姉さんに炸裂した
それを切っ掛けに軍同士がぶつかった
キョウコさんに吹っ飛ばされた姉さんが怒り狂ってるな
最初の不意打ちで遅れをとったが戦況としてはレッドアイズが五分に持ち直した
一応魔王軍の中では姉さん率いる北部軍が一番強い事になっている
どうやら今日は姉の勝利のようである
「ふん、喧嘩上等の癖に逃げるのか、あたいの右腕が怖くなったのか?」
ルシファーズハンマーって言ってなかったっけ
「ふん、野蛮なサルを相手にしていたら脚が汚れてしまいますわ
今日はこの程度にしといてあげますわ」
そう言ってトキコウ領にエンドドアの人達も帰っていった
ゼッツーじゃないのか、まあ何にしても相手も月曜から仕事だし、こんな所かな
そう思っていったらいつの間にか居なくなっていたヨシコさんが帰ってきた
「いやぁ、殴った蹴った
まあ、もう少し盛り上がって欲しかったけど大怪我しても困るし
こんな所が丁度いいのかな
それにしても、本当にヨシキ君は喧嘩止めないわね?」
「まあ、みなさん普段お役所仕事でストレスも溜まってるでしょうから軍事演習であれば問題ないですよ、行き過ぎたら流石に止めますけどね」
そっかそっかとヨシコさんは納得してまた隣に座った
「あたい達の勝利だ!」
「「おー」」
姉は勝鬨をあげたのだった。
姉さんもキョウコさんも月曜日に支障がでる前に辞めてくれるステキな総長だ