好きだよ
人の人生は、周りの関係で変わる。
周りに一切動かされない人間など、この世に存在しない。
だから、ふつうに男を愛さなければいけないし、結婚しなければいけないし、世間に出ていかなければならない。
たとえ、過去がどうであれ、それは幼い時の事。
そして、覚悟のないものに、世間は容赦無く叩き潰し、上の者は自分を基準にして、生きている。
まぁ、これが当たり前なのだから、仕方がない。
「おはよう」
「おはようー」
大学1年の春が過ぎ、そろそろ梅雨明けをしてほしい頃だ。
私が通っているのは、女子大。
そこはお嬢様学校ではなく、庶民の大学。
それでも、大学に通えるだけ凄いと思う人間は、この世に五万といる。
「ごめん、昨日のプリント見せて」
「んー」
席に着いたのち、友人にプリントを渡した。
「ここの問題さ」
「なに?」
側から見れば、仲の良い友人達に見えるだろう。
だが、私はもっと特別な感情を持っていた。
持ってはならない感情。
過去から逃げた先は、【同性愛】
そう、私は女が好きだ。
勿論、生まれた時からそうではなかった。
私の気持ちが変わったのは、中学の時。
好きだった相手に、殴られ、暴言を履かれた。
でも、仕方のない事だった。
私は、無意味な正義を掲げ、気持ちの悪い存在だったのだから。
元々、アニメや漫画が好きなオタクであったし、周りについていけなかった自分がいけなかったのだ。
「そういえばさ、昨日なんだけどさ」
「どうしたん?」
こうして、話している時も、気づかれないようにしていた。
同性愛者だと悟られないように、嘘も着いた。
彼氏がいるが、別れたと嘘をつき、周りに合わせて、笑顔をばら撒いた。
笑っていれば、大体の人間は優しくしてくれると、知ったから。
その分、顔の筋肉が疲れるのだがな。
「あ、授業始まる」
「じゃあ後でノートよろしく」
「こら起きろ!ほら先生来たから」
「大丈夫、君優しいからノート見せてくれるでしょ?」
「あのねー」
好きになった相手は、人間をよく見ているタイプだった。
でも、彼女も異質だった。
自らを同性愛者だと言うのだ。
世間からどう見られても構わないと。
そんな覚悟、私にはない。
でも、いないと寂しくて、メールが来ると他の子より嬉しくて、近くにいるだけで幸せだと感じる。
あぁ、やっぱり好きなんだ。