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とある夫婦の日常  作者: 茉莉 清香
とある奥様の日常
3/7

3日目

奥様編、完結です。

思ったより長くかかってしまいました。


 今日でやっと3日目。

 夜には夫の康太が戻ってくる。

 朝起きた後、電話を確認したら夫からの着信お知らせと留守電が入っていた。

 電話かけなおそうかと思ったけれど、今の時間ではきっと出られないだろう。

 私は留守電を聞くことにした。


「もしもし、理紗子?もう寝ているかな。明日…いや、もう今日だな。

 6時にはそっちにつくから、家に着くのは7時くらいになるよ。

 迎えは大丈夫だけど、夕飯は家で理紗子と一緒に食べたいな。

 それじゃ、また夜に」


 短いけれど数日振りに夫の声を聞いたせいか、朝からずっとテンション上がりっぱなし、頬も緩みっぱなしだ。

 周りから見たら、きっと変な人扱いされる位にはにやけてるんだと思う。

 自分では止められないし、しょうがないよね…?

 でも外出する時は気をつけなくちゃ。


 そんな訳で、朝からご機嫌で家の中をお掃除中♪

 浮かれすぎてつい掃除機を思いっきり振り回してしまったその時、「ガチャン」という音が…


「っ!いけない…って、あ~~!!」


 そこには床にたたき付けられ、割れた花瓶の姿。

 幸い花は入ってなかったものの、お気に入りだったその花瓶は見るも無残な姿に…

 慌てて片付けて、その後はしょんぼりしつつ黙々と掃除。


 そういえば、なんかいつもより家の中が綺麗。

 どうしてだっけ?と思い、昨日も家中ぴかぴかになるまで掃除してたことを思い出した。

 …うん、まぁいいや。康ちゃん帰って来る前には綺麗にしておきたいしね。



 掃除が終わった後は買い物行って少し休憩。

 ついでにお昼ご飯を食べながら夫は今何をしているのか、義父・義母・義弟はあちらの家でうまくやっているのか、夕飯何にしようか等いろいろと考える。

 電話での夫の声は割りと元気そうだったから、体調は心配要らないと思う。

 義父達の事は何かあれば言うはずだから,多分大丈夫なんだろう…ただ、戻ってきた後での義母の愚痴には付き合うつもりだ。

 その時は義母が好きなショートケーキでも買っていこう。


 それに比べて、私はこの3日間でどうだったろう…ぼんやりしながら考える。

 1人でも2人でもする事は変わらず、ただやっぱり1人は寂しい。

 帰ってきても迎えてくれる夫がいないのが、どうにも落ち着かない。


 そしてこの3日間で気がついた事がある。

 1人の時間が長いと、いつのまにか独り言をしゃべってる。

 テレビやDVD見ながら延々と1人ツッコミしちゃってたり。

 もしかしなくても心の声も駄々漏れになってる可能性が大…

 やばいなぁ、気をつけなきゃ。


「でもそれなら、口チャックだよね」


 そう言いながら私は唇にチャックをかける真似をする。

 これで良い。




「さてと!ご飯終わったし、早いけどお夕飯の仕込みしますか!」


 私はそう言いながら食器を洗いはじめる。

 そこでハッとした。

 …あれ?今なんか心の声が駄々漏れだったような?


「………」


 ―うん、まぁいいや。今のは無かった事にしよう。

 私は1人ウンウンと頷くと、スーパーで買ってきた食材を出し始めた。



 今日のお夕飯は、夫が好きなもの。

 ハンバーグに焼き魚、肉じゃが、野菜炒め、卵焼き、大根の味噌汁。


 時間を見ると、もうすぐ7時になるところだった。

 私は出来た料理を次々とテーブルに乗せる。

 一緒に碗と箸も用意。炊き立てのご飯と味噌汁は夫が戻ってきてから。


「もうすぐだね、康ちゃん」


 なぜか胸がドキドキする。

 帰ってきたら、何て言おう?


 やっぱり「おかえり」?それとも「お疲れ様」?

 そんな事を思っていると、不意にインターホンが鳴った。


 私は急いで玄関に向かう。

 ちょっとだけ落ち着こうと2,3回深呼吸してからドアを開ける。

 その向こうには、おみやげをたくさん持って微笑んでいる私の愛しい旦那様。


「おかえり、康ちゃん!」


「ただいま、理紗子」


 抱きつきたい衝動を抑え、夫と一緒にキッチンへと移動する。

 その時、夫のお腹がグゥと鳴った。

 私達は顔を見合わせて笑う。


「あー、昼から何も食べて無くってさ。腹減ったなぁ」


「康ちゃんてば。もうご飯出来てるから、沢山食べて」


「じゃあ、そうしようかな。そうそう、理紗子の好きなもの沢山買ってきたよ」




 いつもの日常が、やっと戻ってきた。

 私は夫の顔を見ながら、そんな事を思った。


ここでいったん完結にさせていただきます。

続きはまた、近いうちにと思っています。

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