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第7話 ジパング防衛戦② 

1年前。それはちょうど魔物が活発化し始めたころと重なる。

魔王直轄領土内。人間たちが『死の森』と呼ぶ土地に魔王城があった。

「魔王が逃げた」

「「「また!?」」」

その発言にその場にいた全員が反応する。

「きっちり自分の偽物まで置いて行きやがって……逃げたことに気付くのに時間かかったじゃねえか……」

「まあ、魔王なんてやりたくないって言ってたもんね」

「あいつがいないで魔物たちどうするんだよ……」

「でも破壊衝動はどうする気なんだろうね?」

「しょうがない俺が探してきてやるよ」

「「「行ってらっしゃ~い」」」

そこにいる全員にそう言われる。

「だれも行く気ないのかよ!?」




そして現在。ジパング北門。

「魔物が来たぞ!!」

見張りの兵が叫ぶ。

「方角は!?」

「北のほうからです!」

見ると魔物の大群が来ていた。

「本当に来た……」

「ああ……」

「防衛にあたる勇者は戦闘準備!!」

直属の勇者たちが一般の勇者たちに指示をだす。


「さて俊、クラン準備はいいかい?」

城の屋上。

「大丈夫だ」

「私も大丈夫……」

「じゃあいくよ?」

━━━展開。

夜の合図で俊は空間の展開を開始する。

「         」

━━━収束。固定。

俊は高エネルギー体を空中に固定させる。

「ほう、俊。君は4大属性のエネルギー体をこんなに」

「全力でいくんだろ?」

「そうだね」

そう言った夜は一瞬にやりと笑って、宙に浮かび膨大な力を収束させていく。

「…………」

クランは何本ものナイフを宙に浮かべて待機している。

一番最初にするのは弾幕戦。

圧倒的な弾幕で相手を一気に消滅させることが目的だった。

「発射!!」

夜の号令とともに俊はエネルギー体を一気に魔物に向けて発射させる。

ドドドドドドドドン!!

エネルギー体が一つ魔物にあたるごとに半径200メートル内にいる魔物を巻き込んで爆発する。

「我に従い!我に応えよ!雷帝の王!響く雷鳴!燃ゆる大地!すべてを焦がすは十重百重の我の雷!!」

夜は地上にいる敵を殲滅させるべく解き放つ。

「『終焉の雷ライトニング』!!」

ズガガガガガガガガ!!

地上の敵を夜が解き放った雷によって殲滅させる。

「私は抜けてきた敵をたたく……」

夜と俊の二人の攻撃は強力だが大雑把すぎる。当然攻撃を避けた魔物もいる。

そこでクランの出番である。

「行って……」

ヒュン!!

クランの周りに浮かんでいたナイフが一斉に発射される。

そのナイフたちは正確に魔物たちを攻撃していく。

「クランすごいな。あんな数のナイフを一斉に操るなんて」

「万能メイドですから」

「自分で言った!?」

実際にクランはすごかった。

離れたナイフをすべて操作しているのだ。

しかしそれでも穴というのは生まれてしまう。

それをなんとかするのがほかの勇者たちである。


「さて、俊行くよ」

「え?これで仕事終わりじゃないの?」

「クランはがんばってくれたから終わりだけど君の仕事はまだ残ってるよ」

「えー」

「クラン、疲れただろう?ちょっと休んでなよ」

「ご主人様と一緒に……」

夜が言った言葉にクランは遠慮しようとする。

「無理しなくてもいいよクラン。メイドの心配するのは主人の役目だからな」

「ご主人様……ありがとうございます……」

クランは俊に言われてやっと休む。

「さあ!俊行くぞ!」

「了解」

俊たちは市街地へと進む。


「そういえばさっきの呪文みたいなのなに?」

「君とは違ってボクはああやって言葉にしないとあれほど大きな攻撃はできないんだよ」

「そうなのか」

「君だって時の理を変えるとき同じことをしただろう?」

「まあ確かに」

「それと一緒だよ」

「そういえばなにするんだ?一応国直属の勇者たちが守ってるんだし、市街地には魔物なんて来ないだろ?」

「この量の魔物は異常だ。たぶんお姫様をさらおうとしたやつがいるはずだよ」

「っ!」

「俊はあっちに行ってみてくれ。ボクはこっちに行く」

俊と夜は別れる。


「?」

俊はあることに気付く。

襲撃地点の北側が静かすぎる。

俊は一応そちらに向かってみる。

「っ!?」

そこには全滅した勇者たちの姿があった。

その中心に誰かがいた。

人の返り血を浴びても尚毅然とした態度でそこに存在している男。

「よお、次はお前が俺の破壊衝動を解消してくれるのか?」

「何、言ってるんだよ……?」

「だから、お前を殺していいかって聞いてるんだよ」

「お前、何言って……っ!!」

いきなり俊に火の玉が襲い掛かる。

ドドドドドド!!

俊はその玉をとっさに張った結界でふせぐ。

「なにするんだ!?」

「おっ!防いだ!」

「だからなにするんだって……「お前って理解力ないのか?」

「は?」

「俺はお前が殺したい。ただそれだけだろぉが!!」

「くっ!」

さらに大量の火の玉を飛ばしてくる

━━━目標固定。

「破ぜろ!」

俊は火の玉すべてを一瞬で爆発させる。

「いいね!いいよお前!お前強いんだろ!?俺の暇つぶしの相手になってくれよ!!」

「何言ってるんだ!なんで人間同士で……」

「もしかしてお前って戦う理由がないと戦えない人間か?……あー、なえるわー。ちょっとそういうの勘弁してくれよ」

「だから今は魔物を……」

「その魔物つれてきたの俺なんだよ。魔王軍、魔王近衛隊。アンドレイ・トレイドが連れてきた」

彼はさらっと言う。

「は?」

「あれ?これって言っちゃいけないことだったっけか?まあいいや。どうせ殺すんだし」

もっと話を聞かなくちゃいけない。そう思った俊はすぐに行動を開始する。

「おっ!やる気になったか?」

うれしそうにするアンドレイに俊はすぐに結界を張る。

「っ!?」

「詳しくその話聞かせてくれ」

俊は動けないアンドレイに近づく。

「……お前は人間か?」

「お前おもしろいな。おもしろい能力を使う。もしかして最初の砲撃もお前か?」

つかまって俊の方が立場は上だというのにアンドレイは余裕の態度だった。

「答えろ」

「ちっ……つまんないな……。ああ。そうだ人間だ」

「魔王軍ってどういうことだ?」

「ははっ!お前知らないのか?。魔王はな、人間だよ」

「っ!?」

笑いながら衝撃的なことを言うアンドレイに俊は驚いた顔になる。

「さて、そろそろ話も終わりにしよう。俺の破壊衝動が限界だ」

ギシッ……

「なっ!?」

俊が張った結界が悲鳴をあげ始める。

ここは俊の空間。故に俊の張った結界を壊せるものなどいない。

ピシッ……ピシッ……

ひび割れるような音が鳴る。そして……

パキンッ!

ついに俊の結界が破れてしまう。

「さあて。楽しい楽しい戦いだ」

アンドレイは笑っていた。

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