初告白
「あなたのことが好きです。私と・・・付き合ってください。」
9月21日午後6時26分。
俺は、初めて「告白」をうけた。
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「ねえ、貴方、木村秀一だよね?」
今日の昼休み、冷水機で水を飲んでいたら、見知らぬ女の子に声をかけられた。
「そうだけど?君は・・・誰だっけ?」
「あ、6組の伊藤綺音だよ。」
綺音?聞いたことがある。たしか女バスの1年の中で一番うまい子だ。
身長は、150cmくらいか。髪型は、ポニーテール。
1年の間じゃ、可愛いって評判だったな。
「それで、何の用?」
可愛い女の子とあまり話せない俺は、冷たい感じで喋ってしまう。
「んとね・・・ここじゃ人目につくなぁ。話があるからさ、部活が終わった後、校舎の裏の北門に来て。」
「え?ああ、うん、わかった。」
それの意味もわからず、とりあえず返事をした。
そして、部活が終わり、言われた通り北門に向かった。
そこには、少し先に練習を終えた綺音がいた。
「それで・・・なに?」
「うん。あのね、実は・・・」
-------------------回想終了-------------------
「・・・は?」
今まで「告白」という行為をされたことがなかった俺は、戸惑ってしまっていた。
「あ・・・ごめんね。いきなりこんなこと言って。」
「いや・・・いいけどさ。あの・・・なんで?
初めて告られたので、どう反応していいかわからない。
「それは、好きになったからだよ。」
・・・それはわかる。じゃなきゃ告白なんてしないだろう。
問題は、「なんで好きになったのか」だ。
「なんで、好きになったの?」
「それはね、あのさ、この前、学校祭で3on3の大会やったでしょ?」
それは、もちろん覚えている。俺たちが1年なのに優勝してしまったからだ。
「ああ・・・あったね。」
「実は、私たちも出場したんだけどね、準決勝で負けちゃったの。
それで、その次だった男子の準決勝を見ていたら、貴方が試合をしていたんだ。
・・・きれいなシュートフォームや、素早いドライブをみて思わず『かっこいい!』って思ったの。
それで、好きになっちゃって、告ったってわけ。」
ああ・・・なるほど。そういうわけか。
「あ、返事は今じゃなくてもイイよ。また今度。」
「・・うん、わかった。」
「じゃあね!また明日!」
「じゃね。」
嬉しそうに走っていったな・・・自分の気持ちを伝えれば満足なのか?
まあ、どうでもいいけど。
さて、どうしたものか・・・・
こうして、俺は、初めて告られたのだった。