4.
「あ……有馬先輩! ごめんなさい。大丈夫ですかぁ~」
「藤宮、俺は大丈夫だけど、藤宮は大丈夫なのか? すごい勢いで転んだよ」
「私は、大丈夫です。本当にごめんなさい」
「いいよ! 気にしないで。藤宮は、中学の頃と全然変わんないなぁ~」 「そ、そうですかぁ~」 「うん、おっちょこちょいのとこなんか特にね」 「えぇ~、酷いですぅ、先輩」
理奈は、顔を真っ赤に染めて頬を膨らませた。
「あはは、ごめんごめん。でも、変わってないなぁ」
「せ、先輩だって、私をからかうの変わってないじゃないですかぁ」
「まぁ、藤宮はからかいやすいからさ。唯一、藤宮が分かったのは、可愛くなかったな。色気も出てきたみたいだし」
「えっ、もう、先輩何言ってるんですかぁ~」
理奈はますます顔を赤らめた。
「あはは、藤宮はすぐ顔を真っ赤にして可愛い奴だよ。ただ」
「ただ……何ですか?」 有馬は、急に真剣な表情になり
「藤宮……お前、高校生にもなってシマパンはないなぁ~、折角、可愛くなっていってんのに、シマパンだと色気にかけるな」
「な、な、もしかして見ちゃいました?」
「バッチリ、お前がぶつかって転けた時にな」
「え~、もう先輩のエッチ~、先輩責任取ってくださいよぅ」
「俺が? 俺じゃなくても、藤宮の周りに男子いっぱいいるじゃないか? 皆、藤宮をずっと見てるよ」
「あ……あの人達は関係ないんです。私は、先輩に責任取ってもらいたいんです」
「そ、そうなのか? 分かったよ。で、俺はどうしたらいいのかな?」
「先輩、あの~、明日、時間ありますか?」
「ああ、明日は部活もないし大丈夫だけど」
「じゃ、明日の放課後私とデートしてください」 「デートかぁ~、わかったよ」
「絶対ですよぅ~。じゃ、明日の放課後校門の前で待ってますからね」
「明日の放課後な。じゃ、早く教室行かないと遅刻しちゃうぞ。じゃ、また明日な」
と、有馬は校舎の中へと入って行った。
理奈も教室に行こうとしたら、有馬との会話を聞いていた男子達が理奈を取り囲んで
「君、藤宮っていうんだね。あの男は誰だい、君は僕だけを見てくれてたらいいんだ。ダメだよ、あんな男を誘惑したら」 と、理奈の腕を掴んで言った。理奈は、
「止めてください。私は、あなた達の事知りませんし、私には、好きな人がいるんです。お願いだから私に付きまとわないでください」
理奈は、掴まれた腕を振りほどこうとしたがなかなか振りほどけない。
「ダメだよ。君は、僕達のものだ。僕達の言う事だけ聞いてればいいんだよ」
「なんでよ。私は、貴方達の事知らないわ。関わらないで。放してください」
「聞き分けがない娘だね。観念しなよ」
何人かの男子が理奈の後ろに回り後ろから理奈を押さえつけた。そして、 理奈の前にいた男子が理奈のスカートを捲り上げた。
「キャー、止めてよ。変態。ありえな~い」
「あはは、いい眺めだよ。可愛いシマパン穿いて。僕は君が欲しい」
「バッカじゃないの! 私は、貴方達みたいなスケベで変態な人は大嫌いなの! 誰か、助けてぇ~」
理奈は、大声で叫んだ。 すると、
「理奈! 頭を下げて」 と、聞き覚えのある声が聞こえた。
理奈は、声の通りに頭を下げると、理奈の後ろで押さえ付けていた男子の顔に学生鞄が命中した。 鞄をくらった男子はうずくまり理奈から離れた。そのすきに理奈は男子達から離れると、
「祐奈! ありがとう。助かったわ」
「理奈、大丈夫? よくも私の友達を! 許さないわよ」
と、祐奈は理奈のスカートを捲った男子の股間目掛けて蹴りあげた。祐奈の蹴りは見事に股間に命中し、男子は痛さのあまり股間を押さえながら
「ナイスな蹴りだよ。しっかり黒いセクシーなレースのパンツも見れて、ラッキーだった」
と、その場でうずくまった。
「パンツぐらい、いくらでも見せてやるわよ。ただし、私の友達には二度いたずらしないで! 理奈、今のうちに早く行くわよ」
「うん!」
理奈と祐奈は男子達がうずくまってる間に校舎の中に入った。
「祐奈、ありがとね。助かったよ」
「いいって事よ! それにしても、何であんな事になってた訳?」
「じ、実は……」
理奈は、シマパンを穿いてからの事を祐奈に話した。
「へぇ~、あのシマパンにそんな魅力があったなんてねぇ~」
「こっちとしてはいい迷惑だけどね」
「まぁ、男子にうとい理奈には刺激が強かったみたいだね」
「祐奈! 笑い事じゃないよ……私、襲われかけたんだからぁ」
「あはは、まぁ、シマパン穿く時には気をつける事だね。男子も、シマパンみたいな可愛いパンツには目がないようだし」 「はぁ~、先が思いやられるよ」
その後も、放課後まで男子の熱い視線を理奈は感じながら過ごした。
何とか放課後までやり過ごした理奈は、家路に着く前にシマパンに
「ねぇ、もうフェロモンの効果は切れたのよね? 大丈夫だよね?」
とシマパンに確認をした。シマパンは
「ああ、大丈夫だよ! ついさっき効果は切れた。ごらん、男子達理奈に見向きもしなくなっただろう」
「本当だぁ、でも何か複雑な気持ちになるのはどうしてなのかな……?」 「じゃ、早く帰って明日の先輩とのデートプラン考えなきゃね! その前にあんたを洗濯しなきゃね」
「またですかぁ~? 理奈さぁ~ん」
「もちろんです。不潔なパンツをずっとは穿けないからね」
「あ~、今日も目を回すのかぁ」
家に着いた理奈は、早速シマパンを脱ぎ洗った。三十分後シマパンを部屋に干すと理奈は机の上にたくさんの雑誌を広げて読み出した。そんな理奈を見たシマパンは
「理奈、何を真剣に読んでるんだい! もしかして明日のデートプランかい?」
「うん! 明日は、先輩と映画とか見ようかなって、そして、映画見ながら手とか繋いじゃったりして……きゃ~、恥ずかしいぃ~」
「理奈……一人で盛り上がってるとこ悪いんだけど、理奈の好きな先輩は彼女がいたんじゃなかったのかい?」
「えっ、あ……そうだった……先輩彼女いたんだよね。でも、そしたら何で、私とのデートを引き受けてくれたのかな?」「さぁね、ただ、その先輩は、理奈のフェロモンにかかってメロリンキュンになってなかったらみたいだからな! ま、明日になれば分かるだろうさ!」
「本当だよね! 先輩全然普通だったもんね。明日、先輩とのデートは楽しめればそれでいいや」 「では、僕も見届けてあげよう。明日も穿いてくれよ!」
「分かったわよ! ただし、急に喋ったりするのは無しよ! 大人しくしといてね」
「はいはい、分かってるよ」
デート当日の日、理奈は、珍しく早起きをして、いつもより念入りに髪の毛をセットした。理奈は、干していたシマパンを穿き
「今日も一日よろしくね。ただし普通のパンツとしてね」
「グッドモーニン! 理奈! 分かってるよ、黙って見届けるさ」
理奈は、高鳴る気持ちを抑えながら学校に行き、授業をこなし、放課後をまった。
キーンコーンカーンコーン! ついに、理奈は待ちに待った放課後を迎えた。
理奈は、急いで待ち合わせの場所の校門の前行って有馬が来るのを待った。理奈が着いて待つこと十分後に有馬は来た。
「早いなぁ、藤宮。もしかして大分待たせた?」「あっ! 先輩、お疲れ様です。私も、十分前に着いたとこですよ。今日は、よろしくお願いしますね」
「ああ、こっちこそよろしくね、藤宮」
「先輩! 折角のデートなんですから、せめて下の名前で呼んで下さいよぅ~」
「そう? じゃ、よろしくね、理奈」
「はぁ~い」
そうして二人は街へと繰り出し、映画や、ショッピング、ゲームセンターなどで遊んだ。
すでに、空が紅く染まる頃、理奈が
「先輩、すいません、ちょっとお手洗い行って来てもいいですか?」
「いいよ~、行って来なよ。待ってるから」
理奈は、トイレに行き鏡の前で
「ねぇ~、私これから告白しようと思うの。だから、あんた最後までちゃんと見届けてね」
と、シマパンに言うと
「もちろんだよ。理奈の決意最後まで見届けてあげよう。理奈、もし、うまくいったら理奈は幸せになるんだろ。幸せになったら僕は必要なくなる。そうして、理奈の前から消えてしまうんだ」
「えっ、そうなの? じゃ、あんたとこうして話するのも最後かもって事なのね」
「ああ、そうだよ。だから、先に言っておくよ。理奈、おめでとう~! 幸せにな!」
「ありがとう。頑張るね! あんたは、最初変な奴だったけど、あんたと話せてたのしかったわ」 「そうかい、それはよかったよ。じゃ、理奈! グッドラック!」
理奈は、鏡の前で一つ大きな深呼吸をして有馬の元へと戻った。
「先輩、すいません。お待たせしました」
「いいよ、いいよ! 今日は、楽しかったな」
「はい、楽しかったです。あの~、先輩! 一つ聞いてもいいですか?」 「何かな?」
「先輩って今彼女いるんですか?」
「どうしたの急に? 俺彼女はいないけど……」 「え、でも、この前楽しそうに先輩が女の子と歩いてたの見たんですよ」 「あ~、それは、部活のマネージャーだよ。確かに告白されたけど断ったんだよ。中学の時から気になる娘がいるんだってね」
「そ、そうだったんですかぁ~。でも、気になる娘がいるんですよね」
「まぁね、いるよ。近くに……」
「先輩! 私じゃ、ダメですか? 私、先輩の彼女になりたい。私、先輩の事好きなんです」
理奈は、顔を真っ赤に染めながら思いの丈を話した。すると、有馬は、理奈の頭に手を乗せ優しく理奈の頭を撫でながら
「理奈! ありがとう。俺の気になる娘ってのは理奈だよ。中学の時からずっとお前を見てた。おっちょこちょいなとことかあるし、俺が助けてやりたいってずっと思ってたんだ」
「せ……先輩、じゃ、私先輩の彼女になってもいいんですか?」
「もちろんだよ! 理奈。これからもよろしくな!」
「はい。先輩!」
その後、二人は夜の街を手を繋ぎながら帰った。 理奈は、家路に着き自分の部屋でシマパンに話かけたが返事がない。
「私が幸せになったから……でも、あんたのおかげで幸せになれたよ。ありがとね、シマパン」
一ヶ月後、とある街で少女がシマパンを買った。その少女がシマパンを穿くと、何処からともなく声がする。
「グッドモーニン~、マイマスター!」
そうして、またシマパン騒動が勃発するのだった。
(おわり)
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