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この小説のタイトルは、「わたしのパンツ!」 略して「わたパン」です。冗談交じりに書いた恋愛コメディーです。
冗談で書いた不真面目な小説です。くれぐれも本気でとらないようお願いします。
ピピッピピピ~! 朝、目覚まし時計の音が鳴り響く。
「ふぁ~、もう朝なのぅ~」
と、寝ぼけた声を出しながら目覚まし時計を止めて、またベッドに戻り横になる。もう少しで二回目の夢の世界に入りそうだったのだが、部屋のドアがノックされ
「理奈! あんたいつまで寝てんの? また、学校に遅刻するわよ! 早く起きてご飯食べなさい! 全くもぅ~」
と、母親に起こされた。せっかく二度目の夢の世界に入りかけたのに、現実に引き戻され理奈はふてくされた顔をして
「分かったわよ~、起きますよ、起きればいいんでしょ」
と、渋々言った。
「もう、朝御飯の準備出来てるから早く食べてちょうだい。片付かないから」
「はぁ~い」と、理奈は生返事をして ベッドから起き上がった。理奈は、この春から高校一年生。どこにでもいる普通の女の子だ。
理奈は、部屋にある鏡の前に立ち、パジャマを脱ぎ、ハンガーにかけていた制服を着た。理奈の学校の制服は紺色のブレザーで緑色のネクタイか、もしくはリボンなのだが、理奈はネクタイをいつも付けていた。スカートは赤色でチェックの入ったスカートだ。鏡に映った自分を見て、櫛で肩まである髪の毛をときリボンで一つにくくって鏡に映った自分を再度見て一つ頷く。
そして、部屋を出てリビングへと向かった。
リビングには、食卓にパンとミルクとハムエッグが用意されていた。
理奈は、リビングの時計を確認して、さすがにヤバイと思ったのか、用意されていた朝食を急いで口の中に入れ、ミルクで流し込んだ。一呼吸おいて理奈は、
「ごちそうさま。じゃ、行ってきまぁ~す」
と、玄関に向かう時母親が
「理奈! そういえば、あんたの下着がボロボロになってきてるから学校終わった後買って帰りなさい」
「えぇ~、ママが買ってきてよ~」
「私が買うとあんた文句言うでしょうが。はい、お金はあげるから」
と、母親は理奈に五千円を渡した。
「もう、分かりましたよぅ~、じゃ、行ってきまぁ~す」
と、理奈は学校に向かった。
理奈の学校は、理奈の家から歩いて三十分かかる。入学当初は、自転車で通学していたのだが、学校の手前に急な坂道があり、その坂道を自転車で毎日こいで上がるのが嫌になってしまい、徒歩通学にあえなく変更したのだ。 理奈は、急ぎ足で学校へ向かうが、学校手前の急な坂道に差し掛かった時に、理奈が通う福神第一高等学校の始業のチャイムが鳴り響いた。理奈は
「あちゃぁ~、今日も間に合わなかったぁ」
と、言って溜息を吐いた。理奈は、急いで校門をくぐり教室へ向かう。
教室では、すでにホームルームが始まっていた。理奈は、後ろのドアからゆっくりと身を屈めて教室へ入り、自分の席へと向かう。しかし、担任の鍋嶋先生が、
「藤宮~、コソコソしてる暇があったら早く席につけ」
と、言った。
その瞬間、教室中に笑い声がこだました。
理奈は、顔を真っ赤にして席についた。
気だるい授業を乗りきって、遅刻常習犯の理奈は、罰として教室の掃除をするはめになり、渋々掃除をした。
掃除をしていると、クラスメートの真鍋祐奈が
「理奈~、あんたこれで何回目よ」
と、茶化す。
「何言ってんのよ。祐奈がそれを言っちゃう? あんたも私と同類でしょうが」
そう、祐奈は理奈の遅刻仲間なのだ。
毎度毎度、同じ二人が遅刻して、罰を受けるのも一緒な為、二人は意気投合し、今日に至る。
「あっ、そうだ! 祐奈、今日暇?」
「うん、別に用事はないけど、どした?」
「いや、今日帰りにデパートで買い物するから一緒に行かない?」
「買い物かぁ~、いいよ、行っても」
「じゃ、決まりね」
理奈達は、掃除を急いで終わらせて、デパートへと向かった。
理奈達が住む街で一番大きい複合型デパートに着くと、
「そういえば、理奈? 何買うの?」
「えっ、えっとね、下着だよ。ママが買えってうるさいのよ~」
「下着かぁ~、私が理奈に似合うやつ選んであげようか?」
と、祐奈はニヤッと笑みを浮かべた。
「祐奈、絶対変な事考えたでしょ~」
「そ……そんな事ないわよぅ。大丈夫だから。早く行きましょ」
と、祐奈は理奈の背中を押して下着売り場へと向かった。
下着売り場へと着いた理奈達は、早速下着を物色し始めた。祐奈が
「理奈、理奈! これなんかどう?」
と、理奈の前に出したのは、黒い生地で、レースがついている物だった。理奈は、祐奈が差し出した下着を見て
「祐奈! 私、こんな派手なパンツはける訳ないじゃないの」
「えぇ~、似合うと思ったんだけどなぁ」
「やっぱり私が選ぶから、待ってて」
と、理奈はたくさんある下着に目移りしながら一つ気になった下着を見つけた。
「私、このパンツ気に入ったよ。これにしよ」
と、理奈が手に取ったのは、薄い水色の生地で、白と青のシマシマがはいっていて、白いリボンが着いていた。後ろの方にも流星のプリントが着いている、いわゆる『シマパン』というやつだ。
祐奈は、理奈が選んだシマパンを見て
「理奈、本気? そのパンツ子供っぽくない。もう、高校生なんだし派手なの履いてもいいんじゃないの」
「高校生って言ってもまだ私は十五歳だし、私は派手なパンツより、このパンツの方が好きなの」 「理奈が履くんだから別に買うなとは言わないけどさ、色気がないよ」
「色気なんかなくていいよ。パンツなんか皆に見せたりするもんじゃないし」
と、言って理奈は、シマパンをレジに持って行き購入した。
目的の物を購入した理奈達は、その後フードコーナーに寄り、軽く食べながら恋話に花をさかせた。
「理奈、あんた今好きな人とかいる?」
「私は、好きというか……憧れの先輩はいるよ」「誰、誰? この祐奈様に教えなさいな」
「絶対に誰にも言わない?」
「もちろん、神に誓って言いません」
「ホントにぃ……実はね、二年の有馬先輩だよ」 「有馬先輩って、バレー部の?」
「うん、中学の時からの憧れなんだよね。中学の時先輩に近付こうと私もバレー部入ったもんなぁ~」
「へぇ~、理奈にそんな過去があったなんてねぇ~。私も負けてらんないなぁ。高校生活で絶対に彼氏ゲットしてラブラブな毎日を送ってやるわ」 「祐奈も大きく出たねぇ~、じゃ、お互いに頑張りますか!」
「うん、頑張るよ。私のお色気で男子をメロメロにしてやるわ」
「はいはい、祐奈頑張ってね」
そして、二人はそれぞれの家路に着いた。
家に帰った理奈は、母親にお釣りを渡して自分の部屋に入った。
部屋に入った理奈は、ベッドに横になり、今日買ったシマパンを手に持ってひろげ眺めていた。
「はぁ~、色気かぁ~、私ってこのシマパン選んじゃうぐらいだから子供っぽくて色気なんてないのかなぁ~」
と、ぼやきながらシマパンを袋の中に戻しタンスの中へしまった。
次の日の朝、理奈はいつものように母親に起こされ、寝ぼけ眼で制服に着替える時に昨日買ったシマパンを思い出し穿いてみる事にした。
穿いてみると以外にフィットして履き心地は申し分なかった。理奈は、鏡の前に立ちスカートを上げて、自分が履いているシマパンを見ると
「結構似合ってるかな? よかった」
と、安心してネクタイを絞めていた時、どこからともなく男の声が聞こえてきた。