トロッコ問題
掲載日:2026/04/10
友達のいない妹とそんな妹を想う兄がいました。
山の孤城の窓から妹は色づく紅葉と線路を眺める。
そこには真っ赤な貨物列車が走っている。
私には友達がいない。
裸足で城を飛び出し、秋の匂いとおいしい空気を感じながら、線路へと飛び出す。
線路を歩く少女と眼が合う。
「あなたは誰?」そう聞かれる。
私は必死に身振り手振りをする。
「あなた声がないの?」そう言われて私は大きく頷く。
少女と一緒に線路を歩いた。
私には友達ができた。
分岐点へと着いた。
少女は真っ直ぐと線路を歩いていく。
左に曲がる線路を見ると作業員らしき人たちが5人いた。
足の裏から揺れを感じて後ろを振り向くと列車が来ていた。
私は線路から外れる。
作業員も少女も列車には気づいていない。
私の目の前にはレバーがあるのみ。
私は悩む。
このままでは友達の少女が轢かれる。
でもレバーを倒せば、轢かれない。その代償に5人の作業員が轢かれる。
そして私は人殺しになる。
問題は、少女は人殺しになった私をそれでも友達にしてくれるか。
列車は待ってくれない。
僕には大切な妹がいる。
妹が裸足のまま城を抜け出したのを見て、心配で追いかける。
妹は分岐点で悩んでいた。
僕は迷わず、人殺しになった。




