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1話 キオと
身寄りのない子供だったボクとその子は幼馴染だった。
隣の家に住んでいた。
もちろん小さな家で借家だったよ。
孤児のために国が手配した施設のようなもの。
パン売りのおじさんも、シスターもよく知っている娘だ。
ボクが徴兵される前のことを今でも二人がよく覚えているのもその子がそばで健在だからなのだ。
シャンティ……そんな名ではなかった。
そんなお洒落な名ではなかった。
あの子の名は、キオ。
その子はボクと同じ年齢だった。
孤児に付けられがちな短い名だ。
捨て犬や野良猫に付けられるような。
ボクも、二文字の名で呼ばれる姓を持たない子供だった。
トロ。
それが捨てられていたとき付けられた名だ。




