231-235
231貝の殻
海の上の青い空を
聴く
貝の殻
波打ち際の
吐息
過去の中身は記憶の鍋
でグツグツ
未来の扉の遠くに
見える
ブランコの揺れ
子どもは遊び
大人は夜遊び
貝殻は
無口の遊び
貝殻の裏側に生があり
貝殻の表に死があり
殻の貝の目には
生も死も無い地獄の楽園
が視えている
レンズ越しの虚妄
収差のにじむ正方形な世界
232DVDからブルーレイ
CDからDVDへ
DVDからブルーレイへ
ブルーレイ
から
レッドアイズホワイトタニシ
召喚に召喚を重ね
生贄に生贄を弾き
攻撃に防御を奏で
タニシは絶滅する
ジャンボタニシが生息する日本で
アフリカ人がちいさなちいさなちいさな
タニシを見つけて
ちいさなちいさなちいさな螺旋の小宇宙に
故郷のサバンナの風を感じて
ライオンの群れが草食動物を食べる視覚的咀嚼をする
黒い風に当たる白い歯を並べて笑う
血まみれの表情で
233裸エプロン
起きたばかりなので
自分でも何を書いているのやら
わかっていない五線譜
歌を語り
詩を無視する
料理は腕前
愛情はイチャラブ
真実の愛なんて見たこと
ないものは関心がない
エプロンがほどける
裸エプロンですることは一つ
熱いやかんで花瓶に水やり
234水虫のサナギ
234作品目の節目に
魚の目
水虫のサナギ
面の皮の厚い
足の裏
ツボは溝落
チャクラのイクラの軍艦巻き
禅の正座
靴ズレの星座
星星のモンブラン
234作品目の節目に
カツオ節のまぶた
が重い
235幾何学的哲学のおなら
距離感が遠すぎて
老眼鏡の焦点距離を近眼で見るような
計測不能な未計算式
幾何学的哲学のおならが鳴る
美女も一瞬で冷めるような
美男子も一瞬で浮気するような
不祥事的美学
トントン拍子に
淡々と考察する
探偵の点と三角錐
ユニコーンの角に
銀色のリボンを巻き付けて
絵画的音響
が揺れて水面の波紋のように
静かで
メダカが龍になる日が
近くて遠い