01-はじまり
午後九時過ぎ、私は今、学校の校門前にいる。
なぜかというと、家で晩ご飯を食べた後に明日の試合の準備をしていたとき、ユニフォームを部室に、ケータイを机の中に忘れたことに気付いた私は、自転車で学校まで走り取りに来たというわけだ。
まず部室へ行きユニフォームを取り自転車のかごに乗せ、校舎三階の教室にあるケータイを取りに行くことにした。
部室は窓の鍵がかかっていないところからあっさりと侵入し、ユニフォームの救出に成功。
次のケータイは、幸いなことに玄関の鍵が開いていたのでそこから堂々と侵入し、階段を上って教室のある三階へと向かった。
寒い。
なぜだか、急に肌寒くなった気がする。まだ梅雨のはずなんだけどなぁ。
階段を上りきり左を向いたとき、目が良くないのでよく見えなかったが、教室の前の廊下に何かが立っていた。ビミョーに浮いているようにも見えた。
そのとき、私はあることを思い出した。
「すいませーん、幽霊ですか?」
何を訊いているんだ私は!
そうこうしている内に、その幽霊(多分)はこっちに向かってきていた。
逃げたかった。
でも、逃げれなかった。
私は腰が抜けて尻餅をついていた。
立て!立つんだ私!!
私はまだ死にたくない!!!
気が付けば、幽霊は私の肩に手を触れていた。
普通に老死したかったなぁ、私・・・
半ば諦めかけたその瞬間、知らない人の叫び声が聞こえてきた。
「ふんぬぉりゃーー!!!」
その直後、目の前の幽霊が横腹から‘文字通り’句の字の形で吹っ飛んだ。
一人の男子生徒が、見事なライダーキックを決めていた。
「大丈夫だっt・・・・・ってぁあ!」
何をそんなに驚くのかわからない。
って言うか、急に頭がクラクラしてき・・・・た・・・・・・・