「初雪物語 ~ぬいぐるみたちのこっそり会話~」
❅このお話は「冬の童話祭2023」参加作品です。
しんしん、と雪が降るある夜。
今年の初雪は積もりそうなんです。
そんな初雪をジッと見つめる物が居ました。
大きな出窓があるお家に居る、ぬいぐるみたちです。
まゆみちゃんのぬいぐるみたちは、ご主人のまゆみちゃんによって窓辺に飾られていました。
お外の雪はますます降るのを強めています。
「あ~、これはかなり積もるな」
「しっ、声が出てるよ」
「もうまゆみちゃん寝ているから大丈夫だよ」
一体誰の声かと思いきや。
きりんさんのぬいぐるみが思わずと言ったように喋ってしまい、それを慌ててお馬さんのぬいぐるみが注意しました。最後の喋ったのはうさぎのぬいぐるみさんです。
三匹はそろおりと後ろを振り返ります。
まゆみちゃんは寝息をたてて寝ていました。
三匹はひとまず安心して、また窓の外を見つめます。
「初雪、だもん。まゆみちゃん驚くよ」
「まゆみちゃん喜ぶだろうね」
「まゆみちゃんお外で雪遊びするかなー」
三匹それぞれの感想です。
みんなまゆみちゃんが大好きです。
きりんさんのぬいぐるみは、まゆみちゃんがお外を見て驚く姿を想像し、お馬さんのぬいぐるみはまゆみちゃんの笑顔を思い浮かべ、うさぎさんのぬいぐるみは自分と同じようにぴょんぴょん跳ねる様子を予想しました。
雪はまだまだ降り続きます。
三匹はそれを朝まで見守っています。
まゆみちゃんが起きるまで、雪は降るのを見続けます。
そして、その窓辺からまゆみちゃんが雪遊びするのを見ようね、と約束し合うのでした。
〚おしまい〛
お読みくださり、本当にありがとうございます。