「神のみ心に従いなさい」から「歴史は繰り返すか?」その2
今日の西太后は久しぶりに煮えている。
「しようじきいってYさんにはまいってます。行くのは辛いなとはおもってます。伸び盛りの人に会うのは辛いしAZの人はT、K、Hに騙されているなと思います。土曜がダメだったから火曜が望みの綱でしたが火曜まで練習できなくなるのだなと思います。あの二人が来たら辛いなあ」
。。何を煮えているかと云うと、老子先生の口利きで彼女が参加する火曜日のサークルに新人が来る。新人は彼女が以前省きにあった時のテニスサークルAZに最近所属している。そのAZの古株で西太后を嫌ったT、K、Hが、彼女が担当する中原のテニスコートで新人に西太后の近況を聞いている、それが彼女の噂を吹聴されているようで気にいらないのだ。。
「今度の火曜日の練習は仕事のため行けないです。最近AZのKさんがHさんやIさんにあの人中原でどうやってるのと私の目の前で聞こえよがしにいってましたが私は長年すべての初心者のために練習相手をしてきましたからああいう妨害行為には易僻です。水性動物愛好会を騙るスポイル行為とみました。」
。。火曜日の練習の際に、AZのKが火曜会のメンバーHやIに西太后が中原のコートで仲良くやっているか聞いているのを耳にしたらしいが、いずれにせよ西太后の「はぶかれ問題」で老子先生を悩ませているようだ。。
。。悩ましいのは海外でも同様のようだ。。
「まだまだトランプ氏は再選の望みは捨てて居ない様です。」
テレビからアメリカ大統領選のニュースが流れている。
トランプ大統領の前世はテキサスの暴れん坊だ。アメリカ南北戦争の後、戦争で疲弊した南部の貧しい牧場主の家に兄と姉二人の四人兄弟の末っ子として生まれ、白人至上主義の父親から厳しく育てられた。酒に酔うと父の話は決まって南北戦争のことだった。
「川は死体で溢れていた。死体はガスが溜まると、ぶくぶくと膨らんだ。」そんな話を手ぶり身振りで食事の度に話すものだから彼は父親を憐れみ、見下していた。敗戦を受け入れるには白人のプライドが許さなかっただろう。南軍に勝利した北軍の将軍リンカーンの黒人開放令も受入れ難いことだった。今までの使用人が身分を得て白人と同じ権利を有するなど屈辱でしか無かった。後から彼は父の「死体のガス」の話は生きて帰った事の負い目を紛れさせたのだろうと考えた。だが当時は訳もなく父に反発した。
しかし祖母には兄に続いての男子だった事もあり、大事にされ兄弟の誰よりも可愛がられた。祖母は牧場の跡取りを望んだが女子二人が産まれ、漸く待ち望んだ男子が兄と彼だった。その祖母の愛情のせいか自由奔放に育ち、厳格な父親に反発して若くして家を出ている。
その後、カウボーイを10年ほどやったが、一攫千金を狙い金鉱でひと儲けする。幾らかの蓄えが出来、賭け事好きからカードゲームのギャンブラーになる。その時から仲間内ではカードを文字って「トランプ」と呼ばれた。
時にはならず者相手に銃で撃ち合いの喧嘩をすることもあった。やがて保安官になり彼が街の法律になった。そして弁も立つ彼に逆らう者が誰も居なくなり、終には街の長になった。
彼の趣味は金をかき集めること、美しい女を侍らすことだったが、特に銃の収集には異常なマニアぶりであった。彼の所有物となった街に射撃場を作り、頻繁に試し撃ちに通っていたが、後にライフル協会を設立、初代会長となった。
白人の彼には耐えられないことがあった。それは嫌っていたはずの父親から教えられた白人至上主義に反すること、つまり白人である自分の優位を貶める行為、輩の存在である。金を貯めた黒人を見ると、難癖を付けては牢屋にぶち込み、黄色いインディアンが白人の仕事を奪うと無理難題を押し付け、地の果の居留地に囲い込んだ。
。。今も昔と変わらないな、選挙で負けてもゴリ押しで再選に持ち込むつもりのようだ、大統領選対抗馬のバイデン氏も悩ましいところだ。。
歴史は繰り返す、何故なら人は生まれ変わり、同じ行動をして、結果同じ歴史を創るのである。
「バーバラ!出掛けてくるけどトイレはちゃんとするのよ!」
。。ニャニャン、ニャ〜。。(はいはい〜、分かってますョ〜)
吾輩は猫である。前世は夏目漱石、名前はバーバラ、雄猫、3千年の記憶を持つ生身の猫である。「煮える女」に登場する人物の個人情報には気をつけているが、TやHでは誰がだれやら語りの私も混乱しているのだから、聞き手には判る筈もない。ましてや前述のトランプ氏の前世の記憶に至っては尚更である。