傲慢①
[傲慢]
前回の襲撃の次の日
俺は、名都葦 夐 傲慢の悪徳(ディヤ―ブォル)である。そして、腰まで伸びた長い黒髪を乱雑に結び、顔の表情筋の死んだ俺の下僕①古鳥 隹 と引っ越しの準備をしていた。といっても彼女は、怠惰の悪徳(ディヤ―ブォル)であるため、あまり動いていない。それに対して怒るつもりはない。怒るのは俺の専門では無いがあまりにも進まなすぎる。
「・・・睾が来る。」
とぼそっと隹がつぶやいた。
すると壊れた玄関から
「ただいま~、夐くんのお城が劇的ビフォーアフターしたね。玄関は壊れているし、壁に大きな窓が設置されてる。」
とケラケラしながら俺と変わらない身長だが細身の金髪チャラ男が部屋の扉に体を預けながら立っている。俺の下僕②横目 睾である。こいつは、強欲の悪徳(ディヤ―ブォル)であり、レアなものや貴重価値の高いものがすきな為よく家を空けては、捜し歩いている。
「・・・おk」
「睾か、よく帰ったな。お前にプレゼントがあるぞ。喜べ、引っ越しを手伝う権利だ。」
「それで喜ぶって思っているのが夐くんだよね~。でもそれって罰ゲームだからね。ほんとは手伝ってほしいのに傲慢だから言えないもんね~かわいそうな子」
「俺は、かわいそうではない。完璧すぎてお前の思考が俺を理解していないのだ。それにこんな引っ越しの準備なんか朝飯前だ。」
「言質取った~じゃ、ぼくはここのソファで君たちの引っ越しが終わるのを見てるから、頑張れ~」
(やられた。煽っているのは分かっていたが売り言葉を買ってしまった。)
諦めて準備をしようとしていると隹が睾のもとに近づき何か囁いていた。
「隹ちゃん、ほんと?なら、手伝ってあげるよ。終わったら別のご褒美もちょうだいね~」
それにたいして隹は、コクコクと頭を肯かせていた。
睾は、俺に問いかけた。
「夐くん、何を手伝ったらいい?」
「やはり、引っ越しを手伝う権利がうれしいようだな。存分に私の為に働き愚民よ。まずは、お前の私物の整理だ。」
「了解」
と言って彼の部屋へと消えていった。俺は隹のところに行き何を言ったのか聞いてみた。
「隹。睾に何を言った?」
「・・・強欲の女いる。それだけ」
昨日の女か。なるほどと思い一先ず隹の頭を撫でておく。
「???」
「フッハッハッハ。」
なんで撫でられているのか分からない顔をしている。それに対して笑ってしまった。
「次の我が城で日当たりの良いところにハンモッグを置く権利をあげるぞ。だから、自分の分を早く準備してこい」
「・・・おk」
いつもより嬉しそうな返事でハンモッグを片付けに行った。
片付けを続けていると
「グフォォォー」
とゴブリンの雄叫びが聞こえた。きっと睾があの女を「吸収」したのだろう。
睾の部屋から現れては、お礼を言った。
「夐くん、隹ちゃんありがとうね。吸収したら意識を奪えるようになったよ」
「・・・おめ(^^)v」
「そうだ、彼女を吸収する前に記憶を奪ったら~彼女の仲間がまだ居て今日お見えになるみたいだよ~」
「そうか、片付けにも少し飽きていたから助かるな」
「なんの悪徳(ディヤ―ブォル)が知りたい~?夐くん」
「いや、いらんな。」
「いちいちかっこつける行動が笑っちゃうからやめてよね~。じゃあ、僕と推ちゃんは、おとなしく傍観しておくよ」
「フッ、とくとかっこいい俺の有志をみているがよい。」
見下すような顔の角度に対して右手で口元を隠し左手でソファに座った彼らに指をさす。
(決まったぜ)
「ところで...今日のいつ現れるのだ。隹よ」
「あははははは、ほんと夐くんは、面白いな~」
「・・・・」
睾は、腹を捩りながら爆笑している。隹も無言では、あるものの頬が少し緩んでいるのが見える。
(俺が変えてやる。)
夕暮れ時、隹が俺に声をかける。
「・・・来た」
その瞬間、部屋の床が抜ける。
(まずいな。やつらにも強化しておくべきか)
「強化(肉体) 対象は、三人」
ズドンと音を立てて一階に落ちる。
「くそが。俺が雑魚に膝をつけるなんて小癪だな」
目の前には、顔に憤怒の悪徳(ディヤ―ブォル)の証であるオーガの痣がついた中年の男が刀を持ち立っていた。
「殺す」
そういうと持っていた刀を振るいながら一直線に俺に向かってきた。
(ふむ。真剣白羽どりだ。神経を強化)
と思っていたとき相手の刀が消えた。男は、慌てふためいた声を出している。
「なっ、刀がない」
その隙に一発男の腹を殴る。ドンっという音とともに後ろに男が倒れる。
すると瓦礫の中からガラガラ音を立てながら
「隹ちゃん大丈夫?アヒャヒャヒャ、見てよ。これ刀だよ!いいでしょーいいでしょー。絶対やらないよ。さっきこれ俺が貰っちゃったからだれにも上げない。俺に似合うでしょ。」
と隹を心配をしているものの意識は、刀にいっているようで薄気味悪い笑い声と早口で面白いおもちゃを見つけたかのごとく興奮していることが分かる。
「・・・大丈夫」
殴られた痛みに耐えつつ男立ち上がり
「うぅ、俺の刀を返せ。破壊(人体)」
そう言うと睾に向かって走り出した。右手を睾に向かって伸ばしながら。
しかし、その手は睾にふれる前に睾が相手の腕を刀で切っていた。
「えっ」
ポトリと音がした後、疑問の声を発した男の腕からビシャーと血が吹き荒れる。
「――――――!」
切金声を発しながら横たわる男性を睾は、うるさいと言わんばかりの顔をしながら男の頭の手を当てる。
「僕の邪魔をしないでくれるかな。強奪(意識)」
すると、男から聞こえてきた声は無くなり睾の高笑いが聞こえてきた。
「アヒャヒャヒャ。意識を奪うって相手に触れないとダメだけど使い勝手がいいな。今回は、意識と刀と良いものが手に入った」
きっと男は、大量出血で間に合わないだろう。彼は、強欲の悪徳(ディヤ―ブォル)の力である強奪で(意識)と(物)盗んだ。(意識)ともう一つは、昨日の女同様に触れないとダメみたいだが視界に移れば盗むことが出来る(物)は便利だ。強欲の悪徳(ディヤ―ブォル)は、悪徳(ディヤ―ブォル)の中でも2番目に数が多いため、力の成長が早い。睾は、積極的に力の成長を行わない。だからこそ、ほんとに睾が悪徳(ディヤ―ブォル)の力に興味がなくて助かる。興味を持っていたら。俺の力も隹の力も盗まれていただろう。
「なんだ、建物が壊れている。政府に報告しないと。」
「節制の美徳様をお呼びしてなおしてもらいましょう」
と野次馬が集まりだした。
昨日ぐらいの騒ぎだとスラム街だとあたりまえの光景なので特に問題ないが流石にマンションが崩壊すると人が集まるようだ。美徳が来るならやってやろうじゃないか。あの頭でっかちどもに大罪でも教えてやろうか。
「・・・逃げよ。今じゃない」
と俺の服の裾を握りながら引っ張る
ふぅーと深い息を着きながら
「そうだな。ひとまず戦略的撤退だ。おい睾!その刀持って行っていいから行くぞ」
と声をかけるもまだ興奮しているのかアヒャヒャヒャと笑っている。
(仕方がない)
「強化(身体・肉体)」
己の肉体と身体に強化をかけて隹と睾をそれぞれを片腕で俵担ぎして走り出す。
「・・・ハンモック」
「新しいハンモック買うか。金なら睾のコレクションでも売ればいい」
「待て!それは、お兄さんが許しませんよ。あれは、俺の命よりも大事な宝だから」
「・・・おk」
二人を担いだまま笑いながら走る。
俺は、今日もこの世界に喧嘩を売りながら生きる。
悪徳(ディヤ―ブォル)ファイル②
[傲慢]
名前 名都葦 夐
性別 男
年齢 22歳
身長 178㎝
体重 69㎏
力 強化(他人に対しても可能)・?????・?????
容姿 前髪の一房だけ銀のメッシュが入っている短髪で筋肉質のイケメン男。
痣の位置 左足の甲
家族構成 両親 弟 (疎遠)
ナルシストで中二病を若干患っている。自分以外の人間は下等民族だと思っているが下僕①古鳥 隹 下僕②横目 睾は、とても大事にしている。特に怠惰の隹との相性は、良い。むしろ自分が守らなければと思っている。
必ず成し遂げたい目標がある。