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何が食べたいです?


 ユイさんは僕のおヨメさん【仮】。


 春に越して来てからあっという間の夏。ユイさんは毎日僕の部屋に来てくれる……わけでもなくて、ユイさんが来たいときにだけ来てくれるという鬼嫁ぶりを発揮中だったりする。


「セタくん、やっほ~」

「は、はい、ヤホーです」

「かたい、かたいよ~出会ってから4か月経ったのに、気弱なダンナさんすぎる!」

「ごめんなさい!」


 お嫁さん【仮】のユイさんは紛れもなく年上のお姉さん。とてもじゃないけど、タメ口で話すことなんて出来るはずも無くて、言葉遣いは特に言われないけど何となくそのまま来ている。


「セタくん、今日は何食べたいって聞いてくれるかな?」

「僕がですか?」

「よく聞く言葉でしょ? お嫁さんとか同棲の彼女が料理を作るときの定番セリフ! はい、リピートアフターミー! 今日は何を食べたい? はい、言って」

「えと、ユイさんは今日、何を食べたいですか?」

「何でもいいよ~」

「そ、そう言われても……」

「……ね? そう思うでしょ?」


 これも鬼嫁レッスンなのかな? そもそも僕は料理が出来ないし、気まぐれでユイさんがお裾分けしてくれているけど、作って欲しいってことなのかな。


「えっと、ラーメンなら作れます、僕」

「却下!」

「お、おにぎりなら握れます」

「それは手抜きだよ? 具は何を入れてくれるのかな?」

「うーんうーん……」

「はい、時間切れ~じゃあ、セタくん、今日は何を食べたいのかな?」


 あれ、これも試されている? そうだとしたら、よく考えないとダメだよね。


「えーと、えーと……」

「しょうがないなぁ、セタくんは。今日はカレーを作ってあげるね! それも激甘! 好きでしょ?」


 激辛じゃなくて激甘って……辛い方が好きなのに、これも鬼嫁さんなりの優しさ?


「セタくん、明日もカレー食べたいよね?」

「えっ……は、はい」

「明日も激甘にしてあげるね!」

「はい~……う、嬉しいなぁ~」

「これも鬼嫁へのステップアップなの。その為にも、セタくんには協力してもらうからね!」

「よ、喜んで……僕はユイさんのだ、だんなさんですから」


 僕の恋するユイさんは鬼嫁さんを、間違いながら目指している。


 それにしてもユイさんは僕を名字でしか呼んでくれない。名前で呼んでくれる時には、真のお嫁さんとなってくれているのかな。

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