シュミレ―ション施設へ
体育館の隣に新しい建物が建っていて中に入るとメイド姿の可愛い女性が立っている。
「イベント参加の方は、スマフォでの認証と聖霊の確認を行っています。
確認が終わりましたら、こちらで抽選を行って居ますのでこちらにお越し下さい」
確認を終えると、抽選の番号を引き第三ブロックに向かった。
メイド服で黄色い髪を二つに両サイド縛り、
ふわふわしたスカートに白いエプロンを身にまとい、可愛い。
と考えていると、第三ブロックに着き渡された赤いジャージに更衣室で着替えた。
カプセルが横にズラッと並んでいる場所に移動すると、
すでに一番隅しかあいて無くて、カプセルに入るとメイド姿の女性に蓋を閉められ。
「では全員揃いましたので簡単に説明させて頂きます。肉体から抜け、
意識のみで体験するアトラクションになります。では目を閉じて下さい。
仲間と助け合い無事にゴールし絆を深めて下さい」
ピッと音が鳴りカタカタと音がすると渦が目の前に現れ意識が移動。
目の辺り一面が一瞬にしてジャングルが現れ、数人の男性と女性が目の前に現れ、
図書館で喧嘩していた二人もお互いに目と目が合い睨み合いが始まる。
「また、お兄さん会ったね?」
「そっそれは僕の台詞ですよっまさかこんな所で再会するなんて思いもしません、
でしたよ!」
空気が一変し再び争いの火花の予感が。
「これから男女ペアーをお作りになり用意されたトラックのタイヤと縄、板で、
イカダを作って頂き、向こうの岸に渡り材料を拾って頂いた後で、
料理を作りゴールして下さい」
「ゴールする為には、協力するしか無いのか、愛が生まれるきっかけを
イベントで得る事が目的なのかな?」
茶色の犬を連れた青年が嬉しそうに犬とまるで会話をして居る様に思えた。
私の以外の人を軽く紹介すると、身長百七十センチ位ある金髪の外人さん、
ウエーブヘアーですらっとしていてモデルになれそう。
もう一人はスポーツをやってそうな、少し小麦色の肌で口調がハキハキとした、
ショートヘアーで茶色い髪で身長百五十八センチ位のお姉さん。
周りの会話を聞く感じでは、じゃんけんで勝った人から男性を選ぶみたい。
もう一人いかにも眠たそうで、うとうとしている短めの茶色い髪の男性も、
かのんさんと身長は同じくらいかも。
「私は負けませんよ!勝ちます」
外人さんはやる気十分、その言葉に隣に居たスポーツをやってそうな女性も、
やる気を感じさせる。
「僕は特に誰でも構いませんが」
「うん!選ぶのは女性に譲るのが男なんだと思うけどね?」
っと涼君に話しを返しさらに睨み合いに。
「じゃあーいきますよじゃんけんぽん」
と、外人さんが指揮を取り、みんなパーを出し私は、ぐうで負け、
他の女子二人でじゃんけんをし、外人さんが一番始めに選んだ。
「やりましたぁーでは眼鏡を掛けたお兄さんお願いします」
涼君は外人さんと。
「私もその真面目そうな人にしようと思っていたのよ」
周りを見渡し、睨み合う人では無く背が小さくて少し眠たそうな男性の手を取り。
選ぶ事の出来ない私は、涼君の敵になる男性と。
「あのー皆さんお名前教えて下さい、私はミチルです」
外人さんのミチルさんがさらに指揮を取り名乗り始めた。
「僕は松丘理久です宜しくお願いします」
背の小さな眠たそうな理久君、次に涼君が名乗り。
「僕は広瀬湧麻みなさん宜しく」
私が名前を名乗ると、涼君が何かを思い出した様に
笑顔に私も涼君を見て笑顔を返すと。
「?お姉ちゃんの知り合い?」
っと少し不満げな湧麻君、私の手を取り涼君は眼鏡を右手で触る。
「あの人には負けたくありません」
涼君と湧麻君は睨み合いが続き、かなり怖い。
「私は春咲みゅうな宜しくね」
薄い小麦色の肌を見るといかにもスポーツをやってそうな女性が名乗り。
「ではパートナーが決まりましたので始めて下さい」
とアナウンスのが入りイカダの第一ミッションが始まる。
「菜月さん僕がタイヤに縄を付けるから、そこのタイヤここに運んでくれる?」
湧麻君は作り方に詳しいのか私は従った。
タイヤを転がし湧麻君に渡す。他のチームも順調にと思いきや
私たちがイカダを作り終わり川に運ぶが、理久君とみゅうなさんは遅れ。
「みんな行っちゃうじゃない、ここは私がやるから理久君は縄をお願い」
少し焦るみゅうなさんとは対照的に、理久君は首を傾けゆっくり縄を拾う姿。
私と湧麻君とイカダを川に移動させ漕ぎ始める。しばらく進めていくと後ろから
ミチルさんと涼君のイカダが近くに迫る。
段々に距離を縮め二人で息を合わせ漕いでいる姿に、私も湧麻君と一緒に漕いだ。
「待ちなさいそこのお二人、私は負けませんよもっと早く漕いで」
涼君に命令するミチルさん。
二人で息を合わせ漕いだ後、私が先に向こう岸に着き、食料を探す。
「僕山菜とか全然わから無いよ」
「わっ私も詳しく無いけどどうしよう?」
湧麻君は、両足のズボンの裾をまくり上げると
川の中に入り手づかみで魚を取り始めた。
私は取りあえず木になっている木の実や果物を採る。
「これはつくしですね、卵とじに向いてますので採りましょう」
涼君の方を湧麻君が見ていると気になったのかじっと見ながら。
「向こうは山菜に詳しそうだね?」
「おいしかったら良いんだ、それに卵なんてあるわけ・・・・・・」
「ありました!卵今にわとりが卵を産みました」
ミチルさんの両手には卵が一つずつ握られて居る。
こんな所に卵がある事にびっくりして思わず目が丸くなる。
ゲームの世界のさらにゲームの世界だから可能なのかもしれない。
しばらく別行動した後、湧麻君は捕まえた魚を握りしめ、こっちに歩いてきた。
「そろそろ料理した方がいいかな?」
こっちは山菜は無いけど料理は出来そうなので、調理場に向かった。
「三つ葉があるといいのですが、採取時期では無いので無さそうですね」
涼君は辺りをうろうろし山菜集めに没頭。
二人で調理出来る場所に移動し、手を洗い私はついでに果物を洗う。
湧麻君は、隣で鮎を洗い塩をまぶし鉄の串に刺し、火を紙につけて木に炎を移す。
涼君とミチルさんのチームも料理を開始。
二十分程黙々と料理を作り、辺りを見渡すが理久君とみゅうなさんの姿が無く、
私は湧麻君に魚を頼み岸に見に行った。
私と涼君のチームのイカダはあったけど、みゅうなさんのチームの
イカダや姿が無い、その辺りを探しても見つからず。
「大丈夫二人の聖霊の気を感じるから」
ニーナが姿を現し私の右肩に座る。
「何かあったら聖霊が助けてくれるんだよね?ありがとうニーナ」
「聖霊は人間の道具じゃ無いのよ?いつでも助けられる訳じゃ無いの」
ニーナは少し反抗期なのかトゲトゲした口調私の事を思ってだとは思うけど。
「たっ助けてー」
助けを呼ぶ声に辺りを見渡しても人影は無い。
「菜月・・・・・・力が何かに吸い取られて、何?この力」
ヒューっと肩から落ち、ニーナの姿がパッと消えた。
「ニーナ?何処?」
辺りを見渡してもニーナの姿が無く。
「皆さん落ち着いて聞いて下さい!非常事態が発生し調べ中、解明を
急ぎますので、意識を元に戻すまで今しばらくお待ち下さい
テントを送り込みましたので、そちらで待機お願いします」
私は、不安な気持ちとストレスや疲労のせいか、
ふらっと腰の力が抜け、そのまま倒れ込む。
ガシッ
っと何かに掴まれ、振り向くと湧麻君が心配そうに見ていた。
「お姉ちゃん大丈夫?理久君もみゅうなさんも調理場に無事に来たから先に戻って居て?」
私は湧麻君と別れ、先に食事を作る場所に戻る。
「あっ菜月さん戻ってきた!おーい」
っと、みゅうなさんが私の方を見ながら笑顔で手を振っている。
私はみゅうなさんの元に駆け寄り思いっきり両手で両肩に抱きつく。
「菜月さんごめんね!」
っと私の背中をみゅうなさんが優しく撫でてくれて少し安心した。
「心配して探しに来てくれたんだよね、ホントにごめんね心配掛けて」
「何かトラブルが起きているようですので、早めにテントを張らなければ、
理久君すみませんが手を貸して頂けますか?」
「はい僕でよければお手伝います」
理久君と一瞬目が合い、理久君がニコッと優しい笑顔を向けて来た。
理久君は涼君と一緒にテントを張り涼君は率先しテントを組み立てている。
「すみませんが金づち取って頂けますか?」
みゅうなさんは涼君と理久君の傍に近寄り。
「理久君待って私が今取るから少し待ってて」
っと涼君に作り方の紙と、金づちを渡す。
「ありがとうございます助かります」
と、みゅうなさんから受け取り斜めにペグを打ち込んでいく。
「私何か飲み物無いか探して来るね」
っとジュースが置かれて居たので、涼君や理久君みゅうなさんに
ジュースを渡し。私も何か出来ることを見つけてはサポートをした。
日が暮れテントも無事に張り終え、みんなが落ち着く頃には夜に。
湧麻君は、戻ってこなかった。私は外に出て星を見ていると、みゅうなさんが、私の隣に。
「湧麻君戻って来ないね?あのねっちょっといいかな?」
みゅうなさんは少し顔を赤らめている。
「私、実は湧麻君の事が気になるのもしよかったらパートナー交換して貰えないかな?」
「わっ私は構わないけど湧麻君の意見も聞いてみないと」
「そっそうよね、勝手には変えられないわよねごっごめんね急に」
「うっうんっごめんねせっかく相談してくれたのに」
「いいのいいの!迷わせてしまってこちらこそごめなさい」
みゅうなさんは、優しくフォローしテントに戻った。
私は、一人トボトボとしばらく歩いていると声が聞こえてきた。
「まさかこんな所に迄影響を?本当にこの学園に来るべきだったのか、
あんな事が起きなければ、こんな事が起きずに済んだのかもしれない
全ては弟のと僕のせいで巻き込んで・・・・・・」
ガサッ
っと近くに落ちていた石に足を取られ、滑らせ気づかれた。
「っだっ誰か居るのですか?」
そこに居たのは、声で涼君だと分かったけど眼鏡のレンズが光って見え。
私は何となく聞いてはいけない話しにも思えたが後ずさりもできないまま、
涼君に近寄り。
「今の聞かれてしまいましたか?すいません少し考え事を」
何か悩んでいる様にも聞こえたけど、聞くべきか聞かないでおくかより、
聞く方が何か力になれるとも思い聞いてみる。
「何か悩みでも?」
「いえっ気にしないで下さい、そろそろ冷えてきませんか?テントに戻りましょう」
涼君が立ち上がり一緒にテントに戻った。
何か聞かれては困るようなそんな空気も感じ聞けずに終わる。
「お待たせしました今から学園の方に戻します
そのまま目を閉じお待ち下さい、では戻します」
ブォーン
目の前に渦が現れ、シュミレーションのカプセルに意識が戻り目が覚める。
疲れが残っているのか体がふらふら他の生徒もジャージから制服に着替え、
体調が戻らず外に出ると辺りは薄暗くなっていて目が慣れていない。
「菜月さん大丈夫?」
後ろの方から声がして振り向くと、みゅうなさんが心配してか来てくれた。
っとその時、ぐらぐらと円を描くような変な感覚が起こり目が回る。
「何?どうなって居るの?ちょっと目眩が」
私は腰が抜けその場に座り込むと、みゅうなさんもその場に座り込む。
学園を見ると揺れている感じは無くこの辺りだけが揺れている。
「緊急のお知らせをします。只今強い地震が発生しています。
生徒の方は急いで学園の建物にお戻り下さい」
みゅうなさんと私は地面をはうように移動し学園に向かう。
「危ない!」
何処からとも無く大きな声が聞こえ、
ズドンッギィーバキバキー。
っと音がして右側前方を向くと同時に大きな大木が折れて襲いかかってきた。
「キャァー」
っと大きな叫び声をあげる私はとっさにみゅうなさんを思いっきり、突き飛ばすと、
スローモーションの様に押し倒した弾みでみゅうなさんは私から離れ、
「ワンワンッ」
ザッザザザザッッ
と地面を擦る音が聞こえると私に覆い被さる何か、
暗くてはっきり顔は見えないその瞬間。
「菜月さん!」
っと名前を叫ぶ声と共に意識を失った。
暗い闇の中に、一本の木が現れ木の傍で少年と二人で何か楽しそうに遊ぶ姿。
「もっと聞かせて」
「僕下手だから、もっと上手くなってから聴かせてあげる」
「わかった約束ね」
雷と同時にゴオオオオオオ、何処からか聞こえる音が耳元で聞こえると。
「菜月ちゃん危ない!」
の声、少年が何か危険を知らせる声。