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霊なんて信じますか  作者: 玲音
1 神藤二
5/6

5 子供

 麗人神社に着いた。歩きだと結構時間はかかったけどまあいい運動になったんじゃないかと思う。この体に運動が必用ならの話だが。


「さて……どうしようかな〜」


 取材と言っても他人に話しかけられないのは困りものだ。誰一人として反応してくれないのでは取材にならない。


「とりま、現場にだけでも行ってみるか」


 歩きつつ考える。今回の事件は麗人神社変死体事件と世間では騒がれている。概要はおおよそ聞いた。

 深夜1時頃にここら辺をジョギングしている男性が池に浮かぶ何かを発見。この池には何も無いのに、怪しいと思ったらしく警察に通報。

 深夜2時頃に警察到着、捜査を開始。そして死体を発見。

 そこからマスコミが嗅ぎつけ、近隣住民を煽り世間で一躍話題となった。

 死因は溺死とのこと。身元はまだ分かっていないらしく現在調査中。


 考えを巡らせるうちに現場まで着いた。警察こそいないものの立ち入り禁止と書かれたいつもの黄色と黒の線がそこにはあった。


「お邪魔しまーす」


 だが残念だったな!幽霊の俺には関係ないんだよ!と言いつつも怖いからテープはちゃんと跨いで入っていく。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 結局何も無かった。当たり前だよな……。ほぼ捜査は終わってるのに何も残っているはずがない。手がかりというかネタになりそうなものも無かったし。

 さっさと引き上げてエミちゃんのところに行こう。取材出来ないとこんなもんだろう。まあ俺の分も後輩と新任が頑張ってくれるといいんだけれど。こんな事件はそう無いから本当に頑張って欲しい。


「歩いてまた帰んのかぁ。疲れんな〜」


 帰ろうとした時


 ―アハハハ

 ―ヒヒヒヒ


 子供の声が聞こえた。さっきまで聞こえなかったがこの辺にいたんだろうか?


 ―おじさん、こっちだよ


「は?」


 今俺の事おじさんって言ったか?まだ28なんだが……じゃない、大切なことはそこじゃない。

 俺に呼びかけた事だ。当たりを見回すと人など1人も見えない。ここにいるのは俺だけのはず……


 ―おじさんはもういいよ……

 ―むこうに行こ


 確かに聴こえる子供の声。やはり俺の事を言っているらしい。だが姿は見えず。結局諦めることにした。


「そういえば……麗人……」


 エミちゃんから聞いた麗人神社にまつわる伝説、子供の霊。まさかそんなものが出たのだろうか?だが一概に無いとは言いきれない。なんせ霊としてこの俺がいるんだから。

 子供を追いかけるのは諦めよう。今はエミちゃんに会いに行きたい。この姿になって初めて分かったことは人は結局のところ人恋しさがあるらしい。どれだけ孤独でいようとしても、孤高でいようとしても。人恋しさが来てしまう。俺だけかもしれないが。


 ――早く戻ろう


 話せる人がこの世界でたったの1人しかいないなんて凄く悲しいものだ。でもそれが身近な人で良かった。エミちゃんじゃ無かったらどうだったのだろうか……


次からは視点が変わり主人公が変わりますので……

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