道を定めて
どこまで歩けばいいんだろう。
行けども行けども道は無くて、もちろん人の姿もない。
あの町を出てしばらく経った。もう人の目を避ける必要もない。でも、無いのだ。人里が。
その日のご飯のためにモンスターを狩りながら進んでいたけれど、それがそもそもの間違いだった。奴らが住んでいる所に人は住まない。
都市や流通、農耕をする場ならモンスターのいない安全な地域を選ぶし、狩猟民でもモンスターの住み処からは少し離れた場所に根を下ろす。モンスターの居る所に積極的に進んでいる僕らが人に出会えないのも道理だ。
「ちょっと違う歩き方をしてみようか」
笑いかけると、イレーヌさんは表情を変えないまま、「ミヨウカー」と頷いた。
あてのない旅の目的を、僕は『自分がこんな体になった理由を探す』ことにしていた。元の体――触れても誰も殺すことのない体になるまでは人と関わらないようにと思っていたけれど、何も分からないのでは仕方がない。
触れなければいい。ただ情報を得て、その場を去る。それだけでいいのだ。ただ、誰とも関わらなければいい。
服代わりに体に巻いていた毛皮をほどき、鞄代わりの熊の胃袋へ詰め込んだ。
この袋、伸縮性はいいのだけれど、やっぱり生臭さがたまらない。取り出した服や手袋は臭いが染み着いており、僕じゃなきゃ耐えられそうにない。
人里の近くには水場があるはずだから、そこで洗ってしまおうか。ついでに手持ちの毛皮も綺麗にすれば町で換金してもらえるだろう。
進路は決まった。水の匂いが濃い方へ。




