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斬機走甲/´スラッシュダッシュ  作者: 石川湊
二章/邂逅´共闘
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第11話「最悪の再会」

■青島〉μ『すげぇ……』


『誇り高きヴァルキリーギアならば、これくらい当然です……と、言いたい所ですが』


 青島としてはかなりの手応えを感じていたのだが、どこかミスがあったのだろうかと思っていると意外にも、


『タツヤは反射神経が大変優れているようですね。首周りのモーターは私の補助無しの方が、パフォーマンスの向上が予想されます。プログラムを一部修正する必要があるようです』


 今まで他人行儀だったのに突然名前を呼ばれたこと、そして今まで何をやってもダメだった自分を褒めてくれたのが、この人間離れした戦闘兵器だったということに、青島は二重で面喰ってしまう。


「俺、今まで集中力がないってよく怒られてたんだけど……」


『たしかに人の身でこの反応速度を活かし切るのは難しいでしょう。タツヤは周囲の状況から判断して対処するというよりも、異変を感じ取っていると言った方が近い。噛み砕いてしまえばただの勘ですね。そして自分自身がその根拠を裏付け出来ない為、結果的に反応するのが却って遅れてしまう』


 ミユの説明は難しくてよく分からなかったが、とりあえず褒めてくれているということは青島にも分かった。そしてミユなら、自分を使いこなしてくれるということも理解出来た。


全自動戦闘支援(ブリュン)誘導システム(ヒルデ)発動中、私はメモリの解析に専念する為に、視界をタツヤとリンクします。つまりタツヤのヘッドギアに映しだされた情報、タツヤの視界に応じて解析を行いナビゲートするという事です。そうすると、タツヤのようにインプットする情報が多ければ多いほど、より的確なナビゲートが可能となるのです』


 今までのどの時よりも饒舌に、自分を褒めてくれるミユにすっかりご機嫌になる青島。

 子供の時からの習慣が悪癖とすら悩んだこともあったのに、まさかこんな形で活かされるようになるとは思ってもみなかった。

 ミユの足もすっかり馴染んできたようで、今では歩いてもなんの違和感もない。一刻も早く帰還して、この事を皆に知らせたいと思った矢先、


『ではこのままコロニーを壊滅するとしましょう』


「ちょっと待ってくれよ、いくらなんでも急過ぎじゃないか?」


『私もタツヤも戦う事が目的の筈ですが?』


「そりゃそうだけどさ、お前もうちょっと冷静になれよ!」


『私に冷静も興奮もありません。タツヤのバイタルが乱れてきているのは承知していますが、まだ充分余裕はあります。むしろ数が減っているうちに一気に仕留めなければ、軍隊蜂はまたすぐに兵隊を補充してしまいます』


 μ(ミユ)はいつも通り赤い瞳でジッと青島を促す。まるで眼光でコマンドを入力(命令)されているような気分に青島は陥る。


「……だからって、俺一人でコロニーを――」


■伍行〉青島『青島……? お前生きていたのか?』


 言い争っていた青島の言葉を伍行の思念チャットが遮る。慌てて周囲を見渡すも伍行はどこにも見当たらなかった。ミユが奥の廊下にカーソルを合わせるも、やはりそこには何も映ってはいない。

 青島が意図を計りかねていると、ミユは勝手に赤外線モードを作動させる。するとそこには、無骨な装甲を持つ黒いオートマタが現れたではないか。


「オートマタ……? なんでこんなところに?」


『この程度の迷彩、誇り高きヴァルキリーギアならば見破るのは容易いです』


 突如現れたオートマタに青島が驚いていると、柱の影からオートマタの持ち主である伍行が音もなく現れた。


「よく位置が分かったな。しかしお前……その装甲、どこで拾った? そもそもどうやって生き延びたんだ?」


『タツヤ、この男は?』


■青島〉μ『俺の隊長だ。参ったな……』


 オートマタを見破ったことや様変わりした両足を説明するには、どうしてもミユの事も説明しなければならない。どうやらミユの言う通り、伍行には青島のすぐ隣にいるミユの姿は見えていないようだ。姿の見えない存在を、どう説明すればいいのかと青島が悩んでいると、


「どうした青島? ……それとも、青島のパワードスーツを着た誰かということか?」


 伍行は手に持つライフルの銃口を青島に向ける。最悪なことに、伍行はこちらを遺跡泥棒と勘違いしているようだ。

 本来なら死んでいた筈だし、奪還者(リテイカー)としての純正パーツではなくチグハグなのだから、そう思われても致し方ないとはいえ、状況はさらに緊迫してしまった。


「俺です俺! 青島です!」


 ミユのことを説明する前にまずは身の潔白を証明しなければと、青島はヘッドギアを外して顔を見せた。伍行はまだ怪しんでいるのか、銃口はすぐには下げず周囲を窺っていた。


「……いいだろう。で、お前が本物の青島として、あの高さから落ちてどうやって助かった? その脚部は遺跡泥棒から奪ったものか?」


「それもご説明しますので、とりあえずここから出ないっスか?」


 ミユには悪いが青島としては一刻も早く遺跡から出たかったし、どの道ミユのことをゆっくり説明するのも、いつ敵がくるか分からないここでは満足に出来ないだろう。伍行も異存はないようで、銃口を降ろし二人で下の階へ行こうとするが……、


「お前、なにやってんだ……?」


「こ、これはですね……」


 青島は失念していた……今体の主導権を握っているのはμ(ミユ)だということを。

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