表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神大陸  作者: ノーリターン新
5/5

防衛目標、私

はい、こんにちは。

ユミです。


今は戦場という物騒な場所から遠く離れて、安全な高台の上にある一戸建ての家にいるんです。

インク・サプライさんとリンネ・ラグさんは買い出しに行きました。

ラムラ・ラグさんはユミたちに何をさせる気でしょうか。

周りに住宅が密集してやすが。なーに、ラムラさんが蹴散らしてくれるでしょう。

おっといけません。

惑星チーズに来てから、私たちは歓迎されない身分でありやした。

何事も穏便に、サダコさんが隣の椅子で寝ていますから。


「子ザルさんを起こさないようにね」


「うーん」

「むにゃむにゃ」

「サダコは子ザルじゃありません・・・」


「起きてるんだか寝てるんだかわからないガキンチョですね」


パシッ!パシッ!


「はっ!」

「痛いですう!」

「ブチましたね?」


「はい」

「ユミを一人残して黄泉の世界へ旅立った罰です」


「ユミさん」

「サダコは怖いです」

「軍と呼ばれる迷惑な人たちを懲らしめるのでしょう?」

「身の危険を感じます」


サダコさんは揺れる椅子、ロッキングチェアに座っています。

うわ!泣き出した!


ユミは思わずサダコさんを抱きしめてしまいました。


ふわ


窓から陽の光が差し込む。光が二人を包み込み、埃の粉を浮き上がらせる。

ほんのひと時の安らぎ。眩しい。


「大丈夫、子ザルさん」

「ユミが全部守ります」


「ひっどいですう!!」

「サダコは子ザルじゃありません!」

「プンスカプンスカ!」


「あはははは」

「相変わらず仲がいいですね」


「よくない!!」


サダコさんとハモってしまいました。恥ずかしいでやんす。

にしても、ラムラさんはよく笑いますね。


「悲しいから笑うんですよ」

「知らないんですか?」


「ラムラさんがどんな目にあったのか」

「当ててあげましょう」

「こーんな目にあってあーんな目にあって」

「恥ずかしめを受けたんですね?」


「ユミさんは想像力がたくましいですね」

「いいお笑い芸人になれますよ?」



バン!!


「大変だ!」


インクさんが血相を変えて帰ってきました。

リンネさんも険しい顔をしてます。

ボタボタと持っていたリュックや紙袋をその場に落として。すぐに玄関を閉めます。


「憲兵だ!」

「隣の通りに来てるぞ」

「鍵をかけろ」


あ、そうそう。ユミとサダコさんは、前回の軍との一戦で制服がボロボロになっちゃったから。

ラムラさんに変えの衣服を支給してもらいました。

これはなんだか、ウーム・・・

グレーのセパレーツの作業着ですねこれは。

あ、もち下着も変えましたよ。臭かったからね。

なんでこんなこと言わせるんですか!


小窓から外をうかがうインクさん。


「隠れて!」


サダコさんが叫んだ。


「もう嫌だあ!!」

「おうちに帰りたいよお!!」

「もがもがもが!」


慌てて子ザルさんの口をふさぐ。


「気づかれた!」

「こっちに来るぞ」


チャイムが鳴る。

ユミとサダコさんがリビングの奥に隠れる。

緊張が走る!

ユミはまだサダコさんの口をふさいでいます。


「もごもご!」

「ふーふー!」


「はい?」

「どちら様でしょうか?」


「軍のものだ」

「ここらへんで怪しい女連れを見なかったか?」

「若い女二人だ」


「さあ?」

「知りませんね~」


インクさんが芝居する。


鍵を開けたとたんに軍人が三人入り込んできた。


「調べさせてもらう!」


ラムラさんとリンネさんに促されて裏口から逃げる私たち。


「居たぞ!」

「裏口だ!」


バタバタバタ!


スニーカーシューズを踏みしめながら一目散に逃げる!


住宅街の細い路地を通り抜ける。

雑草や樹木の枝に引っかかって服が破れだした。


「発見次第拘束せよとの命令だ」

「射殺の許可も出ている!」


パパパパッパパパパン!!


ユミの後頭部に弾が当たった。

瞬間、場が叫んで赤い半円球が出来る。ユミの周りを覆いつくす。


「あれが悪魔のフィールドか!」

「本部に連絡」


「サダコはもう嫌だよー!!」


「ユミだって嫌です!!」


「はあはあはあっ」


広場に出た。追っ手は?


ヒュン!!


ズドーーーン!!!


ミサイル?

バカな、こんな大それた兵器を使うなんて!

巡航ミサイル、爆発で住宅街は破壊され、ユミたちは吹き飛ばされる。


「あーーん!」

「またお洋服がボロボロだよー」

「あ」

「女神様!」


サダコさんが意味不明なことを言った。


「なにコいてんのですか」

「女神様なんてどこにも・・・」


サダコさんの後ろでユミは見ました。

虹色に光る光輪の中にいる白い肌の女性。

卵型の顔に太い眉毛、青い瞳に金髪の長い髪。

純白のワンピースに背中に真っ白な羽が生えている・・・

両手を広げて。


「さあ」

「あなたたちがいた世界へお帰りなさい」

「ここは本来の世界ではありません」


「女神様あ♡」


ユミは一目で本物の女神と認識したでやんす。


「あ、鳥さん」


「クルルㇽ」


ユミがザルに乗せていた行方不明になっていた海鳥さんが。


バサバサバサ!


もう怪我が治ったみたい、元気に飛び、ユミの肩の上にとまります。

ユミのほっぺにスリスリしてます。


「いいですか?ユミさん、サダコさん」

「ラムラという方の口車に乗ってはいけません」

「最後は核戦争になってしまいますよ?」


「かくせんそう?なんですかそれは?」


サダコさんが訪ねる。


「結局あなたたちは利用されているだけなんです」

「悪意を持った人たちを懲らしめるために」

「幸せだった世界へ帰りますよ?」

「さあ」

「私の胸の中に!」


「え?」

「地球へ帰れるの?」


ユミは嬉しさのあまり、涙声になりました。


パアア!


光が眩しくて目を閉じる。

遠くでラムラさんたちが観測している。あの人たちがユミを利用しているなんて。

カギ職人になるのは嘘だったのですね。



ユミとサダコさんは光に包まれる。

廃墟と化した住宅街の中で、光が拡散してゆく。


「今度は私があなたたちのお目付け役です」

「よろしくう♡」


そう言って女神様は次元ゲートをくぐる。背中の翼を広げて羽ばたき、ユミたちを両手に抱えながら。

宇宙空間を旅しながら、女神様が言います。


「地球はもう戦争を捨てました」

「あなたたちがキーだと言うのは、地球でも同じですよ」


何十年のようで一瞬の時間のようで、わずかな感覚をおいて学校前の海岸の岸壁に降り立ちました。


「はっ」

「ここは学校前の階段通りの岸壁」

「今日は波がしけっていて臭いでやんす」


今気が付いたのですが、ユミたちは衣服がボロボロで、ほとんど全裸の状態です。


「さあ」

「自分の家へお帰りなさい」

「今はまだ時間が動いていませんから」

「あなたたちの恥ずかしい姿は誰にも見られませんよ」


「女神様あ♡」


サダコさんが抱きつきました。

ユミも抱きつく。


「女神様、ずっとユミのそばにいてくれますか?」


「ええ」

「そのためにあなたたちを保護したんですから」

「女神は天使たちを防衛します!」

「大昔からね」



次の日、学校に登校しましたが。

現地時間はあの迷惑道具博物館の遠足の次の日らしく、ユミたちが体験した惑星チーズの時間はどうなったのでしょう?

ラムラ・ラグさんは何も知らないと言ってました。


「ああ、でも」

「私は多次元に同時存在できるのは本当ですよ」


「なんだか怪しいですね」

「ここに変なもの隠してるでしょう!!」


バ!


「きゃあ!」

「なにすんですか!」


ラムラさんのスカートをめくってパンツ丸見えにしてやりやした。サダコさんがピースサインを出してます。ラムラさんの顔が真っ赤です。

男子達の視線がクギ付けです。いい気味ですね。

あ、海鳥さんですが、ユミの左肩に乗ってます。ユミを主人と認めてくれたみたいですね。


「はーい」

「皆さん席についてえ」


先生様のお時間です。


「今日は新しいお友達を紹介します」


先生様の隣できれいな女の子が立ってます。


「おお!」


男子どもが目の色変えてます。


「ああ!!」


ユミとサダコさんが同時に声をあげました。

ブレザー着てるその子は間違いなく女神様です。


「女神様あ!!」


「女神様、羽はどうしたんですか?」


「ああ、あれね」

「あれは自由にしまえるの」


チョークで黒板に名前を書きます。


カッカッ


「サユリ・ノーマンです」

「お見知りおきを♡」


女神様がウインクしました。

男子たちの歓声が聴こえます。




第一部終わり。


2019.3.23

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ