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スポコン!?でも乙女にはハードルが高すぎます!

作者:

「ごめん。大丈夫だった?」





友達とおしゃべりをしながら帰る途中、見知らぬ男の子とランドセルがぶつかってしまった。

おしゃべりに夢中になっていた私たちも悪かったのに、自分から謝ってくれた男の子にちょっとドキッとする。

わあ!この制服って第一学院のだ!



「ごめん。どこか痛む?」

「ううん!そんなことない!私も前を見てなくて…ごめんなさい。」

「それならよかった。」


慌てて答えた私に、その男の子はにっこり笑ってくれた。

やっぱりかっこいい!

思わず見惚れてしまった。


その男の子と別れた後は、友達とキャアキャア言い合った。

だって、ほんとにかっこよかったもんなあ…。

でも、あんな名門校の生徒だったらなかなか会えないだろうなあ…。

家に帰ってからも、その男の子のことが忘れられず、少し涙が出てしまった。

そのまま、枕を抱えてベッドに倒れた瞬間……………私の中を様々なものが流れた。




なにこれなにこれなにこれっっっ!?!?!?






一頻りのパニックが治まると、自分の中に、もう一人ぶんの自分の記憶があるのが思い起こされる。


私は今まで幽霊だのUFOだの前世だの、そういった類いのことはまるっきり信じてはいなかった。

女の子たちの付き合いの一環としてある程度は受け入れてきたが、内心胡散臭いとしか思っていなかった。

まあ、漫画や本やテレビの中だけなら好きなのだが、二次元と三次元をごっちゃにしてはいけない。

まあ、腐女子としてごっちゃにしてしまいそうなときもあるが、周りに知られたら引かれてしまいそうなので、極力隠したいのだ。

思考がそれたが、とにかく私は今まで不可思議なことを信じてはいなかった。でも自分の身に起こってしまっては信じるしかないだろう!



そして、超重要なことに気がついてしまった。

……ここが、漫画の世界であることに……。

そして、私がヒロインであることに……。






確か、あんまり人気が出ずに、打ちきりになってしまっていた少女漫画で、あの男の子はヒーローだ。

簡単に言えば、ヒーローに一目惚れしたヒロインが、男装してヒーローと男子校に入り、同じ部活で青春しつつハプニングありつつのよくある展開のものだった。



それを思い出して、私は俄然やる気になった。

あの物語のスタートは、確か中学一年生。

今は小学五年の春。

まだまだ時間はあるから今のうちに鍛えておけば、中学に入ってからは恋愛に集中できるはず!



思い出した私は、スポーツに勉強に張り切った。

アメフトという、男のスポーツに交ざるために。

原作とは違う某アメフト漫画から学んだことも取り入れた。

そうだ!女の子なんだから、力はつきにくいけれども、触れることができなければ何もできない!

鍛えに鍛えた私は、全国大会の短距離走を今までの記録を大幅に塗り替えての優勝という快挙を成し遂げたのだ。

これもヒロイン補整というものなのだろうか。

確かに努力はしたが、スポーツだろうが勉強だろうが美貌だろうが、それが全部報われるのだ。

何て素晴らしい世界!



調子に乗った私は更に鍛えまくった。

これならば、あのスポーツバカといえるぐらいのあのヒーローも夢中になってくれるだろう!



意気揚々と、ヒーローと同じ学校を受けようとした私は………………



















受けるどころか願書さえもらえなかった。





確かに……男子校に女子が入りたいと言っても願書が貰える訳がないし、内申書を先生から貰うこともできないだろう。



漫画の世界だと思っていたのに何でこんなところだけ現実的なのーーーーーーーーーー!!!!!!!











うちひしがれていた私だが、ようやく回復し、共学の有名私立中学を受けた。


前世がある分、今までの努力を無にできなかったのだ。

確かに今のハイスペックになった私ならば大体のことはできるだろうし、前世ではできなかった恋人もできるかもしれない。

でも私はあのヒーローが好きだったのだ。

ヒーローのためだから頑張れたのだ。




二次元の男装ヒロイン達に問う!!!


どーやって性別誤魔化せばいいんだーーー!!!

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