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七人目は偽勇者?  作者: 木南
第二章
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第二十七話・後

やっぱり短いですね。



狙い通りに【グラビティ・バレット】が命中し、俺の後方の壁まで西原先輩が吹き飛んだ。


周りを見てみると、これまでの戦闘でそれなりに時間を稼ぐことが出来ていたようで、無事みんなの治療は終わっていた。


「楠君、時間稼ぎありがとう」


「いえ、気にしないで下さい」


俺よりも強かったので簡単ではなかったが、やはり元の性格を完全には変えられないのだろう、どこか抜けたところがあったのでそこまで大変でもなかった。


「それで、どうします?見た感じ、性格が少し変わるくらい何かされてるっぽいですけど……」


気絶しているのか隙を窺っているのか、壁際に倒れた西原先輩はまだ起き上がって来ないので、警戒しつつも北川先輩と相談をする。


「そうね……。とりあえず捕まえて色々聞き出すってことでいいかしら?流石に殺すのは憚られるし」


少し考えた後、頷く俺。


「そうしますか。ただ、何してくるか分からないんで、最大限警戒することにしましょう」


「ええ、分かったわ」


意見が纏まったところで西原先輩の方を見てみると、いつの間にか立ち上がって不敵な笑みを浮かべていた。

思わず寒気を覚える俺達。

そんな様子を愉快そうに眺めながら、赤く濁った目をした西原先輩が口を開いた。


「残念だったなぁ、楠ぃ。お前の魔法は全く効かなかったぜ?」


「そうですね。それがどうかしたんですか?」


「固有魔法が効かないってことは、お前の魔法は何一つ俺に通じない。つまり、お前はここで俺に殺される運命だってことだ!」


楽しそうに顔を歪めてそう言った西原先輩は次の瞬間、俺の目の前に立って剣を振りかぶっていた。

北川先輩を押し退け、剣を横に構える。


ガキィン!

という金属が激しくぶつかり合う音が鳴った。

そのまま鍔迫り合いに持ち込んでくる西原先輩。

単純な力比べでは俺の方が下なので、剣を斜めにして滑らすようにして力を受け流す。

そのまま流れに逆らわず剣を振り抜いた西原先輩は、体を一回転させてもう一度俺に剣を叩きつけてきた。

体を逸らし、間一髪のところで避けると、一旦硬直したその隙を突くようにして横から火の矢が飛んできた。


西原先輩と俺を分断するように飛んできたそれは、床に当たった瞬間に爆発して辺りに煙を撒き散らした。

恐らく四季達が援護してくれたのだろう、視界が煙で塞がれる中冷静に状況を整理する。


ステータス面はもちろん、魔法のスキルレベルなどに置いても恐らく負けている。

固有魔法も、【グラビティ・バレット】程度ではほとんど効果がなかった。

それに西原先輩もまだ固有魔法を使っていないはず。

この状況で、西原先輩を捕まえる方法。


……正直、ほとんど思い浮かばなかった。

いくつか思い浮かびはしたのだが、根本的な解決にはならない手段であったり俺が隠しておきたい固有スキルを使わなければならなかったりで割に合わない。

もちろん最悪の場合は使うつもりではあるのだが、他の勇者達の情報をほとんど知らないのに自分の情報をやすやすと晒す気にはなれなかった。


となると。


(物量作戦しかないか……)


今俺達が確実に優っていると言える部分は、やはり人数の差だ。

それを活かしてどうにか西原先輩を行動不能にさせるしかない。

個人的には殺してしまった方が早いと思うのだが、それをやると色々問題がありそうなのでやめておく事にする。


そして、どうにか作戦を思いついたところで、煙が完全に晴れた。

西原先輩が俺の姿を確認して襲いかかってくるが、それを相手しながらこっそり風魔法を使って作戦をみんなに説明する。


(……という感じで、よろしく頼む)


作戦を伝え終え、風魔法を解除する。この魔法は一方通行のため相手の反応を知ることは出来ないのだ。


「守ってばかりかオイ!めんどくせえな、さっさと死ねこのクソ野郎が!」


俺は一体いつこんなにこいつのヘイトを稼いだのだろうか。

疑問に思いつつも、語気とともに苛烈さを増していく攻撃を必死に受け流す。

ステータスの差は大きく、少しずつ押されて傷が増えていくがどうにか致命傷だけは避ける。

今にも均衡が崩れそうな剣戟の最中、俺は何故か気分が高揚するのを感じ取っていた。


遂に最高速度まで到達し、雷魔法を越える速度で剣を振るってくる西原先輩に、何故か笑みを浮かべながら異常な速度で紙一重で躱していく自分。

心の何処かではおかしいと思いつつも、この最高の時間を終わらせたくないと言う不思議な欲求が湧き上がってきていた。


しかし、異常なまでの速度で動いていた体はとうに限界だったのだろう。

一瞬膝から力が抜けたと思うと、それまで最高の状態だった体は疲労を訴え始め、あっという間に剣を弾き飛ばされてしまった。


嬉しさのあまり、涙を浮かべるほどの笑顔で俺の首を狙い剣を振るう西原先輩。

最期の瞬間になるかもしれないというのに、俺が思ったことは「死にたくない」……ではなかった。

「もっと剣をぶつけ合いたかった」……そんな戦闘狂じみたことを思いながら、俺の意識は闇に溶けて行くのだった。



この後27話の続きが別のキャラ視点で入ります。そこで西原先輩とのバトルは決着する予定ですので、少しお待ち下さい。

一応3日以内には投稿する予定です。

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