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カゼキリ風来帖  作者: ソネダ
カゼキリ風来帖(9) ~ 最終章 新しき風 吹き抜ける世界
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新しき風 吹き抜ける世界(5) ~ 4人の邪炎霊

 まず二人組の名前である。

 黒い装束に赤い炎をあしらった鎧と赤いリボンで髪を結いだ少女を、

 『首領リィザ』

 という。

 もう一人の子供のような姿をして黒い浴衣にこれまた炎をあしらった袖なし羽織を着た少女を、

 『火狩ヒィ』

 というらしい。

 二人はあのギラバーンの自爆により生まれた邪炎霊で、他に二人の姉妹がいるそうだ。

 いや、姉妹……とはいったが、厳密には姉妹ではない。

 ただ同じ爆発で生まれたから『姉妹』だと彼女達の親(これまた厳密には親ではない)である、

 『邪炎帝』

 が言うのだから彼女たちは姉妹だと解釈しているのだ。

 しかし、この姉妹の仲は非常に悪い。

 前述したリィザとヒィの他に居る二人の邪炎霊、

 一人は『火紗』もう一人は『赤金ほたる』はリィザやヒィよりも先に発現した邪炎霊で、姉妹としては二人の姉にあたる。

 それだけにリィザやヒィとは喧嘩ばかりしており、それを親である邪炎帝が度々仲裁(という名前の制裁)しているのだった。

 その喧嘩の最たる理由が、

 「地上を侵攻するか否か……!!」

 であって、火紗とほたるは邪炎帝へ地上への侵攻を強く勧めているのだという。

 一方でリィザとヒィはというと、

 「邪炎帝サマは邪炎帝サマなんだから、無理に地上を侵攻しなくてもいいでしょ?」

 と話して邪炎帝に地上侵攻をしないように説得しているそうだ。 

 「その火紗とほたるってのが地上を侵攻するように邪炎帝をそそのかしているのか?」

 「そうそう。私等はさ、先代サマから色々なものを引き継いでいるんだよ。リィザは腕っ節が強くてさ、火紗は火炎を操る能力、ほたるは邪炎獣を操る能力……とさ」

 「ん?ヒィは持っていないのか?」

 「あー、コイツはないんだよ。末妹だから。見た目もガキだろ?話じゃ先代サマの最後の残りカスで出来たのがコイツらしいんだよ。笑えるよなー!」

 「……笑えねぇって!なんどもいってるでしょ!?」

 「ワルィワルィ、ともかくもそういう訳で、火紗をやっつけて邪炎帝サマを助けなきゃならないんだよ」

 「違う違う。火紗をやっつけたら、邪炎帝サマが怒るんだよ。言ったろ?喧嘩はご法度だとさ」

 「そこが難しいんだよなー」

 リィザが高く笑っている。

 邪炎帝の地上侵攻……もとい火紗が邪炎帝へ地上侵攻を吹き込んでいるのに対して、リィザとヒィは、

 「地上の良さを伝えて」

 邪炎帝を説得しようと考えたようだ。そうして二人は地上へ出てきたのだった。

 地底にはない太陽の光、流れる風、生命が奏でる声。

 八霊山をまわって、それらに触れた二人は改めて地上侵攻をやめさせるべきだと思ったそうだ。

 「お姉さんとも会えたし、私達も一旦地底に帰ろうかね」

 空を見上げながら、ヒィが呟いた。

 気づけばもう空は暗くなりつつある。護山家の役場を出て、リィザとヒィを探し、邪炎獣を倒して……としている間に、

 (思った以上の時間が……)

 流れてしまっていたのだった。

 (とりあえず、この二人をこのまま帰してしまうべきではないな……)

 護山家の役場へ連れて行き、山城 暁と引き合わせ、今後のことを相談させなければならない。

 邪炎帝に関しては『地上の存亡』がかかっているといって良い。そんな大事なことを、二人だけに任せておくことは、

 (とても出来ないだろう)

 と風切あやかは思っている。

 「おい、リィザとヒィ」

 「ん?なんだ」

 「お前達に山城さまへ会って貰いたいんだ。私達も邪炎帝の説得に協力がしたいんだ」

 「へぇ、その山城ってヤツは強いのか?」

 「……ああ強いな」

 「よし、会うぜ」

 リィザが手を打って即決するのをヒィがため息混じりに眺めていたのだった。

 思わず返事をした風切あやかも苦笑が隠せなかった。

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