ソプラノ
秀が音楽教室の窓を開けると、ソプラノの歌声が耳に届いた。
第一音楽室の隣にある第二音楽室からのようだ。隣同士に音楽教室があることに小宮も始めは、何故、と思ったが入学してから二年も経てば、これが普通だと感じるようになっている。
放課後、帰宅しようとしていた秀に、従兄弟でこの高校の音楽教師をしている凛太朗が無理やり音楽室の掃除を押し付けたのだ。従兄弟だからと良いように使われているが、後から報酬が得られるから(金品ではなく食べ物)、秀にとっては意外と苦痛ではなかった。
「今日は、何を集ろっかなぁ」
まず手始めにと音楽室の窓を開けた、ということであった。
「……そうだ。カレーを食べよう」
誰かわからないが、そのソプラノの声の主はとても楽しそうにカレーの歌を歌っていたのだった。
読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、300文字ととても短いものとなっています。
あまり指が乗らなかったということもありますが、こういった短い文章の中に意図することを混ぜ込むのは難しいです。
もっと推敲すれば良いのでしょうが……次回、がんばります。
何か改良点やご感想などがありましたら、お待ちしております。