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虚史   作者: 田中 平八
時代との邂逅
6/13

[嗣乃村妖怪戦線] 日輪

 ふー。

 学校のテストも終わりようやくパソコンが触れるようになった。

 陰陽師の戦闘もこれでようやく一段落着いたぜ!

 まぁ読んでくれ。

 平等丸・懺悔丸・陀手朗・休兵衛の四人は獏戦丸と戦っている。

 力関係でも数でも彼らは負けている(式神を獏戦丸がアホみたいに出すからだ)。

 しかし、精神面では彼らの方が勝る事になるのだった。因みにそれは経験の差からではない。いや、むしろ経験でも負けている。

 之から先『新大和改革党』の起こす『国家転覆戦争』にて活躍する一人の陰陽師の最初の戦線はそんな精神面だけでしか勝てない負け試合状態なのだった。



 

 平等丸・懺悔丸・陀手朗・休兵衛の四人と陀手朗とが戦いだしてから暫く経った。

 五人は走り近くの池まで来た。

 平等丸の能力で戦闘はやりやすくはなっているものの、元々の自力が違うのでなかなか獏戦丸に攻撃できず、逆に獏戦丸は攻撃を繰り返している。

 しかし、攻撃自体は殆ど彼らには当たっていない。平等丸の四つの能力の効力で、である。けれどそれだけでは、説明の出来ない事態になってきた。

 炎を扱い五行の法則より弱点が水である獏戦丸がここに来たのは、完全なる陀手朗の作戦であった。

 勿論いつもの彼ならばこんなことに陥る訳が無かったのだが、現在の彼の精神状態は最悪の状態であり、考え事をしながら戦うという普通ではない行動の結果だった。

   陀手朗は式神の一種である大量の陰陽武具を射出する。生物の式神では調服契約の上書きをされて、式神の命令権利を奪われる可能性があるからだ。

 しかし発動する前に獏戦丸の生き物の式神に陀手朗が攻撃をされ、技は発動する前に解除されてしまう。

 「よくも陀手朗を!」懺悔丸と休兵衛は怒鳴る。

  「これで少しは動きを止めさせれば……光明が」休兵衛は池の水を使い好条件下で、大技をかけに行く。

 獏戦丸は軽く避ける。が、水が蛇のように巻きつく。

 休兵衛が技の成功に安堵の表情を浮かべる。が、しかしその表情はすぐに驚きの表情に変わる。獏戦丸の居た場所には炎の火柱が立っていた。

 「おいおい、それは反則じゃあ……」休兵衛は聞き取れないぐらいの小さな声でそう呟いた。 

 休兵衛の技を難なく交わした獏戦丸は休兵衛を攻撃する。

 懺悔丸は獏戦丸の攻撃を力技で対抗する。が、獏戦丸の攻撃は完成度が高くそれに比べて、懺悔丸の技はまだ完璧ではなかったので対抗が失敗に終わる。

 「っう」懺悔丸は攻撃をぎりぎりで避ける。一応術を弱体化させたのでぎりぎりの所で事なきをえた。

 獏戦丸はなかなか終われない戦闘を終わらせるために『炎獣・獅子咆哮』たる大技を発動させるための陣を天空に広げる。通常この技は広い範囲に居る大勢の敵を殲滅するための技でこんな数人の雑魚を相手取る技ではない。

 この技さえ成功すれば、平等丸達は全員死ぬことになる。

しかし、そんな発動してしまえば勝負が終わってしまいそうな術は発動しなかった。

獏戦丸が陣を構えた瞬間に平等丸は、頭の中に陰陽の文字列がっうすらと浮かぶ。そして今までとは、比べると圧倒的に獏戦丸の術が失敗した。




 時間は数分前の奏流丸達に戻る。

 奏流丸は甥の平等丸が敵の陰陽師と交戦している事を知り、仲間数人と一緒に平等丸達の所に現在移動中である。

 「平等丸はまだ力を扱いなれていないんだ。」息を切らしながらも、奏流丸は数人の仲間に話しかける。

 「平等丸は自分にかけられた陰陽術の術式を少し変えて自分の身を守る程度なんだ」奏流丸はそう嘆く。

 「それが本当なら、他の三人が危ない。このままでは何人か死ぬぞ」一緒に移動している内の一人が言う。

 しかし彼らのその情報は、今までの戦場を経験してこなかった、平等丸の『実力』の話で、実戦を経験し平等丸は眠れる力を扱う糸口を見つけていた。

 「おい。何だあの陰陽起発陣は」暫くしてから平等丸

 天空にはまだまだ戦場にはたどり着いていない奏流丸達にも見える『炎獣・獅子咆哮』が広がっていた。

 「っく。せめて能力を第一段階ででもいいから、発揮できればアレぐらいの大規模な『陣』なら少しいじるだけで自然消滅するのに……」奏流丸は言う。

 そう。高等術式は単純な術式と比べて少しでも組み間違えると、正常に機能しないのだ。




 「っえ?マジ……」獏戦丸はそんな馬鹿みたいな台詞を自分の伸ばした両腕の更に上を見て言った。彼の見た先には驚くようなものは何も無い。そう、発動直前の自分の陰陽術のための陣さえも……。

 「まさか……陰陽術の使用出来なくなる出来なくなる結界でも張られたのか……?」いや、それにしても何故今?もっと早く発動すればよかったのでは?そんなことを獏戦丸は思う。

 しかし、彼はその考えが間違っていたことに気づく。

 獏戦丸の隙を見つけた陀手朗がすかさず攻撃を仕掛けた。絶対にこないと思っていた種類の攻撃が来て獏戦丸は焦る。

「なんだ、何故使えるんだ?限定的に発動するのか?」などと考え、そしてまた同じ技を発動しにかける。一度失敗しても、もう妨害行動は起きないだろうと短絡的に考えたのだった。

 しかしまた不発に終わる。にもかかわらず陀手朗・休兵衛は陰陽術が使える。一瞬獏戦丸の頭が真っ白になる。だが次の瞬間今まで不甲斐無かった彼でも気づいた。

 「やっちまった……」獏戦丸は間違いに気づく。この現象について聞いたことが彼はあった。




 彼は最初に聞いた時は都市伝説程度に聞いていた。だが今やっとその間違いに気づく。それは術式変換術系統の中でもほぼ禁術していされている『柳生葬慈朗(やぎゅうそうじろう)式妖術変換術しきようじゅつへんかんじゅつ』だ。

 これは、今のようにいくつもの陰陽師宗派に分かれる前の、陰陽師一代目頭領の柳生葬慈朗が作った術だったが、発動条件の一つから禁術とされた技だ。

 そしてこの術の特性は、術の発動を阻止するのではなく術を無効に組み替える技だ。そして未熟な平等丸は変換するような複雑な術だけ変換でき、変換する余地のない技だけ変換できなかったので、獏戦丸は術を発動できず、平等丸・懺悔丸・陀手朗・休兵衛達の術は発動したのだった。

 しかしそんなことが気づいても意味はない。今の獏戦丸は完全に拘束されている。

 「こ・こいつぅぅらぁぁ」獏戦丸は何も出来なくなる。もはや陰陽術を使えるだけの精神力などなくなっている。大陰陽術を連発させ、しかもそれが全て逆効果だった事を理解してしまったのだ……無理もない。

 



 「ッバ!」と静かに音を出し奏流丸たちが獏戦丸を捕縛した平等丸たちに合流する。

 「うぉぉーこの馬鹿共がぁぁ!」奏流丸が四人を一発ずつ殴る。

 そして四人にとっては、理不尽で普通に考えれば妥当な叱りを四人は受けた。

 「つまり、懺悔丸。貴様が今回の原因だということでいいんだな」奏流丸は、四人から聞いた話をまとめた上で確認を取る。

 「はい。全て俺が平等丸の実力を知るための私の独断で……しました」懺悔丸は歯切れの悪い話し方をした。

 休兵衛・陀手朗の二人は懺悔丸を弁護しようとするが、当の懺悔丸にとめられる。

 



 その後奏流丸たちと合流できた四人は中堅陰陽師達にこっ酷く怒られ、なんとか無事に[嗣乃村妖怪戦線]は終わりを告げるのだった。

 しかし、この戦線の重要性は平等丸の能力開花だけでは終わらなかった。

 なぜならば、ある一人の忍びが今回の戦闘を見ていたからだ。

 勿論『新大和改革党』が動き出したという情報は第六次『国家転覆戦争』の発動を危惧されるため、『新大和改革党』は普通ならば今回の一件を見ていたものがいれば里に入る前に抹殺するのが当たり前だ。

 しかし彼は無事生き延び、今回のことを本部に伝えられた。それは彼の特殊な『忍術』に起因しているものと思われる。

 彼は隠殺頭拾参連隊おんさつがしらじゅうさんれんたいに最近になって数えられた(元々忍軍は少ないのでそんな中から選ばれたということははっきりいって大した事ではないのだが……)昆獅子軍(こんじしぐん)所属蜻蛉(とんぼ)という男だった。

 彼は諜報を主に生業としている忍びで、昆獅子軍(こんじしぐん)の中でも力量的には大した事のない忍者なのだが、彼は類まれなる空遁の術という最近開発された空中移動術が使える忍者だった。

 彼の情報から『新大和改革党』も含め今まで重要視されていなかった昆獅子忍軍も本格的に物語の中枢に入り込むのである。

 彼らの活躍は別の『虚史』で語るとして、話は嗣乃組本部へと移り、嗣乃村妖怪戦線はついに終わりを迎える。




 今はようやく奏流丸が平等丸達の暴走を事細かく本部の関係者に報告し終わった所である。

 「ふー」奏流丸はため息を付く。「之から先少なくとも10回はここで話したことを説明しなくてはならないだろうな」と小声で呟く。

 「しっかし、平等丸に友達が出来てよかったじゃねぇか」

 「しかもそれが懺悔丸でしょ?あのガキ大将の」

 「これで仲間はずれにされることはありませんね」

 奏流丸と一緒に移動していた仲間たちがのん気そうに話している。

 「おまえら……緊張感なさ過ぎだ……」と呆れながら奏流丸が諭す。

 「いや、まあ確かに敵の陰陽師が何処から来たかは分かりませんが……すぐにでも分かるでしょ?」

 「そうですよ」

 「うんうん」

 仲間の陰陽師たちはそんなのん気なことを言っていた。

 彼らは未だに『新大和改革党』が復活している事に気づいていないのだ。勿論獏戦丸が喋らないからなのだが、緊張感がもう少し彼らにあれば、気づけたはずの事態であった。

 彼ら『嗣乃組』はこの国の忍者や侍そして各国に散らばる大名達全員に平和ボケした陰陽師集団として、覚えられているような、緊張感のない陰陽の一角であった。

 これはおそらく、彼らを引っ張っていく『頭領』がまだ居ないことが原因なのだろう。

 そしてこの年の大晦日に彼らは、平等丸を最年少の頭領にすることで、その日に起こった、大規模な事件の対策をとることになるのだった。

 



 平等丸・懺悔丸・陀手朗・休兵衛達が死線を繰り広げた翌日から彼らは四人で行動することになり、組の若い連中からも平等丸の次期頭首に推薦する人が増えてくる。今まで孤独だった彼はこうして仲間たちと共に友情を育んでいくのだった。『ある事件』が発生するまでは……。

 しかし、その『ある事件』はまだまだ先のこと。その日は晴天で平等丸のこれからの日々を、明るい日輪が明るく照らしていた。


 



 

 




 



 

 いかがでしたか?

 ?なに戦闘シーンがグダグダだって?

 うーんそこは見逃しといてくれ。


 感想を送るかか評価の星を付けるかどっちでも良いんで気が向いたらして下さい。 

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