[龍駕谷山賊殺人事件] 追憶
[龍駕谷山賊殺人事件] 追憶は[龍駕谷山賊殺人事件]の最後の話であり、次の虚史にバトンタッチするために、最後には数々の進出単語が出て来て今回の事件の謎が解ける代わりに、また新たな謎が出てきます。しかしそれは・・・。
城之崎邸一斉捜査が終わった次の日。
「あいつどんな目に遭いますかねぇ?」捜査資料を調べながら真治は言う。やっぱり死刑っすかね?と続ける。
「どうせ金払って終わりだろうよ。」真治とは別の捜査資料の最終確認をしながら隆一は吐き捨てるように言う。彼らは、先日の事件で階級が上がり真治は隆一と同じ階級の捜査現場監督になろうとしていたが、慌てて隆一が推薦して現場事情調査課総監督就任した。そして隆一は、捜査所現場総監督となりこの駕楼都における全ての事件の総監督をしている。
「じゃ、じゃあ私達の行った捜査が無駄ではありませんか!我々の階級が上がったことしか意味が無い。我々の・・・」階級が上がったことがとても嬉しいらしくずっと階級が上がったことを連呼する真治。
「いや、俺達の捜査によりもう城之崎はあんなことができなくなった。それに城之崎の多額の違法な金が市民に循環する。それに城之崎は実際には人を殺していないからなぁ・・・。それにだらだら捜査をしていたら中途半端に事件の真相に近づいてあのくノ一に俺達は殺されていただろう」と隆一。昇進については触れない。因みに真治はくノ一には遭っていないが、資料を読んだので一応軽くなら知っている。
「いやぁでもまさか、侍やのぉてまさか忍者とは思いませんでしたなぁ・・・最初に事件の説明を聞いたときからずっと侍やと思ぉてました。」と啓太二人とは違いかなり暇そうである。
「ま、アレやなそれは俺の責任やな。適当なことばっかり言ってたからな。『なぜだ』とか言う台詞も誰も聞いてない台詞やしな。でもまぁ噂は誇張せぇへんかったら面白ないからなぁ」と誠二郎は自分を正当化する。なんか頷いたりもしている。ちょっとウザイ。
「あ、あの忍者ですけどね・・・」と誠二郎は忍者について調べたことを説明しだす。
所変わってとある森の中。月明かりが雲に隠れたので薄暗い闇の中にもかかわらず周りでは、野鳥の一声もしない。
「貴様が任務を遂行できなかったとは珍しいな。」どこからか男の声が聞こえる。声からは、感情は伝わってこない。
「確かに氷柱さんは自分の忍術を確立させてからは全く失敗はありませんでしたからね。」別の男が言う。やはりどこから聞こえたのか判らない。
「で、貴様の任務の邪魔をしたのは誰なんだ?まさか貴様の失敗で遂行できなかったわけではないのだろう・?」最初の男が言う。
「それは私が説明しよう。」また別の男が言う。今度の男は、隠れようとはしない。勿論堂々うとしている訳ではないが・・・。
「何故貴様が此処に?お前は確か大量殺戮者『曽根崎 縛斗』の遺したといわれる4大流派を調べていたはずだが・・・。」最初の男が言う。どうやら別の仕事を彼はしていたらしい。
「あの田舎に曽根崎の流派の一つ、『二刀流剣術 獣術殺法』が残っていた・・・という噂を聞いたから来たんだ。」隠れようともしない男は言う。
「ほう・・・で、真実は?」最初の男が言う。少し声のトーンが上がっているようだ。
「確かに流派はあった。しかし我々の計画に支障をきたすような出来ではない。心配は無用だ。俺がそいつ等が飯食っていた所に入ってもあいつ等は何も反応していなかったからなぁ・・・フフフただの雑魚だよ。」あいつ等というのを馬鹿にしたように言う。
「そいつ等が私を打ち負かしたのか・・・。」氷柱は虚しそうに言う。
場所は戻って捜査所本部。誠二郎が忍者について説明する。
「あいつは轟忍軍という隠殺頭拾参連隊の一角に所属している氷柱という女忍者だ。もっとも、拾参連隊といっても自分達の里以外とは全く群れない。それどころか、機会があればお互いに抹殺しようと考えている。」苦々しく言う。
「で、あいつは轟き忍軍の頭領か何かか?」隆一は聞く。忍者のことは全く判らない。
「いや、あいつは頭領ではない。あいつは轟忍軍のいくつかの団体のうちの一人の工作員だ。主に単身で敵地に乗り込み標的を暗殺することをしている。今回のように大名に取り入ってちまちました殺しをするようなことは、基本的にはあいつの仕事ではないようだ。」と事細かく誠二郎は説明する。隆一はただただ感心するばかりである。ほかの二人は、口をポカーンと空けている。馬鹿丸出しである。
「氷柱は雨の日においてならば、彼女の所属する団体では一番強い。といっても晴れの日ならば、4人いる内では3番目のところに当たるらしい。もっともほかの3人の力量は知らんがな。」として、全ての情報を誠二郎は報告する。
「成る程なー。この町にいる。最強の剣士として有名だった、『竜崎 重松』でさえ殺されていたからなぁ。ま、もう一生関わり合いたくねぇ奴だよな。」真治は笑いながら言う。
「俺よりもか?」と隆一は冗談っぽく言う。本当に彼にとっては、ただの冗談だったのだが、真治が本気で考え出すという醜態を晒したのでキレた。
「ウゲェ・・・」真治が隆一に首を絞められ、音を発声させる。残り二人は、笑いながら見ている。
之にて追憶は終わる。・・・勿論之で終れるのだが、轟忍軍の之からの動向も気になるのでそちらに最後は移る。
「最後に氷柱。『神鳴』と一緒に之から任務先に行け」はいと氷柱は言う。が、氷柱は反射的に言うが、反論をする。
「失敗の埋め合わせだろ。反論をするなよ氷柱さん。」なだめるように男は言う。氷柱は何も言うことが出来なくなる。
「はい。判りました『鎌鼬』さん」と最後に氷柱は諦めたように締めくくる。
「それでは之で単独部隊『邪柳』の臨時集会を終わりにする。」と鎌鼬と呼ばれている邪柳の頭の役割を果たしている男は言った。
「解散!」という言葉で全員解散した。といっても一人伝えたいことだけ伝えきった忍者は、解散の言葉とは関係なく帰ろうとしていたが・・・。
頭も含めて邪柳隊所属忍者が全員其処から消えると、今までの静寂が嘘の様に野鳥の声が鳴り響いた。
之にて[龍駕谷山賊殺人事件]は追憶まで終わり物語は終わる。しかしこの事件は隆一とその弟の啓太そして部下の真治そして幼馴染の誠二郎達そして隠殺頭拾参連隊と侍のソレに当たる星七剣衆。そしてそれに関連する人々の虚しい歴史の始まりに過ぎなかった。
なんとか終わりました。次回は虚史 [嗣乃村妖怪戦線] をお楽しみに。
次回は、今回の事件が起こるずっと前同じ年の一月の下旬の物語でこの物語の謎に迫っていきます。