建築基準法はありますか
俺は正志、37歳。
元々日本で不動産関係の仕事をしていた。
だが、今は、。
連日の残業や休日出勤によって限界を超え、遂に体を壊し心筋梗塞によってオフィスで転がっているところを早朝に清掃に来たおばさんに発見されたが、間に合わずそのままお陀仏となってしまった。
そして今、俺の目の前にはありえない光景が広がっている。
見渡す限りの森!森!
開拓のかの字もない状態の原生林が茂っていた!
「これだと何をしたらいいかもわからないぞ、。」
そうため息をついたのもつかの間、懐にあるものが入っていることに気が付いた。
「異世界のポケット六法、?それから不動産鑑定評価基準、?」
赤く高級感のある牛皮らしき表紙に、金の文字でそう記されていて、とても分厚くて重い。異世界転生のボーナスみたいなものだろうか。
「とりあえず読んでみるか。」
俺はそばにあった大きめの岩に腰掛け「異世界のポケット六法」を開いてみると、そこには異世界に存在するであろう様々な国々の各法令がびっしりと書き込まれていて、読み進めていく内に面白いことに気が付いた。
「建築基準法が、ない?それに地価公示法のようなものもない、。土地区画法もないぞ。」
分からない人に説明しよう。
建築基準法とは、日本が定める建築物の敷地、構造、設備、用途に関する最低限の基準を定めることで、国民の生命、健康、財産を保護し、公共の福祉を増進することを目的とした法律で、地価公示法や土地区画法は皆が家や土地を正規の価格で手に入れたり、整った綺麗な街を作るための法律である。
つまりこの異世界では建築物に対する規制もガバガバで土地や建物をどんな金額で売っても自由、どこに何を作ろうが自由ということなのだ。
「こんなに法律に縛られないで生きれる世界なんて楽園じゃないか!」
俺はそう胸躍らせながら悪いことを考える笑みを浮かべた。




