八 伯爵令嬢、高みの見学をする
でかい。
人間の三倍ぐらいの巨体だ。
この魔王と戦うなんて絶対にごめんだ。
まあ、戦うのは私ではなく、王子なんですけど。
王子、がんばれ!
魔王と戦うのは二人のみ。
聖剣を持った王子と、聖なる盾を持ったもう一人。
私は高みの見物だ。
二人の連携で、聖なる盾で攻撃を防ぎその間に聖剣で攻撃する。
すごい。魔王の攻撃をちゃんと防げているし、こっちの攻撃もちゃんとダメージを与えてる。
だが、魔王はまず盾の方を狙い撃ちにする。
翼の風圧で盾を吹っ飛ばし、盾の無くなった持ち手をその巨大な足で踏みつぶす。
王子が魔王に踏まれているその盾の持ち主を気にかけるが、そんなの気にするな。
一気に間合いを詰める魔王。
王子の持つ聖剣がはじかれる。
宙に舞う聖剣。
王子が追いかけるが、先に魔王がその聖剣を掴む。
その魔王の身体に、聖なる盾を拾った王子が、盾で体当たりをかける。
一瞬の隙ができる魔王。
王子にはもう次の攻撃手段がない。
だけど、この一瞬の隙があれば十分。
よくやりました、王子。これで私を婚約破棄したことはチャラです。
私の手が、魔王の頭に置かれている。
事前の計画通りに、聖なる盾を持った私がやられて魔王の警戒から外れる作戦がうまくいった。
私は女神様からもらった魔王を倒す力を発動させる。
私はクソダサい力の名前を叫んだ。