六 伯爵令嬢、協力を依頼する
なるほど、こちらの魔王討伐の協力依頼を検討する時間がほしいと。
当然の判断だと思います。
ですが、こちらも猶予がないので強硬手段を取らせていただきます。
王国の聖女様がご乱心したぞ!
刃物を手にして、首相を人質に!
今の男の叫び声の真似、なかなか迫真に迫っていたでしょう。
あなたに危害を気はないので安心してください。
魔王から人類を守るため、最強と呼ばれているこの帝国騎士団を、私の完全指揮下に置かせていただきます。
まずは警備兵から。
聖女パンチ。
警備の者がやられた!
早く、騎士団を!
久しぶりです。女副隊長さん。
私に失望した?
まあ、そうなりますよね。
後で説明します。
いまは説明の時間はないです。
この後、魔法国とエルフ国とドラゴン国に行かなくてはいけないので。
なら、その剣で私を斬りふせてみなさい。
ほい、聖女キック。
副隊長がやられた!
早く、隊長を!
帝国騎士団隊長。
あなたが来るまで、あなたの部下はすべて倒させてもらいましたよ。
帝国一の剣士様。
本当に失礼なことですが、私はあなたと同じ剣で、あなたの得意な剣術で戦わせていただきます。
はい。
私の勝ちです。
あなたは私に手も足も出せず、その自慢の剣を叩き折られた。
この帝国騎士団は、私にはかなわない。
で、ここからが本題です。
私の力では、魔王に勝てないってことです。
魔王の周辺に配置されている、四天王にだって勝てないでしょう。
現在の魔王は、動物でたとえれば人間の味を知った熊です。冬があけたら、すぐに王国に攻め込んできます。
私では止められません。
王国は滅びます。
その次はこの帝国です。
あなたがた帝国騎士団では止められません。
この冬があける前に、魔王を討伐するしかないのです。
私が魔王に勝てないのは、ダメージを入れられる方法がほぼ無いからです。
三本の矢、聖剣、聖なる魔法の盾。
それだけです。
わたし一人では、とても魔王を倒せません。
協力してください。
魔王と我々人間は、動物に例えると象と蟻です。
蟻が戦うには、数で群がるしかないんです。