当日
「はあ…今日がお茶会かよ。」
しごかれているうちにお茶会の日になってしまった。
どっかの誰かさんのせいでここら1週間の出来事が濃厚すぎて何もかも薄味だなぁ。
「ええ。お嬢様、そのドレスとても、お似合いですわよ。」
ショートの銀髪に光る金の髪留め。深く沈みこみそうなほど上品なワインレッドのドレス。
白い肌と深い赤が絶妙にマッチしているらしい。
「そうか?あ、そろそろ時間。じゃあ、行ってきます。」
馬車に乗り込み、手土産のレモンクッキーを見る。
爽太や理仁が好きそうだなと思って買ったが、愛華のことはよく考えてなかった。
「姫様ー?着きましたよー」
ぼーっとしてるうちに着いてしまった。
「緊張する…」
そう呟くと、いちごケーキのような人間がいた。
「あ、愛華。おはよ。2人はもう着いたの?」
そう話しかけると愛華は心底驚いたようにこちらを見た。
「も、もしかしてだけど……恋火?すごい可愛いわ!」
褒められて嬉しいが反応にこまる。
「そ、そうか?ありがとな」
なんか飾り気のないハンカチみたいな返事になってしまう。
そう他愛もない話をしていると
「おーい!恋火!愛華!」
金髪の子犬と、青髪の子猫がやってきた。
そう、理仁と爽太だ。
「久しぶりだな!元気か?手土産持ってきた!」
やっぱりこの爽太の大型犬みたいな雰囲気は崩れていない。
「言うて全然時間経ってないけどな。」
こちらの鋭い猫のような眼光も柔らかくなってはいない。
(ん……?なんか2人の様子がおかしいな)
目が泳いだり、どこかぎこちない。
でもいちいち聞くのは野暮だ。
(周りの目が大切らしいしな。)
ここら少しの時間でリリシア化してる気がする。
「あら2人とも。お久しぶり。さあ、中へ入ってお茶しましょ♡」
そう連れられて入った屋敷は見慣れていた。
小さい頃から変わらない愛華の家。
ピンクなどの淡い色を貴重とし、金色などでバランスをとっているらしい。
「はい、ここがお茶会の部屋よ。ちょっとそこのあなた。準備をして。」
そこは大きな東家という感じで、屋敷に浮かないほど色とりどりの花が飾られている。
「おぉ……なんかロマンチックだな。いいなあ。」
そう愛華と話しながら椅子に座る。
(確かメイドさんに椅子を引かれるのを待つんだよな……)
リリシアに叩き込まれた‘’礼儀‘’がここで生きている。
慣れないメイクをしてもらったので自分がどんな顔なのかよく分かっていない。
「恋火、あんた……綺麗になったわね。」
何故かいたずらっぽく微笑んだ愛華がこちらを見ている。
「ねえ、そう思わない?理仁くんと爽太くん。ほんと見違えてるわよねぇ。」
……なんでここでその話を振るかな。
「い、いいんじゃね?ででででも、めっちゃびっくりしたわー。」
吃りながら冷や汗をかく爽太。
「……似合ってる。前より、今の方がいいと思う。」
冷静を装いつつも崩れる理仁。
「あ、ありがと。」
聞きなれない褒め言葉に返事をするのにも精一杯だった。
何となく気まずい雰囲気が流れる。
そんな雰囲気を破ったのは爽太だった。
「そ、それより手土産食おうぜ!せっかくの茶会だしな!」
爽太がガサゴソと紙袋からなにかを取り出す。
「れ、恋火、小さい頃からここのケーキ屋のケーキ好きだったろ?だから買ってきたぜ。ほい。」
皿にぽいとケーキを盛り付ける。
「あ、ありがと……」
「おい。」
その声を遮ったのは、理仁だった。
「俺のことを忘れるな。お前ら。俺だって手土産持ってきた。」
理仁もバッグから手土産を取り出す。
「ほら、前気になると言っていた塩クッキーだ。」
丁寧な手つきで私の口元に持ってきた。
「はい、やるよ。食え。」
……爽太が凄い形相でこっちを睨んでるけど、いいのか?
「ちょ、ちょっと理仁……」
「はいはい、そこでいちゃつかないの!」
ぱんと手を叩いた音がした。
「これじゃあただのお茶会だわ。だから……‘’恋バナ‘’でもしましょうか!」
その声の持ち主は、楽しそうに口角を歪ませている。
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