久しぶり
ガラッ
(あれ、結構中身は普通だなぁ)
正直もっと豪華なものを想像していた。
シンプルだがそれでいて上品。
デザインした人はセンスあるな、と思った。
ピンクのフリルを纏った化け物と目が合った。
(うげっ)
「やっときたのね。次からはもっと急ぎなさい。」
イケメン男子二人に囲まれて浮かれているようで、淡く頬を染めている。
「まあ、そんなことはどうでもいいのよ。さっき仲良くなった子達を紹介するわね。金髪の子が爽太くん、黒髪の子が理仁くんよ。」
爽太とやらは、金髪の髪を一つにまとめて、センター分けにしている。襟付きの白いワイシャツとジーンズを身につけている。
反対に理仁という人は、黒いパーカーを着て、白いズボンを纏っている。
ここの学園は、制服は決められた時に着ていくので、
ほとんど私服登校だ。
(ん…爽太?どこかで聞き覚えのある名前だな)
とりあえず挨拶しとくことにした。
「よろしく…」
「よろしくねぇ」
「よろしく」
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴った。
「じゃ、また後でね〜」
ヒラヒラと手を振る爽太、ぺこりと会釈をする理仁。
全く正反対の2人だ。
愛華から確か、あの2人は親友と聞いている。
(爽太か…昔何かあったような…)
そんな事を考えながら席に着くと。
(えっ…)
隣の席にまさかの理仁がいた。
向こうも驚いているようで、僅かに目を見開いている。
軽く会釈をして席に着く。
あまり話したこともないので少し気まずい。
気まずい中、始業式を終え休み時間が来た。
押しつぶされそうな空気の中、
愛華が言った。
「ねえ、恋火。お手洗い行かない?」
「分かった」
○○○
「あの2人結構かっこよくない?」
愛華が突っかかってきた。
「モテそうだな、なんか」
また爽太のことを考えていた。
(そうだ。爽太と私は…!!)
「あ!!」
「な、なによ。何かあったの?」
「爽太と私、幼なじみだ!」
やっと思い出した。小さい頃、親に国同士の会議に連れて行かれた時、数年間一緒に遊んでいた。
しかも、生まれた時から一緒に遊んでいたという。
(なんで忘れていたんだ?)
自分言うが、記憶力は全く良くない。無いに等しいのだ。自分の興味があることしか覚えられない頭で生まれてしまった。
「あら!そうだったのね。翠くんとは面識はないの?」
「ないんだよなぁ。爽太とも、もう怪しいし」
(爽太の親友なら会っていてもおかしくないけど…もしかしてまた忘れているのか?)
そんなことを考えていた。
「あら…良かった。都合がいいわ。」
恋火はにやりと笑う愛華をみることは、なかった。